ep66 新しい制服
心機一転、新しい制服を買うエクスであった。
エクスは学区内にある制服の仕立て屋に来ていた。
「エクス・ヴァールハイト男爵様、
ご注文の品となります。
ご確認下さい。」
エクスは制服に袖を通す。
白を基調とした貴族に好まれそうなデザインだ。
「とうとう僕も白服かぁ。
色が選べると良いのになぁ。」
雑草と揶揄された深緑の制服に愛着を感じていたエクスは、
制服を注文する時に同じ素材で
狩り用、普段着として深緑の服やマントも発注していた。
制服の素材は魔獣から採れた糸で作られており、
軽量で伸縮性が良く、防汚性能、物理ダメージ低減にいたるまで
優れた特性を兼ね備えている素材なのである。
一般には出回らない貴族御用達の物であり
採取方法、染色方法は一切公開されていないのであった。
深緑の服にも袖を通す。
成長する事を考え少し大きめである。
同素材のマントを合わせ金貨10枚(約100万)を支払い
ホクホク顔で店を後にした。
寮に戻ったエクスはベットの上に制服を並べる。
「さてと。始めますか。」
エクスはこの3年の間で様々な魔法を編み出していた。
各属性魔法もそうだか、錬金や付与の魔法も完成させていた。
物防を付与し、耐衝撃と切削耐性も追加する。
服の裏側に錬金魔法を使い魔法陣と魔道回路、
アイテムバックを繊維に沿って編み込む様に融合させていく。
アイテムバックに火と氷の魔石を入れ、
その空間内の雰囲気を空間魔法で魔法陣にリンクさせる。
「これで完成だ。」
エクスは服を羽織り、魔力循環をする。
魔法陣によって温度管理され火と氷の魔石を調整し、
魔道回路により服の中を一定の温度にするのだ。
「成功。快適だよこれ!」
待ってましたとばかりにシロガネはエクスに飛び乗り
定位置の座り心地を確かめる。
「なかなか良いニャ!居心地良いニャ。」
御満悦のシロガネである。
「寒い日も暑い日もこれで快適だよ。」
「寒くないのは良いニャ。ぬくぬくは最高ニャ〜。」
「くわ〜!」とあくびをしながら眠そうにするシロガネ。
エクスもつられてあくびをするのであった。
「シロガネのあくびが移っちゃった」
『移った訳じゃないニャ。温かくてぬくぬくだからニャ。』
「確かにぬくぬくは最高だね。」
エクスは笑顔で返したのであった。
翌日
エクス達は森に来ていた。
付与状態の確認の為、弱い魔獣を探す。
『エクス、ゴブリンがいるニャ。』
ゴブリンが5体索敵に引っ掛かっている。
「丁度良さそうだね。あいつ等で試してみよう。」
エクス達はゴブリンの下へ向った。
「じゃぁシロガネは見ててね。
試してくるから。」
『了解ニャ!』
ゴブリンは食事中でホーンラビットに貪りついていた。
エクスはゆっくり近付き、落ちた枝をワザと踏みつける。
「パキッ!」
一斉にゴブリンはエクスを見て
「ギャギャー」とけたたましい声を上げた。
ゴブリンは咄嗟に血まみれの肉をエクスに投げつける。
肉はエクスのマントに当たり、地面に落ちた。
血や肉はマントに付いてない。
なかなか高性能だ。
すぐさま棍棒を持ったゴブリンが襲いかかって来た。
振り下ろす棍棒の先に腕を添える。
「ガス!」
棍棒が腕に当たり、重さは感じるが腕を払われる衝撃は無く、
当然痛みも無い。
相手がトロール等であったなら痛みや怪我は無くても
吹き飛ばされる事は有るのだろう。
剣を持ったゴブリンの攻撃は
流石にそのまま受ける事に恐怖を感じるエクス。
剣先をコートの端に当てさせた。
「スパッ!」
ゴブリンは剣を振り抜いた。
コートは切れる事無く擦り切れもせずにはためいた。
検証を終えたエクスはゴブリンを始末する。
「うん。まずまずだね。
後は魔防だけど、これは微妙だからなあ。」
火、水、風、土、等の一般的な魔法と言われるものは、
魔素(魔力)を使用して発生させた事象で攻撃するものである。
魔素が燃えたり水になる事は決して無いのである。
つまり魔防とはデバフ等の魔素を使用して
離れた相手に変化を与えるものに作用されるのである。
逆を言えばバフや回復魔法の使用も低減、
または無効化されてしまうのであった。
その為エクスは魔防はそのままいじらないでいたのだ。
「ん〜。やっぱり魔法攻撃に対する防御も欲しいなぁ。
後で事象毎の耐性も付与するか?
それとも別の魔法を考えるか?」
ブツブツとボヤき始めるエクス。
ふとシロガネに目線を落とすとゴブリンの死体を回収していた。
「・・・・・あ!これだ!」
魔法全般。いや、物理攻撃に対しても有効な方法を思いつく。
昔使用していたマントを取り出し付与魔法をかける。
簡単な原理としてはこうだ。
インベントリのような別次元への入口を付与する事によって
投石等の無機質ものは吸収(収納)し、
生態は収納出来ない為に弾かれる。
つまり魔法は吸収、物理は反射されるのである。
そこに収納出来ないものを設定するのだ。
回復やバフ等のステータスを回復、上昇させる魔法と
シロガネのような霊体に近い存在である。
付与したマントを木に吊るして刀で斬りつける。
マントに当たると同時に刀は弾かれたのであった。
「!生態が持ってるものは弾かれるのか。」
エクスはテンションが上がり、次々と試していく。
アイスブレードで斬りつけると吸収され、
ファイア等の魔法も吸収された。
生態が触ってないものは吸収されるのを確認。
(アイスブレードは腕の延長線上に構成されており
手で握る事はない。)
試しにマントを素手で殴ってみると同程度の力で反発した。
「痛!物理反射に近いな!
しかも衝撃でマントが揺れる事がない。
衝撃も無効化してるな。」
最後にマントを羽織り、シロガネに乗ってもらった、
『大丈夫ニャ。ちゃんと乗れるニャ!』
「よし!これで行こう!
後は寮に戻って付与をかけ直しだ。」
その後、エクスは仕立て屋で制服の生地を買い寮に戻る。
制服の付与のかけ直しを行った後、
買ってきた生地に温度調節の機能を付ける。
『布切れに何をするニャ?』
「フフ。それはね。」
エクスはそれをベットに広げた。
『ニャ!これは!』
「快適な温度で寝られる温調毛布!」
『ニャ〜!最高ニャ〜!エクス大好きニャ〜!』
「今夜から朝までぬくぬくだぜ!」
夜になる前からエクス達は深い眠りにつくのであった。
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