ep07 新たなる魔法
エクスが魔力や魔法を紐解く回になります。
裏設定的な側面からとっつき難いと思われます。
設定はどうでもいいな方は、流して読んで下さい。
王国暦76年9月
王都の治安は決して良くはない。
王都の衛兵や騎士団がいるので表面上では平和なのだが、
人さらいや種属間での差別、ひったくりや殺人などさまざまな問題を抱えている。
男女5歳、身を守る魔道具が使えるようになるまで家から一人での外出はさせないのが一般的である。
家を持てないスラム地区では子供の行方不明が後をたたない。
当然魔道具も買えず5歳過ぎた子供も同様だし、拐われるのを期待する親までいるのだ。
エクスももちろん外に出れずにいる。
王城近くのショップならお金も有るだろうし魔道具を使えるようにすれば良いと思うだろうが、
自制が効かない子供が遊びでもし魔道具を使うと、少ないMPはすぐに枯渇するし、下手に魔法を発動すると途端に意識を失い、最悪死に至るのだ。
付け加えると女子は更に人さらいに狙われやすい為、3歳の祝福時でわなく、男子に合わせ5歳からとされるようになっている。
アルフが5歳になったのをキッカケに外に遊びに行くようになり、暇を持て余すようになったエクスは魔法の研究に没頭するようになったのだった。
先ずは呪文に着目するエクス。
呪文が必要なのは、発した呪文が自分の耳から聴覚認識として脳に送られ、事象のイメージ構築の助けとなるから。と、
言霊として事象を補助をしているとかんがえられる。
以前魔法を発動させた時、呪文ではなく「ライト」と声を出しただけなので、言霊よりイメージしやすくする聴覚認識説があってるようだ。
なら無詠唱でもいけそうである。
エクスは前回と同じイメージで魔法を発動しようとする。するとフライング気味で発動したのだ。
MPが回復してまた同じように発動させると、今度は少し遅れて発動する。
どうやらイメージしやすくするだけではなくて、魔法を発動する時のトリガーの役目もあるようだ。
無詠唱をしたければ強いイメージと発動タイミングをきめるイメージを同時にしなければならないわけだ。
次はイメージそのものだ
電球のイメージを色々なイメージに変えてテストする。
ロウソクから太陽までさまざまである。
ロウソクなんかは火が具現化したり
鬼火は蒼白い陽炎のような火で
、ブラズマのようなものもできた
しかし部屋を明るくしている魔道具の魔法はなかなか再現出来ない。
そしてたどり着いたのが魂の記憶にある光子だった。
光の粒子がまんべんなく部屋に溢れるイメージで魔法を発動させると
一点からの光の拡散ではなく、空間全体が明るくなった。
魔道具の魔法のようにまんべんなく部屋は明かりに包まれる。
しかもMPの減りはかなり少ないのだ。
その後何度となく条件を変えて魔法の発動を繰り返し得た結論は
魔道具の作者は降り注ぐ太陽の光を少しずつ切り取って使うイメージで
魔法を組み、それを魔法陣に起こしたのだろう。
エクスの魔法のほうがキメが細かいのだ。
そして最小単位の素粒子からイメージするとMP消費が少ない事もわかったのだ。
これは魔法の進化であり、何世代も先の知識となる。
そもそも細胞や原子、素粒子など目に見えないものはこの世界で知られているはずもないからだ。
魔法のMP消費が何故多いのか、例えるとファイアを木が燃えているイメージで魔法を発動させると、大量の素粒子がまとまって木となり、それが燃える。つまり化学反応している事象となる為、無駄な情報を合わせた魔法にMPがごっそり使われた状態だったのだ。
さらに魔石についてだ。
まず魔力と魔素が同一なのか?だが
息を吸った時に血中を魔素が巡る。この状態を感じる事が魔力循環としているので
魔力と魔素は同意なのだと思われる。
アルフが出掛けた時にお土産で拾ってきた魔石を使い色々試して見ることにする。
拾った魔石と言うのは、ネズミや鳥から取れたもので小さく使い物にならないので
その辺にコロコロ転がっている。
ポケットに魔石を入れ、その魔石と手の平の魔力循環をイメージし、魔法を発動させる。
予想通り魔石から魔力を使い魔法を発動することが出来たのだった。
そして何度か試すうちにある事に気がつく。
なかなか魔石の魔力が無くならないのだ。見た目で残量を判断出来るわけではないので
魔力循環の時何となく感じる残量からだが、魔石は大気の中の魔素を高純度に吸収する為、見た目以上の容量が有るようだ。
魔道具で使われている魔石の属性はこの使用方法では関係ないようで
素粒子レベルのイメージだと電池状態で使えるようだ。
焚火のイメージで水属性の魔石だと使用魔力が跳ね上がるかもしれない。
最後は魔素の直接使用だ
魔石と言う電池が無くなった時の代わりに大気中の魔素を使えれば
大気中の魔素が無くならない限り基本は永遠に明るいままになるのだ。
何処から魔素が来るかは謎だからもし直接使用が出来たらトップシークレット案件になるだろう。下手すると魔素の枯渇で生きて行けなくなるかもしれないからな。
脳内に魔石が有って、MPが枯渇すると死ぬかもと言われてるのが生物なのだから。
と言う事で先ずは大気に魔素が含まれているか確認しないといけない。
今まで思い付けなかった方法が大気中の魔素との魔力循環だ。
ポケットの中の魔石と魔力循環出来なければ思いつきもしなかっただろう。
魔石の位置を空間と仮定して魔力循環をするが失敗する。
一つ戻って天井から魔石をぶら下げ魔力循環をすると成功した。
何度か同じ事を繰り返し一つの答えに行き着いた。
魔素を酸素のような存在とすると部屋中を明るくした光子みたいに点ではなく面、、いや空間そのものと魔力循環しないといけないと言う事だった。
空間との魔力循環は現実的に考えても難しい方法であった。
大気中の魔素は一点にあるのでは無く、
大気中に散らばって存在しているためだ。
エクスは空間と魔力循環をするための新しい魔法を創り上げる。
自分を中心に球体の仮想範囲を設定しその中の魔素をリンクさせる事で一つの集合体『疑似魔石』として魔力循環が出来るようにしたのだ。
こうして魔素を使用し構築した魔法が出来上がった。
これにより大気中に魔素が含まれる事が証明でき、魔力として使用出来る事を実証したのだ。
エクスは素粒子単位での魔法イメージ理論、大気中の魔素の存在、
魔石との魔力循環で自身の魔力を使わずに魔法が使用出来る魔蓄石論、
魔素自体を魔蓄石のように扱えるリンク魔法
この4つの発見を元に自力でチートを目指して行くのだった。
エクスによる新たなる魔法の概念は『エクスの理』として後世に名を残す事になるのだが、その話はいずれ語ろう。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
少しづつ「なろう系」になっていけるようにしたいと思ってますので、読みづつけて頂けると嬉しいです。




