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〈2〉三姉妹が冒険に出たらとりあえずなんとかなるかもしれない。

「って!追い出されたはいいものの、これからどうするの!?」

 森の入り口あたり、今にも帰りたいななが混乱している。

「とりあえず魔法が使えるのかは知りたいよね」

「そーだねぇ〜じゃあ1発打ってみるか!」


 にっこり微笑んだつなが、目の前の木を標的に人差し指を向ける。

 火をイメージすると、火の玉が木にあったった。


 それも、とんでもない威力で。


「うげっ!!つなバケモンじゃん!?」

「お姉ちゃんおおげさすぎだよ。もしかしたらさっき食べたケーキの効果かもね」

「あっ、確かに」

「じゃあ私も撃ってみる」


 さなは風の魔法を起こそうと、木に向かって手のひらを向けた。

 イメージして、魔法が起きる。

 目の前の木3本が倒れると、おーと軽く感動した。


「な、なんでそんなにみんな使えてるの……!?」

「ななもやってみて。ケーキ食べたからかもしれないし」

「う、うんわかった。」


 今度はななが、両手を構えて木に向かって氷魔法を放つ。

 すると、ボコーン!!と大きな音を立てて、辺り一面平にしたのだ。


「えっ……?わ、私もしかして天才……!?」

 一番威力の強かったななに嫉妬して、拗ねる2人。

「まぐれだよ」

「そうだね。絶対にそうだ」

「えええっ……!?ひどくない?ねぇ、ひどくない!?」

「ってか私お腹空いたー」


 つながそう言ってしゃがむと、紫色のキノコが目に入る。

 他にも青色と黄色があった。


「ねぇ、あれ焼いたら食べれるよね?」

「いや、どう見ても毒じゃない!?」

「そんなことないよ。焼けば最強ってパピが言ってた」


 ぐーとガッツポーズをしているお父さんの姿が蘇る。


「じゃあ、夜ご飯に食べようよ」

「えー……やだ!そんなんだからいつまで経ってもおっぱいが成長しないんだよ!」

「んな!!黙れ!!この巨乳!!」


 わーわーななとつながやり取りをしている中、さなが火魔法を使ってキノコを炙った。

 そのままパクっと食べてしまうと、レベルアップがされて行く。

 それも……


「レベル∞……!?一体何したのさな!!」

「これ炙って食べた」

「あ、炙る……?」

「まだあるよ。この青色のヤツ」

「あ、ありがとう……」


 炙った青色のキノコを差し出す。

 恐る恐る、ななもパクッとキノコを頬張れば、レベルが上がって行く。


「わっ、私も∞になっちゃった」

「焼くより炙る方がよかったんだね」

「たいして変わんないような気もするけど……たしかに、そうだったのかも!」


 パチパチと拍手するななと、それを見てドヤ顔をするさな。


「ねぇねぇ先にずるい!私も食べるー!」


 そう言ったつなは自分でキノコをもぎ取り、火魔法で包み込んだ。

 熱い熱いと言いながらも、食べ進めて行くとつなまでレベルが∞になってしまったのだ。

 そして3人に、スキル調味料が身につく。


「スキル調味料……調味料を出す魔法が使える……だって?」

「何それ便利じゃん!」

「結構使えそうだね」

「そ、そうかなぁ……?」

(戦闘には関係ない気がするけど……)


