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毒の魔法で華麗な日常を!!  作者: うなぎ大どじょう
第一章 死を育む樹海の中で
24/160

24 怪奇・空飛ぶ百足!

「すごーい! 雲が近い!」


「ウジョウジョ!」


 ドラゴンゴーレムに乗って、少女たちは大空を飛ぶ。


 びっしりと立ち並ぶ巨樹たちが眼下に広がっている。いつもは見上げている景色を、今日は見下ろしているのだ。

 そんな新鮮な光景に、少女の心も大いに踊る。


 このドラゴンゴーレムは、樹海中を見渡せる最上の展望台だ。


「あ! あそこ! 丘が見える!」


「ウジョ!」


「あっちはウィズダムたちの家! くもとへびに見えてるかな?」


「ウジョウジョ!」


 少女のお気に入りの丘や、サピエンスたちのアジトも見えるようだ。少女がこんなにもはしゃいでいるのは中々に珍しい。


「山にもすぐ着きそうだよ!」


 ぐんぐんスピードを上げるドラゴンゴーレムは、山脈に向かって一直線に飛んでいく。


 この様子なら、日が沈む前に到着することができそうだ。


「さるをおそったやつ、待ってろよ!!」






 少女が目指している山脈。

 その中腹に広がる針葉樹林、そこに一匹の魔狼が(たた)ずんでいた。


 彼の目の前には、地面に突き立てられた二つの岩がある。


 それは墓標だ。


「我が妻よ……娘よ……なぜ?」


 魔狼の牙がぎりりと噛み締められる。悔しさと悲しみをたたえた彼の瞳から、一滴、また一滴とこぼれていくものがある。


「なぜだ……?」


 積もった雪が強く踏み締められる。

 取り返せぬ死を目の前にして、生物はあまりに無力なのだ。


「くっ……」


 魔狼が身を(ひるがえ)し、墓標を後にしようとしたとき――


「あああーー!? 落ちるーーー!?」


「ウジョォーーー!!」


 はるか上空から、二つの影が降ってきた。

百足はこの世界で、初めての空を飛んだ百足です。

そりゃそうだ。

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