ep60 ダンジョン探索①
エクス達4人はダンジョン探索を始める。
ダンジョンに入り敵の状態を確認するエクス。
「真っ直ぐ行って2つ目の右に敵が1体居ます。
まずは団長さんが1人で倒してもらえますか?」
「早速か?!分かった。仕留めて見せよう。」
騎士団長は幼虫型の魔物に斬りかかる。
柔らかな体表に少しばかりの傷を付け剣は跳ね返る。
「ぐ!!」
顔を強張らせながら再度剣を叩き降ろす。
傷口をなぞった剣筋は魔物の体、奥深くまで突き刺さり
暴れながら霧散していった。
「ふう。虫系は刃が通り難いな。」
「ありがとうございます。
この先に同じ魔物が居ます。僕が倒すので見ていて下さい。」
「分かった。
しかしエクス殿の細い剣では折れてしまうのではないか?」
「まぁ見ていて下さい。」
魔物に近づいたエクスは刀を抜き、
力む事無く振り下ろす。
一太刀で魔物の頭部は切り裂かれ静かに霧散した。
「おお!」
騎士団長は思わず声を漏らす。
「僕の持ってる剣は刀と言って、
団長さんが持ってる剣が叩き切るのに対して
切る事に特化したモノとなってます。
虫系の魔物は衝撃に対して高い防御能力を持ってるので、
力で叩き切ろうとしても切れないんですよ。」
「むう!成る程。
騎士団の剣と相性が悪いと言う事か。
騎士団の剣も刀に変えた方が良さそうだな。」
「そんな事は無いですよ。
騎士団の剣は刃こぼれもし難い素晴らしい剣です。
わざわざ変える事は無いと思います。
多種多様の相手に効率良くダメージを与える事が出来ますから。」
「特化させない方が良いと言う事だな。」
「そうですね。
弱点を補う為に魔道具も有るわけですから。
それに剣と刀では使い方が違います。
団員の方が変な癖の切り方になりかねないですからね。」
「そこまで考えてくれるとは恐縮だね。
うん。確かに良い事ばかりでは無いな。」
「はい。
まぁその為に団長さんに来てもらったんですから。
帰る時には良い方法が見つかると思いますよ。」
「あぁ。期待しよう。」
「次は2体居るからスカイとルードに魔法で倒してもらいます。
初の戦闘です。危なかったら僕が助けるから
ウィンドカッターで1体づつ倒して」
「やっと俺達の番か。待ちくたびれたよ。」
「ルード!調子に乗ると危ないからね!」
「分かってるって!」
早く魔法を使いたくてしょうがないルード。
エンカウントと同時に魔法を発動する
「ウィンドカッター!」
扇状に広がった魔法は魔物2体を真っ二つに切断した。
「ちよっと!ルード!僕の相手まで倒さないでよ!」
怒るスカイ。
「ごめんごめん。つい。」
「ルード。扇状の広げ方の練習も兼ねてるんだからね。」
ジト目で睨むエクス。
「次からちゃんとするから許して。」
「しょうがないなぁ。
次はスカイに倒してもらうからね。」
まるで遊んでいるかのように魔物を倒すルードに
騎士団長は驚きを隠せないでいた。
次の魔物もあっさり倒して御満悦のスカイ。
それを見て魔素を使いこなし魔法を使える事がどれ程の事なのか
身に沁みて感じた騎士団長であった。
「じゃぁ次は応用編で僕が倒すね。」
エクスは武器屋で買った剣を取り出した。
「おや?刀じゃないのか?」
「騎士団の剣と同じ叩き切るタイプの剣と魔素理論の応用で
何が出来るかをやってみせます。」
魔物とエンカウントしたエクスは
魔力循環を剣に纏わせエアブレードを発動し、
魔物の懐に飛び込むと同時に一刀両断した。
「これは、、。」
エクスを見る騎士団長。
「エアブレードと言う魔法を剣に纏わせました。
剣が無くてもそのままエアブレードを使う事が出来ますが、
慣れ親しんだ剣に纏う事で使用感をそのままで使う事ができます。
一瞬の判断が必要とされる戦闘で
慣れ親しんだ剣で戦える事の重要性は解っていただけると思います。」
「言ってる事は分かったが団員達に魔素理論と魔法を開示しないといけなくなるだろう?」
「その為の魔道具ですよ。」
「?!魔道具で剣に魔法をかけると?」
「それでは咄嗟の時に使えないですよね?
なら一緒にすれば良いんですよ。」
3人共に首を傾げる。
「そっか!剣を魔道具にするって事でしょ?!」
スカイが目を輝かせる。
「そ、そんな事が可能なのか?」
「王宮の魔道具職人さんに発注済みです。
ただ、問題があって、、、」
「問題とは?」
「職人さんにブレード系の魔法を説明してるんですけど、
エアブレードでしか作れてないんです。
しかも風属性の魔石って少ないんですよね。
僕が魔道具を作れれば良いんだけど難しくて。」
「あれ絶対難しいよな。
呪文を暗記するのも面倒くさいし、
魔道具を作るとなったら
呪文の意味から魔法陣まで覚えないとならないんだろ?」
ルードは嫌そうな顔をした。
少し考え込んだスカイがボソッと言う
「だつたらエクスが作りやすいやり方で
新しい魔道具を作っちゃえば良いんじゃない?」
「、、、それも有りかな?」
魔道具作りは難しいとあきらめていたエクスだが、
何も既存の魔道具の形をとらないといけない訳じゃ無い事に
改めて気づかされたのであった。
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