ep55 経過報告
エクスはスカイとルードと共に
王宮に向かう。
エクスはスカイとルードと共に王宮へと来ていた。
「国王陛下お久しぶりです。
魔素理論の経過報告に参りました。
本日は魔素理論の検証に尽力していただいたブルーフォレス伯爵の子息
スカイジーネ・ブルーフォレスと
フォルパディ伯爵の子息
ルーディアス・フォルパディの両名と共に馳せ参じました。」
「国王陛下、お初にお目にかかります、スカイジーネ・ブルーフォレスと申します。」
「国王陛下、お初にお目にかかります、ルーディアス・フォルパディと申します。」
「うむ。主等の話はエクスから聞いておる。
此度の協力感謝しておるぞ。
面を上げるがよい。」
「「はっ!」」
「うむ、してどんな塩梅だ?」
「はい。スカイもルードも魔素との魔力循環にたどり着きました。
まだ素粒子のイメージが大きいせいか、
魔力循環の練度のせいか私より魔力使用量が多少多いですが、
実用に耐えうる状況になりました。」
「やっとそこまで来れたか。
長い時を使ったな。」
「やはり目に見えない物質を理解するのは難しいようです。」
「そのようだな。
儂もあの顕微鏡?なるものを見なければ想像も出来なかったわ。
しかもあれより小さな物の集合体なのだろう?
到底理解できんぞ。」
スカイとルードは互いを見つめうなづいた。
スカイは強張った表情で話し始める。
「国王陛下、この身を持ってエクス準男爵様の魔素理論を検証致しましたが、
覚えるに難し、使うに易し。
1度覚えれば強力な魔法を使えるようになります。」
ルードは真剣な眼差しで後に続く。
「魔素は確実に存在します。
これを全ての民が知ることとなれば、
生活は向上し、潤う事も有るでしょう。
しかし代償として国は荒れ、存続自体危ぶまれると思われます。」
「やはりそうか。」
国王はしばらく沈黙した後、ゆっくりと話し始めた。
「魔素を使用した魔法の発動方法は他言無用とする。
魔素の存在は公に発表し、魔獣の出現条件等の情報開示。
城内に魔素の研究機関を設け、魔素利用に関する研究開発を行うとする。
魔素の発見と実験検証に尽力したとして、
スカイジーネ、ルーディアス共に準男爵を後に叙爵し、
研究機関の運営にあたってもらう。
エクス・ヴァールハイト準男爵は男爵へと陞爵し
研究機関の総括をしてもらう。
この国の非常時にはその力を発揮してもらう事となるであろう。
心しておくように。」
エクス達3人は驚きの余り顔を強張らせる。
思う所のあったエクスは国王にお願いをするのであった。
「国王陛下。スカイとルードは元々伯爵家の子息。
叙爵され、上に立つに相応しい人物であります。
しかし私は準男爵ではありますが、元は平民。
これ以上の陞爵は貴族の反感を呼び
内政を揺るがしかねないと思われます。
更に元平民に総括されると反発が起こり、
機密保持が難しくなると謂われます。」
「はぁ〜、、。」
国王は深くため息をついた。
「エクスよ。言いたい事は分かった。
それにその裏にある考えも解っておるつもりだ。
どうせ将来は田舎でのんびりしたいのであろう?
陞爵がそれの邪魔になると言うのだろう?」
図星を付かれ困り顔のエクス。
「分かった分かった。
研究機関についてはスカイジーネとルーディアスに、、いや、
スカイとルードにしばし任せるとしよう。
いずれどちらかを総括にする。
しかし男爵には成ってもらう。
何処からか情報を聞いてオヌシを取り込もうとする輩が居るやもしれん。
爵位を上げるに越したことはない。
あと、スカイとルードの手助けはしてやれよ。」
「、、、はい。分かりました。」
「それにオヌシはもう男爵と呼ばれているだろう?」
「へ?男爵ですか?」
「あぁ。猫男爵なのであろう?
聞いておるぞ。」
「なっ!何で知っているんですか?
一部の人が僕の頭に乗るシロガネを見て言ってるだけなのに!」
「王の情報網は完璧なのだよ。」
ニヤリと笑う国王。
「4月になったら正式に場を設ける。
貴族が王都に集まるのでな。
それまで各々更に研鑽をするように。」
王宮を出るスカイとルードはとても嬉しそうだ。
「国王陛下が愛称で呼んでくれたよ!」
「だな!しかも準男爵だってよ!」
エクスはたずねる。
「愛称で呼ばれるのがそんなに嬉しいの?」
「当たり前だよ!非公式で愛称呼びされるのは信用の証だよ?!」
「国王陛下に信頼されると周りの目が変わってくるんだ。
何時までも家名や名前呼びされる男爵、子爵なんかより尊敬されるんだ。
発言力が変わってくる。」
「へぇ〜。僕はエクスだから愛称とか無いからなぁ。」
「そうだね。平民上がりの人は名前が短いからね。」
「それでも国王陛下のエクスに対する態度は身内に見せる位の砕け方だったな。
驚いたよ!」
「うんうん。本当ビックリしたよ!」
「あ〜。多分シロガネのお陰なんじゃないかな?
いつもはシロガネにデレデレで、その姿を僕は見てるからね。」
「シロガネ可愛いからね〜。」
「国王陛下の気持ちも分かるよね!」
スカイとルードはその理由に納得するのであった。
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