影武者編後:人物(ノスコン周辺)
【ノスコン・ダーク/男24歳・長老会助手というほぼ無職】
2m近い長身に、バルスドーラでは珍しい色素の薄い黄ばんで獣じみた長髪、冷たい目といかつい鼻、桁はずれの魔力値(生まれつきで決まる。通常100のところ211)を持ち、コントロールしきれず器物破損させまくる『白い怪物』。「だいたいノスコン・ダークのせい」という言葉があるほどの有名人。8歳のとき大祭で神殿前広場に大穴を開け、御前試合をプログラムから消した件では当時の若者に相当恨まれた。
そのころ実母にも逃げられており、他人に恐れられ嫌われていることは自覚している。人目を嫌い夜の外壁沿いを好む孤独な性分だった。服がだいたい白いのはそのせい。
なんだかんだで魔法都市最強のプライドは強く、10年前に3歳のオリィにKOされた事は深いトラウマで、再会し再勝負を挑むもあっさり返り討ちにあい、汚名挽回とオリィに絡むうちに徐々に性格に変化があらわれる。
人との関わりを避けていたので基本無口で語彙力のないコミュ障だが、情は厚く新しくできた友人達には涙も見せる。生まれた時から規格外だったため「普通」に憧れている。暴力でだいたいどうにかなるため思考回路はシンプルで、馬鹿とか言われがち。
魔法都市唯一のレアケースとして幼少の頃より長老会(神官引退者の会)の観察下にあり、長老マルクには親愛を抱いていた。
【ジェノ・ダーク/ノスコンの父・王宮書記官】
黒目黒髪のやつれた男。歳よりふけて見える。
書記官は王宮データベースの管理職(コンピューターエンジニア。魔術以外でバルスドーラを保守する特殊職業のひとつ)。仕事人間がすぎたため妻に逃げられ、長じた規格外の息子のせいで日々胃が痛い生活を送っている。
15年前の王太子一家崩御事件において、ロワの生命を守るため、独断でデータベースにロワ死亡の虚偽を記し盗賊団「ヴェードロの連中」と契約していた。復活した御前試合でダンの正体にいち早く気付き息子達に指示を出す。そのためオリィからは「黒幕系モブ親父」と呼ばれている。
ロワの王宮帰還後引責、職を辞した。王からは「混乱時の入力ミスは仕方ない」と温情をかけられている。
【リインナ・グロース/女25歳・ノスコンの従姉妹、薬草屋】
あかがね色の内巻セミロング、はしばみの瞳の美人。美しい笑顔の商店街の花。外ヅラが非常によくファンも多い。
高等学校で薬学を学び、祖母の薬草屋でブレンドティーを開発している(バルスドーラの薬草屋は漢方薬局に近い)。
2年前から祖母宅に住み込んでいる。表向きは叔父から書記官資格の学習を受けるためだが、実際は長老会よりノスコンとの近親婚を期待されて送り込まれたものである(相当の知的利益の報酬があった様子)。リインナはノスコンを小馬鹿にしつつ愛してはいるが「ノスらしくいてほしい」という家族愛以上のものはなく、長老会の思惑は実現していない。
しかし年頃や、リインナの魔力素質も低くないことから、多方向からノスコンとの縁談が浮上しがち。ノスコン自身も普通に話せる女性がリインナくらいしかいないと思っている。
魔法都市の魔術師らしい知恵と知識を重んじるタイプで常に向学心旺盛、オリィを気に入っている。石工であるゼムを無知から差別していたことは心に深い傷になった。
【ノスコンの中の3歳のオリィ】
ノスコンの夢の中に現れる謎の存在。ノスコンを『プロマ』と呼び「パスが切れていなかった」などと言うが。
【ノスコンの祖母/薬草屋】
息子と同じ仕事人間の系統で、リインナが同居するまでひとりで薬草屋を回していた模様。
【ノスコンの母/離縁、行方不明】
規格外の息子をワンオペで養育する苦労は相当なものであり、ノスコンの記憶には疲れ隠れて泣いていた姿が残っている。ノスコン8歳の早春に突然家を出ていった。
そんなぎくしゃくはあったものの、再会、復縁する可能性はあった。しかし長老会が息子と自分の生殖細胞から試験管ベビーを作るというあまりにも非人道的な実験を行ったことで再び蒸発。これに関してノスコンの家族は捜索依頼を出さないことを決めて一生の決別とした。彼女の人生を守るために。「ご家族が探している」という口実を長老会に与えないために。