 うーんと考えているなな。


「とりあえずさ、ダンジョン行こっ?」

「宝箱見つけてアイテムゲットってわけだね」

「あんの王様剣とか何にもくれなかったし!確かにそれはいい考えだ!」


 3人意気投合して、唯一もらった森の地図を頼りに、ダンジョンへと向かい出した。



「ここ、みたいだね」

「そうだね」

「んじゃ、早速入るかっ!」


 つなに背中を押されたななとさなが先頭でダンジョンに潜り込んでいく。


「うう……薄暗い……湿っぽいし嫌だぁ……」

「大丈夫、ほらななは捕まってな?」


 つながイケメンにななに手を差し出す。その腕に思い切り抱きついたななは、目を瞑っていた。

 一方さなは何かに気がつく。


「えっとー……2人とも?」

「「ん?」」

「あれ、なんだろ」


 さなが指差した先には……岩でできた、大きなゴーレムが聳え立っていた。


「つ、詰んだ……!!」


 急いで逃げようとするななのフードを掴むつな。


「まーまぁ、ここは1発決めちゃお!」


 そう言ったつなが人差し指でゴーレムを指す。

 にっこにこに微笑みながら放出された魔法は……なんと、闇だった。


 ドコーン!!という音と共にゴーレムが倒れる。


「おっしゃ1キル」

「え?1キル?」


 つながガッツーポーズをするも、ツッコンだななの目の前にはたくさんのゴーレムが沸いていた。


「う、嘘ー!!!」


 叫ぶなな。今にも白目を剥きそうになって、恐怖で尻餅をつく。


「ななったら大袈裟だなぁ〜ほら、またこれ!」


 そう言ったつなが余裕そうに魔法を発動させるも、ゴーレムは岩でガードを作り無効化されてしまった。


 本来ならば闇、光は使えない技であり、そもそもつなが簡単に使いこなしていることが謎すぎるが、魔法使いとしては未熟なので多少威力が弱くても納得がいく。


「あっ、やべ」

 ずるっとローブが右肩から下がるつな。

「逃げるぞー!」


 つなが2人のことを軽々と両脇に抱えて、走って行く。


「つ、つなどこでその怪力を……!?」

「元々力持ちだったしこのぐらいできるんじゃない?」

「えええ、それはないでしょ……」


 あまりに俊敏な動きをしてゴーレムの攻撃を交わして行くつななので、流石に驚くなな。そして、呑気にあくびをするさな。

 ドンッ!と音がしてななが後ろを見ると、地面にヒビが入ってこちらへと迫っていることに気がつく。


「ちょ、つなやばいよ!!」

「まあ任せなって!」


 適応力がえげつないつなは、そのままジャンプをして魔法を発動させた。

 地面に向かって風を生み出し、空を軽く飛ぶ。

 その風の輪に2人を下ろして、とりあえず3人は安全な場所にいることができたのだ。


「つなって、こう言う時ほんっと頼りになるよね」

「あはは、どっちが長女かわかんないねぇ〜」

「うるさい」


 そんな会話を呑気にしていると、【スキル追加】と言う文字が目の前に浮かんでくる。それも、3人ともだ。

 内容は浮遊というものだった。


「これで私たち、飛べるようになったってこと?」

「まあそう言うことじゃない?」


 さなが風の輪から飛び降りて魔法を発動させる。

 すると空中に浮かんだのだ。それを見て驚いたななも、やってみる。つなはもうすでに飛んでいた。


「わっ、すごいこれ」

「便利そうだね」

「ラッキー!じゃあこの調子で逃げよっか!」


 迷路のようなダンジョンを3人で浮かび進み、ある程度のところまで逃げる。

 途中途中に湧き出てきたスライムは、意図も容易くやっつけていた。

 ようやく地面に降りたつとそこに宝箱がある。それに気がついたつながルンルン気分で開けると光に包まれて、3人はその場所から消えてしまった。



「え、ええ!?ここどこ!?」


 3人が次に見た景色は薄暗いダンジョンの中ではなく、広く青空がよく見える戦闘の会場のような場所だった。


 目の前には……先ほどとは比にならないほど大きなゴーレムが一体いる。


「これはやばいね」

「どうしようかぁ〜」


 さすがのつなも焦り気味に姉を頼る。


「えっ?わ、私にどうにかしろって?」

「だってお姉ちゃんが一番RPGやってたし」

「た、確かにそうだけど……こ、こうなったらやるしかない!」


 しゃがみ込んでいたななは立ち上がる。目の前にいるゴーレムに向かって走っていき、大声を出した。


「見逃してくださぁい!!!!」


 そんなななの命乞いなど無視してゴーレムは腕を振る。

 あわわと焦ったななが咄嗟にジャンプしてよけると、想像の5倍ぐらいの高さを飛んだのだ。


(じゃ、ジャンプ力高っ……!?だけど、これに浮遊を組み合わせれば……!!)


 最高地点まで到達した頃、浮遊を使い高くまで飛ぶ。


(うげっ……!!高所恐怖症の私にはキツイ……!でも、可愛い妹たちのためなんだから……!!)


 キッとゴーレムを睨みつけて覚悟を決める。そして、ゴーレムの頭の後ろに赤い宝石のようなものを見つけたのだ。


(たしかつなが最初にゴーレムを倒した時、頭を貫通してた。っていうことは……!!)


