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魂Xの理  作者: to-er
57/67

ep56 予期せぬ褒美

エクス、スカイ、ルードの3人は

王宮の待合室にいた。





3か月が過ぎ、4月となった。


エクス、スカイ、ルードの3人は王宮へと呼ばれていた。

エクスの陞爵とスカイ、ルードの叙爵の日である。

控え室で3人は談笑していた。


「あ〜。僕が準男爵かぁ。」


「この歳で準男爵なんて普通じゃあり得ないけど、

エクスが5歳で叙爵してるからなぁ。

風当たりは少なくて済むな!」


「そうだね。でもドキドキするよ。」


2人の会話に少し羨ましそうな顔をするエクス。


「いいなぁ二人共。

僕の叙爵の時なんかは非公式で呼ばれてて、

謁見の間に通されて初めて公式の場って気付いたんだよ!

心づもりなんて出来なかったし、酷くない?」


「エクスが逃げると思ったんだろうね。」


「それだな。国王陛下も良く分かってるよ。」


「酷いなあ。まぁ逃げたかも知れないけど。」


「「やっぱり!」」


爆笑する3人に迎えが来る。


「エクス・ヴァールハイト準男爵様、

スカイジーネ・ブルーフォレス様、

ルーディアス・フォルパディ様。

準備が整いましたので、こちらへどうぞ。」


顔を引き締めるスカイとルード。

3人は案内役の後に続き謁見の間の扉の前に立つ。

同時に扉の向こうから国王の声が聞こえて来た。


「本日、皆に集まって貰ったのは

この世界の理の一端、魔力の元となる魔素の存在の発覚についてである。

我々は今迄、魔力は自然と体に湧き上がるものとしてきた。

しかしそれは間違いで、この大気中に存在する魔素を取り込む事により、

蓄積されたものが魔力となる事を突き止めた。」


ザワ!


想像すらしていなかった事に貴族達はざわめき混乱した。


「そしてその魔素が溜まり

魔素濃度が高くなった場所で

魔獣が生成されている事が判明した。

これを利用し早期に魔素を散らせる事で

災害級の魔獣の出現を抑える事が出来る事となったのだ。」


「おお!」


いつ出現するか分からず日々警戒をしていた災害級魔獣の

出現を抑える手段の確立に、一同は驚きと尊敬の声を上げた。


実はこの3ヶ月の間に魔素濃度を測る魔道具を作成してもらい、

エクス達3人で実証実験をしていた。


エクスの話で分かっていた国王だが、

より確実なものとして欲しいと

エクスに頼んでいたのだ。


「今後は魔素研究の新たなる組織を立ち上げ、

さらなる魔素の活用方法を編み出していく。

先ずはこの素晴らしき発見と実証を成し遂げた3名を皆に紹介しよう。」


謁見の間の扉が開かれ、宰相が名前を読み上げる。


「エクス・ヴァールハイト準男爵

スカイジーネ・ブルーフォレス

ルーディアス・フォルパディ

王の御前へ!」


呼ばれた3人は国王の御前で膝をついた。

3人の子供が現れた事に戸惑いを隠せない貴族達。


国王は3人の紹介をする。

「皆も覚えておるだろう。僅か5歳でダンジョンの発見と、

70にも及ぶゴブリンを一人で討伐し、準男爵となった

エクス・ヴァールハイト準男爵。

その学友であるブルーフォレス伯爵が子息

スカイジーネ・ブルーフォレス。

同じく学友であるフォルパディ伯爵が子息

ルーディアス・フォルパディ。だ。」


「おお!ブルーフォレス伯爵とフォルパディ伯爵の御子息!」

「やはり両家の御子息は噂通りの聡明で明哲(めいてつ)なのだな。」

(ささや)く貴族達。


「この3名の多大なる功績に対し

相応の褒美を授与する事とした。」


宰相が名前を読み上げる。


「スカイジーネ・ブルーフォレス

ルーディアス・フォルパディ

両名前へ」


スカイとルードはエクスの一歩前に進む。


「スカイジーネ・ブルーフォレス

ルーディアス・フォルパディよ。

魔素の検証大義であった。

その功績を称え両名に準男爵の爵位を与え、

新たなる魔素研究の組織を任せる事とする。

培った技術と知識を存分に振るうがよい。」


「「はっ!拝命いたしました。

至極恐悦に存じます。」」


感慨深くスカイを見つめるブルーフォレス伯爵

今にも泣き出しそうなフォルパディ伯爵


「両名、下がれ。」


宰相の言葉にエクスの横に並ぶスカイ達。


「エクス・ヴァールハイト準男爵、前へ。」


エクスは一歩前に進む。


「エクス・ヴァールハイトよ!

そなたの提唱した魔素理論

この国の、そしてこの世界の発展へと繋がる理の発見は

稀代の識者でさえも成し得なかった事である。

(よわい)7つにしてその高みに至った才を称え、男爵への陞爵。

そしてその知を悪しき者の利とせぬよう

王承不義勲章を叙勲する!」


ザワ!


その場に居た全ての貴族達がざわめいた。

王承不義勲章とは字の如く爵位が上の人物に対して不義を働いても、

王が了承、承諾しお咎めが無くなる。

つまり爵位は関係なく王族直下の立場となるのである。

王国史の中で勇者と呼ばれた者に1度だけ叙勲された事のある

伝説級の勲章であった。


流石に驚きを隠せないエクス。

我に返り言葉を絞り出す。


「拝命しました。至極恐悦に存じます。」


国王はエクスの前に立ち宰相から渡された王承不義勲章をエクスの胸に付けた。


「サプライズだ。これでオヌシは誰にも縛られんぞ。」


周りに聞こえぬ程の小声で耳打ちする国王。


「国に縛られた気がするのは気のせいでしょうか?」


小声で返すエクス。

スカイ達の隣へと下がる。


「この者たちの働きにより我が国はさらなる高みへと昇るであろう。

そして皆の今後の働きにも期待しておるぞ!」


「はっ!」


貴族達は胸に手を当て頭を垂れた。







読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 誰にも縛られない、からの、国に縛られた、の言い回しが好きです。 [気になる点] 子供が教師役になるとすると、説明するための語彙力が試されますね。 [一言] 更新が早いので嬉しいです。
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