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魂Xの理  作者: to-er
54/67

ep53 血筋

誤解騒ぎの鎮静化をはかるエクス。





5日ほど経った。


ミリーは女子に言ってまわり、

言葉が足りなくて誤解を招いた事を謝っていた。


エクスはスカイとルードに状況を説明し、

男子に誤解である事を伝えてもらっている。


教室内ではそのお陰で沈静化されつつある。

しかし独り歩きし始めた噂は

エクスの部屋の扉に落書きされる事態に陥っていた。


エクスは部屋の扉に誤解を謝罪する紙を貼り付け

事態の収拾を願っていた。


そんな状態にもかかわらず、エクスの隣に座るミリー。

ミリー曰く、


「誤解は有っても心友に変わりは無いから

堂々としてれば良いのよ。」


との持論だ。

ただ、そのせいで

「実はやはりつき合っているのでは」

と勘ぐる人も多かった。


考えてみれば、ミリーにとって有象無象の輩が近づかなくなる良い機会でもある。

ゲイルが五月蝿(うるさ)く言わなくなったのはそれも有るのだろう。


エクスは自分の中で納得するのであった。


「ねぇエクス。今度の休みにお父様が会いたいっていってるの。

ちゃんとお父様に私達の(心友の)事を認めて貰わないとね。」


ザワ!


あれ以来エクスとミリーの会話に聞き耳を立てているクラスメートは

その言葉にざわめき立つのであった。


「ミ、ミリー!また言葉が足りないよ!

心友としてだよね!」


「フフ、そうね。

エクスったらテレちゃって。」


どっち共取れる言い方をするミリー。


「もう!からかわないでよ!

皆んなが誤解するからね!」


含み笑いを返すミリーにタジタジのエクスであった。


「それにしてもフロックホース子爵様王都に来てたんだ。」


「いないわよ。」


「へ?」


「当然今回の事でお父様は大急ぎでこちらに向かっておりますわ。」


鬼の様な形相で走ってくる子爵を想像し、寒気のするエクス。


「一応聞くけどやっぱり会わないと駄目だよね?」


「お父様(子爵)の呼び出しに準男爵が拒否出来るか

考えてもらえば分かりますでしょ?」


「だよねぇ。」


諦め顔で空を見つめたエクスであった。



2日後。休日初日にフロックホース子爵邸の前で立ちすくむエクス。


「あ〜帰りたい。シロガネとのんびり過ごしたい、、。」


10分程うだうだしているエクス。

業を煮やした門兵が話しかけて来る。


「エクス様でいらっしゃいますよね。

子爵様よりお話は伺っております。

どうぞお入り下さい。」


「えと、もう少し待って貰えますか?

心の準備がまだ、、、」


半分泣きそうな顔で胸を押さえるエクス。



「エクス!さっきから何をしてるのよ!」


お姫様かと見間違えそうになるほど着飾ったミリーが近づいてきた。

流石は学園で1、2と言われるだけあって、

エクスはしばし見とれてしまう。


「何?私何かおかしいかしら?」


「あ、いや、綺麗だったから、、。」


「///き、綺麗?///」


「うん。お姫様みたいだったから。」


「///そ、そう?///

って言うか、さっきから門の前で何をしてるのよ。

早く来なさいよ。10分近くもウロウロしてるじゃない!」


「え?どっかから見てたの?」


「み、見てなんかいないわ!

エクスの事だからウロウロしてると思ったの!」


「そう言う事にしておこうか。」


「本当なんだからね。」


「分かった分かった。

子爵様を待たせる訳にはいかないから行こうか。」



ミリーに連れられ屋敷の中へと入る。


「そう言えばゲイルは今日はいないの?」


「ゲイルを呼ぶと暴れるから呼んでないわ。

今頃寮でボケっとしてるんじゃないかしら?」


「あぁ良かった。屋敷に入る事さえ嫌がられそうだからね。」


「フフ、ゲイルなら言いそうね。」


「だよね。あんなに嫌わなくてもいいのに。」



「ここがお父様の書斎よ。中で待ってるわ。」


「う、うん。」


エクスは深呼吸をしてノックをする。


「エクス・ヴァールハイトです。

お待たせして申し訳御座いません。」


「入れ。」

書斎の奥から声がきこえた。

何も悪い事はしていないが、怒っているように聞こえる。

誤解とはいえ、大事な娘に変な噂がたったのだ。

怒っていてもおかしくはない。


エクスは恐る恐る扉を開ける。

子爵の鋭い目つきがエクスを捉える。


「お〜エクス君良く来たな!

話しをしてみたいと思ってたんだよ!」


呆気に取られるエクス。


「は?は、初めまして、エクス・ヴァールハイトです。」


「そうだな!エクス君からしたら初めましてか。

私からするとエクス君の叙爵の時にいたからな。

顔合わせは初めてだったのを失念してたわ。」


「あの時いらしたんですね。

ミリーファスさんとはお友達として仲良くさせて頂いてます。」


「あぁ。ミリーから聞いてるよ。

ミリーの言葉が足りずに迷惑をかけたようですまなかったな。」


「いえ、私の事はどうでもよいのですが、

ミリーファスさんに貴族として悪い噂が立ってしまうのが心配で。」


「いや、聞けばミリーが悪いのだからエクス君が気にしなくてもいい。

それとも、、、」


子爵の目にスッと影が落ち、含みの有る笑顔を見せる。


「エクス・ヴァールハイト準男爵。

そなたが責任をとってミリーを(めと)ると言うか?」


凍りつくエクス。

「ひ、、人の噂も75日といいますし、答えを急がない方が良いと思います。それにまだ7歳です。ミリーファスさんにもいずれ焦がれる相手も現れるでしょう。やはり焦がれ合う者同士が一緒になるのが一番ではないかと私は思います。ミリーファスさんは学園でも1、2を争う美貌をお持ちですからこんな噂など気にしない素敵なお相手が現れると思うんですよ」


矢継ぎ早に話しをして何とか煙に巻こうとするエクス。


「冗談だ冗談」

子爵はニヤリと笑う。


「エクス君の受け答えを知りたくてね、

ちょっと意地悪してみたんだよ。

その歳にしてその受け答え、頭の回転の早さ、

娘の近くに居てもやましさが無い。

、、、良いだろう。

ミリー。エクス君となら(友達)付き合いを許そう。」


「お父様ありがとう!

エクス、(友達として)お付き合いしても良いって!

これからもよろしくね!」



どうやら1番大事な言葉が足りなくなるのは血筋のようだ。

しかもやっかいな事にワザと言う時もあるようだ。

なかなか厄介な一族に近づいてしまったと

先を(うれ)うエクスであった。




(勘弁してくれ〜!)




読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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