 急いでゴーレムの後ろに回り込む。


(つなが闇魔法を使えるってことは……つなと真逆の私は光が使えるはず……!?)


 手を前に出して、目を瞑って魔法をイメージする。


(キラキラ光る……キラキラ光ると言えば!イケメン!!)


 最近ハマっていたイケメンアイドルが頭の中に出てきて、そのはずみでものすごい威力の光魔法が放出される。

 見事にゴーレムの頭の後ろ全てに当たり、弱点と見られる宝石のようなものを壊すことができた。


 バタンと倒れたゴーレムの先にいる妹たちの元へ戻る。


「な、ななすげー!!」

「お姉ちゃんがここまで有能だったとは……」

「ふふっ、でしょでしょ!姉バカパワーかな」


 えっへんと腰に手を当ててドヤ顔をする。

 するとさなが宝石が近くに落ちていることに気がついた。

 それも赤い宝石がたくさんだ。すかさずさなが腕いっぱいに拾う。


「ちょ、私が倒したんだから私の!」


 そう言い張るななを前にまた光が現れて、吸い込まれてしまった。


 次に目を開けると、ダンジョンの中に戻っている。

 一安心した3人に、またしても追加スキルが現れた。


「スキル、創作?」


 さなが疑問に思う中、なながハッとして魔法を発動させる。

 すると頭上から、あるものが落ちてきた。


「えっ!?スマホ!?」

「うん、これ想像したものを作り出せるって言うことじゃないの?」

「確かに!!」


 運良く3人ともスキルをゲットできたものなので、召喚される際に消えてしまったスマホを作り出す。

 機能もしっかりするようなので3人で連絡先を交換し、ついでにスマホを入れておける可愛らしいポーチも作り出した。

 ゴーレムたちもおとなしくなったようで、呑気に色々なものを作り出していた3人。


 ななは髪の毛が邪魔だったのでカチューシャを、つなはお腹が空いたのでパフェを、さなは大きな斧を作り出していた。

 それに気がついたつなが、さなに問う。


「何その斧ー!カッコいいじゃん」

「魔法だけじゃなくて、戦闘に特化できるものが欲しくて」

「さすがさな!」


 ガハハと笑うつなに呆れるななは、確かにいい考えだと思い自分は長射程のライフルを作り出した。


「私はゲームでも長射程が得意だし、これにしようかな」

「じゃあじゃあ私は、剣かな!」


 張り切って取り出したつなの剣。剣の塚には、謎のつなが小学生の頃に作り出した生物がくっついていた。


「ぷっ!!何その剣!つなのオリキャラいるじゃん!」

「びっくりなんだけど。まぁ可愛いからいいけどね!」


 クスクスと微笑むなな。さなは他にもたくさんの武器を作り出していた。すると、スキル収納を取得する。


「さなのスキル便利そうだね。私のライフル入れておいてもいーい?」

「うん、いいよ」


 収納魔法で作り出したものをしまい、三姉妹はダンジョンを出ることに。



「何がともあれ、無事に帰れてよかったね」

「そうだね!そういえば私が倒して出てきた宝石もちゃんと入れた?」

「うん」

「お金になりそうだから……今日の宿代にでも当てよっか」

「いや、今日は野宿だよ」

「「え?」」


 さながそういうとななもつなも目をまん丸にする。


「だって森に捨てられたんだし。ここから王都に戻るわけにもいかないし、かと行って夜までに森を抜けられる保証もない。」

「た、確かに……!!」


 それに気がついた瞬間、焦りが隠せなくなるななに、野宿なんて嫌だーと駄々を捏ね出したつな。


「でも便利なスキルあるし、別に宿なんてなくてもいいんじゃない?」

「そう……だね……」


 かははとショックを受けながらなながつなに寄りかかる。


「とりあえず抱き枕兼つなとさながいればいいや……」

「いやいや何言ってんの?お前がマットレスだよ」


 にっこり微笑みながら、ななに向かって毒を吐いたつな。


「いやひど……まあいいよ、創作で作ろう?敷布団と大きめのテントでもあれば、どうにかなるでしょ」

「そうだね。じゃあ暗くなる前に寝やすそうな場所探しに行こう」

「はいはいー」


 こうして三姉妹の冒険は、どうにかやって行くことができそうなのであった。

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