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毒の魔法で華麗な日常を!!  作者: うなぎ大どじょう
第一章 死を育む樹海の中で
23/160

23 うるとら☆下克上?

本日二話目となります。

 遠くに見える山脈から御来光。ブランニューな朝が来た。


「うーん、おはよぅ……」


「ウジョ……」


 もぞもぞと起き出す少女。身体にぐるぐると絡まっている百足をほどきながら、目をこする。


「あれ?」


 ふと見れば、彼女たちの側には鮮やかな果実が山のように積まれていた。


「……なんでだろ?」


 いつも果物を採ってきてくれるのは蜘蛛だが、彼は今、サピエンスたちのアジトで警護を行っている。

 なら、この果実の山は誰が?


「あ」


 少女の側の果実の山のそのまた側には、ガッツポーズをするゴーレムたちと、ドヤ顔の百足がいた。






「しゃくしゃくしゃくしゃく……。うん、おいしい」


「ウジョォ」


 山のような果実が次々と消えていく。恐るべき食事スピードだ。


 粉砕機の如きその顎で、少女は果実を噛み砕いていく。果汁の飛沫と甘酸っぱい匂いがふりまかれる。


「しゃくしゃく……あれ? ちょっと渋い?」


 だが、彼女がふと食事の手を止めた。


「ウジョ」


 少女の掌の中にあったのは少し()()果実。これでは、旬にはまだ早い。


「ウジョウジョ」


 百足とはいえ、果物超絶愛好家(マイスター)の蜘蛛には敵わないようだ。






「ウジョ!」


「うん! いつでもいいよ!」


 朝食を終えた少女たちが、なにやら二人で怪しい儀式を始めていた。


 地面に描かれた円形の魔法陣と、そのまわりに突き立てられたバーバリアル・ボアの骨たち。

 そしてそこからあふれだす大量の魔力。


「ウジョウジョ」


 そして最後の鍵として唱えられる百足の呪文。


「おぉ……」


 詠唱に呼応して、魔法陣から(まばゆ)い光が放射される。

 そして、その中から現れたのは……。


「グゴオォーーー!!」


 (ドラゴン)を模した巨大なゴーレムだった。


 鱗に宿る光沢、翼を構築する繊維、双眸(そうほう)(うるお)す威厳。元は土くれだというのに、その姿はまさに最強種(ドラゴン)そのもの。


 ばさばさと小刻みに翼をはためかせるドラゴンゴーレム。その度にあたりの巨樹がざわざわと揺れる。


「これならひとっ飛びだね」


 少女も百足も昨日一日での進行具合から、さすがに徒歩での山脈到達は無理があると悟っていた。


 このドラゴンゴーレムはそれに対する解決策。そう、竜の飛翔力を使って弾丸旅行である。


「よいしょっと」


「ウジョ〜」


「グゴォ」


 少女たちはドラゴンゴーレムの背中に乗り込むと、早速出発の号令を下す。


「しゅっぱーーつ!」


「ウジョォーー!」


 大きな咆哮(ほうこう)が樹海に響き渡る。


 ゴーレムの翼のはばたきが巻き起こした旋風とともに、彼女たちは大空へと旅立っていった。

最強種の姿写しを生み出せる時点で、百足も相当やばいやつです。強いです。

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