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魂Xの理  作者: to-er
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ep61 ダンジョン探索②

ダンジョン探索を続けるエクス




エクス達は5階層まで来ていた。


あまりにも簡単に魔物を倒すスカイとルードに

騎士団長は愕然とするのであった。


エクスはと言うと魔素濃度を測定する魔道具で

データ収拾に(いそ)しんでいた。


「エクス殿。皆が強いのは理解したが、

本当にこのメンバーでデスカマドと戦闘するのか?」


「そうですね。

僕とシロガネで倒せますから。

ただ、スカイとルードには戦闘の怖さを知ってもらいたいので

死なない程度に頑張ってもらうつもりです。」


「おいおいエクス!

魔法で倒せるんだろ?今の俺達ならイケルだろ?!」

少し図に乗り始めているルード。


「魔法が当たれば。だけどね。

あいつの脚力を舐めたら瞬殺されるからね。

魔法は万能じゃないよ。」


「え?怖いよ。大丈夫なんだよね?」

スカイは不安を隠せないでいる。


「恐怖を知って、身の程を知って、

初めて強くなれるものだし。

まぁ頑張ろうね。」


「えぇ〜!」

スカイは絶望の顔でエクスを見た。



エクスの予想ではスカイとルードでは

デスカマドに勝つ事は出来ない。

それは魔力細胞を持ち、素早く動けるエクスとシロガネに比べれば

圧倒的に戦力の差が有るからであった。

しかも戦闘経験の少ない2人にとって

あまりにも強大な敵なのである。


「団長さんには魔素濃度を随時測ってもらいます。

僕とシロガネは何時でも補助出来るように待機しますので。」


「うむ。承知した。」


4人は先へと進み扉の前に辿り着く。

デスカマドの行動特性等、注意事項を説明するエクス。


「えっと、、中に入ったらライトで部屋を明るくして、

体の向きに注意するのね?。」


顔が青ざめるスカイ。


「スカイ。初めから弱腰だと体が萎縮しちゃうよ。

判断能力も低下するから気をしっかりもって。

僕やシロガネが居るんだからね。」


「うう、分かった、、」


「そうだぜ!エクス達が居るんだからガンガン行こうぜ!」


「ルードはちょっと危機感を感じた方が良いよ、、。」

呆れるエクスであった。



扉を開け、中に入る。

スカイが部屋を明るくすると

あの時と同じ、半透明の体が明かりに晒された。


内蔵や血液が動くのが見えるその見目に凍りつくスカイとルード。


「何?あれ?体の中で動いてる。」


「で、デカい!気持ち悪い!あんな生物がいるのか?!」


一瞬にして呑まれる2人にエクスは叫ぶ。


「呑まれるな!死ぬぞ!」


ビクッとし、我に返るスカイとルード。


長い触角をこちらに向け体の向きを変え始めるデスカマド。


ルードはウィンドカッターを発動する


デスカマドの体はその直後に視界から消える。


「横に飛べ!」


エクスの声に左右に飛ぶ2人。


デスカマドの体は2人の居た所にあった。


「し、瞬間移動した?」

慌てるスカイ。


「目に追えないスピードで跳ねただけだから!

落ち着いて前に立たないようにして!」


スカイとルードはエクスが部屋に入る時に言った言葉を思い出す。


「そっそうか。そう言ってたもんね。

分かったよ。気をつけるから。」


「そっそうだぞスカイ。気を抜くなよ!冷静にな!

ウ、ウィンドカッター!」


「馬鹿!」


エクスはスカイの元に瞬時に移動し

魔防シールドを展開する。


ルードの放ったウィンドカッターは更に跳んだデスカマドに当たらず、

エクスの展開したシールドに当たる。


青ざめるルード。


「ス、スカイ!」


魔法が弾かれ歪んだ空間の向こうから

エクスが睨む。


「エ、クス?、、。

よ、良かった、、、。」


ルードは腰が抜けると座り込んだ。


「座るな!戦闘中だぞ!」


ハッとするルードが見渡すとデスカマドは何処にもいない。

視界の上部で影が動く。


瞬時に目線を上に移動すると

大きくなったシロガネが跳ねて来たデスカマドを

体当たりで弾き飛ばす瞬間であった。


「あ、、、」


ゴス!っと鈍く強い音と共にデスカマドが消える。

体をしならせ宙返りをするシロガネ。

ライトの魔法で輝くシロガネにルードは見入った。


ドガ!!

直後にデスカマドは部屋の壁に叩きつけられる。


「ルード!立て!」


エクスの声に必死に立ち上がるルード。


「落ち着いて!味方の位置を頭に入れながら戦うんだ!」


ルードは震える脚を叩きながら頷いた


「スカイも敵との直線上に味方がいたらすぐ動く!」


「わ、分かった!ごめんルード!」


!!

ルードは唇を噛んだ。

味方(スカイ)を危険にさらし、戦闘中に座り込み、

助けられ、自分が悪いのに謝られた。

情けなさと恥ずかしさと悔しさがルードを襲った。


「ゔあ゛あ゛あ゛あ゛ー!」


泣きそうになりながら自分を鼓舞するルード。


その様子を見て、何もせず、弱腰になり、呆然とし、

助けられた事に恥ずかしさを感じたスカイ。


「あ゛あ゛あ゛あ゛!」


スカイも大声を上げ自分を鼓舞した。


「ルード!僕が魔法を撃つから跳ねた所を狙って!」


「分かった!」


「ウィンドカッター!」


体制を立て直したデスカマドは飛び跳ねる。


その進行方向を予測しルードも魔法を発動する。


「ウィンドカッター!」


体には当たらなかったが、触角を落とすとデスカマドはその動きを停めた。


「魔素濃度が上がりだしたぞ!」

騎士団長が叫ぶ。


デスカマドの半透明な体の中が黄色く変わっていく。

黄色と黒の斑な体は毒を持つ個体そのもののようだった。


瞬時に危険を察したエクスは

アイスコフィンで動きを封じる。


「シロガネ!多分毒があるから気をつけて!」


「ニャ!」


レイブレードでデスカマドを両断するシロガネ。


デスカマドから吹き出す体液は瞬時に凍りつき

その体と共に霧散していった。






読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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