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魂Xの理  作者: to-er
53/67

ep52 誤解

祝福後の初登校

思いもよらない事態にエクスは直面する。





教室に入り定位置の席に座る。

しばらくしてスカイとルードが来てエクスの隣に座る。

常態化した風景である。


ロンフィールでは猫の人と噂されたエクスであったが、

最近クラスでは猫男爵と噂されているようだ。

準男爵なのだが叙勲されてる事から、

上の爵位、男爵呼びされているのだ。


通常貴族は該当の爵位で呼ぶのは当たり前なのだが、

呼びやすさと嫌味を含めてのあだ名となっていた。


「猫男爵が来たぞ。」


「シロガネちゃん可愛い!」


などヒソヒソと聞こえてくるのだった。


「エクス、おはよう。」


突然挨拶された事に驚くエクス。

振り返るとミリーがそこにいた。


「やぁミリー。おはよう。」


「スカイ君、ルード君もおはよう。」


エクスのおまけか?と内心思うスカイとルード。

しかしそれよりも物腰の柔らかくなったミリーに驚きを隠せない。


「「お、おはよう、、。」」


どもりながらハモるスカイとルード。


ミリーは4人がけの席を3人で使っていたエクス達の席に腰かけた。


驚くスカイ達をしりめにミリーは話し始めた。


「ねぇエクス、聞いて!

私魔力が上がっていたのよ!」


「今回はちゃんと上がったんだ。

良かったね。」


「エクスが私のために祈っでくれたからね。

まぁそれが無くても貰えたでしょうけど。」


微塵も祈っでいなかった事に心苦しくなるエクス。


「ミリーの祈りが通じたんだよ。」


「まぁそうでしょうけど、エクスにもお礼を言っておくわ。」


ルードが不思議そうに話てくる。


「お前らってそんなに仲良かったっけ?」


自慢気にミリーが話す。


「エクスと私は誕生月をお祝いし合うほどの仲なの。

私のために顔を赤くして祈ってくれたのよ。

ね!シロガネちゃん」


突然話しを振られたシロガネはキョトンとして首を傾げる。



「おい!雑草!ミリーに馴れ馴れしくしてんじゃねーよ!」


ミリーの双子の弟、ゲイルが声を荒げて近づいてきた。

それを聞いたスカイは怒りをあらわに反論する。


「今の話し聞いてた?エクスは別に馴れ馴れしくなんてしてないよ!

よく聞いてもいないのにエクスを悪者みたいに言うんじゃない!

そんなんだからシスコンって言われるんだよ!」


エクスはギョッとした。

温厚なスカイが声を荒げるのもそうだが、

みんなが敢えて言わなかったシスコンと言う言葉を使ったのだ。


「ごめんねエクス。ウチの弟は私の事大好きで直ぐ嫉妬するのよ。」


更にギョッとするエクス。

ミリーにまでシスコンを肯定されたようなものだ。

ゲイルにも立場があり、シスコンで片付けられると立つ瀬が無い。

有象無象の言い寄る輩を排除したい気持ちも有るだろう。

まぁシスコンなのだが。


立ち止まったゲイルは顔を真っ赤にして

「もういい!ミリー!そいつ等に近寄るな!」


「ゲイル、私は友達と一緒にいるだけよ。口出ししないで!

それにエクスは心友なんだから雑草とか悪口言わないで!」


「心友?そんな奴と心友なんて許さないからな!」


当然エクスはミリーと心友になった記憶は無い。

唖然呆然とするスカイとルード。

エクスは違う違うと2人にジェスチャーをする。


スカイとルードは親指を立てて

分かったとジェスチャーをする。


ホッとするエクスは胸を撫で下ろした。


「誰と誰が心友になろうともゲイルには関係無いだろ!」


「そうだよ!弟だろうが何だろうが心友同士を引き裂く道理はないよ。」

ルードとスカイが暴走する。


「え?!、、、

違う!心友を許さない事にじゃなくて

そもそも友達ですら、、、。」


「そうよ!私とエクスは(心で)繋がりあった関係なの!

私はエクス(の気持ち)を受け入れて(心が)繋がったのよ。

もうゲイルには私とエクス(の心)を引き裂く事は出来ないわ!」


ミリーはエクスの反論を打ち消してしまう。


ザワ!


騒めく教室。


男共の断末魔。


女子の黄色い悲鳴。


大袈裟に言った事に赤くなるミリー。


固まるゲイル、スカイ、ルード。


ムンクの叫びのように青ざめるエクス。


寝ているシロガネ。


「繋がった関係?それって、、」

「キャ〜!ミリーファスさん大胆」

「学園で1、2を争うミリー様があんな男と、、」

「愛しあう2人を引き裂く事は、、」

「猫男爵とミリー嬢が、、」

「赤くなったミリー嬢も美しい、、」

「終った。僕の恋は終った。」


憶測が波紋となって伝播していく


(まずい!何とか誤解を解かないと)


エクスは立ち上がり声を張り上げる。


「ミリーの言葉が足りなくて皆な誤解を、、、」


教室の扉が開き、担任のモルデンナートが入って来た。


「騒がしいですよ!皆んな席について!授業を始めます。」


体が硬直し魂が抜けるエクスであった。




ザワついた1日が終り、放課後になる。


「エクス、一緒に帰りましょ。」


ミリーはエクスの手を引っ張った。

魂の抜けたエクスは促されるまま教室を後にするのであった。


通常であれば女子の輪の中で皆の誤解に気付く筈のミリーだが、

今日はエクスの隣に居続けた為に

事の重大さを分かっていなかったのであった。


「ウフフ。ゲイルも皆んなも私達が仲が良いのが分かったようね。」


「あ、あのミリーさん。

今の状態分かってますか?」


「なによ!さん付けなんて気持ち悪いわね。」


「このままだと僕はフロックホース子爵様に殺されるかもしれない。」


「なんでお父様にエクスが殺されるのよ。」


エクスはミリーの言い方で

どれ程の誤解を招いているのかを説明した。


「えっ?じゃ、じゃぁ皆んな私とエクスが

そう言う関係と思っているの?」


「確実にそう思われてるよ。

しかもミリーが言ったと言う事が重大で、

僕が言ってたなら猫男爵の妄想で済んだんだろうけど、、。」


「だって私達まだ7歳よ!

そんなはず無いじゃない。」


「貴族間で婚約は産まれる前から決まってる事も有るし、

絶対に無いとは言えないんだよ。

早いとこ手を打たないと僕が殺され無いとしても

僕達が結婚しないといけなくなるかもしれないよ。」


「わっ私とエクスが結婚、、、。

それは、、それで、、良いかな。」


「え?何て言ったの?良く聴こえなかったんだけど。」


「ううん。なんでも無い。」


「まだ殺されたくは無いし、

ミリーが傷ものに見られちゃうから何とかしないと。

貴族間で知れ渡ったら大変だよ。」


「そ、そうね。家の者と相談してみるわ。」


「うん。お願いね。

僕は貴族間の事よく分からなくて。

準男爵でも元はただの平民だからさ。」



「分かったわ何とかするから。」


ミリーは寮には帰らずに

後方を歩いていた従者と共に王都の別邸へと向かって行った。




読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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