ep50 7歳の誕生月
7歳の誕生月を迎えたエクス。
身支度をして向かう先は、、、
1月
エクスの誕生月となった。
7歳になったエクスは身支度を整える。
祝福の日だ。
5歳の祝福で治らなかったステータスの異常に変化は有るのか。
それともやはり7歳男子には何も無いのか。
割れんばかりの頭痛に気を失った5歳の祝福を思い出し
恐怖が脳裏をかすめるのであった。
「あんな思いはしたくないなぁ、、」
ドキドキし始める心臓に手を添え、
深いため息をついた。
多分鐘の音が聞こえれば何処でも大丈夫なのだろうが、
念のために教会に入り、邪魔にならぬよう後ろの端の席に腰掛ける。
「あれ?エクス君何で此処にいるの?」
その声にエクスは振り返った。
そこにはこれでもか!と言う位のおめかしをしたミリーが立っていた。
「やぁミリー。ちょっと用事が有って僕も来たんだよ。
ミリーは外の広場に行かないのかい?」
「嫌よ!服が汚れちゃうじゃない!
って言うか7歳の貴方が何の用事が有るって言うの?」
「個人的な祈りだよ。」
「ふうん、、。
じゃぁ私がまた祝福が貰えるように祈ってて。」
「え?何で僕が?意味分かんないよ。」
「いいじゃない!私の為なんだし。」
どうやら自分がモテている事が分かってるようだ。
学園では猫をかぶっていたのだろう。
「はいはい。じゃぁそうするよ。」
別に声を出す訳でもなし、何を祈ってるかは誰にも分からない。
適当な相槌を打ってエクスはその場を過ごした。
しばらくして外が静まりかえる。
どうやら祝福が始まったようだ。
ミリーは何故か隣で必死に祈っている。
たまにこちらを見て
「ちゃんと私の為に祈ってよね!」
と、しきりに話しかけてくる。
「もしかして3歳の時貰えなかったのか?」
「なっ!そんな分け無いじゃない。
私が貰えないはず無いでしょ!」
「うん。まぁ全員貰ってる筈だよ。
ステータスに出ないだけで。」
「え?ステータスに出ないって何?
そんなの聴いてない。」
「あぁ。ステータスって生命力と魔力。
それと腕力と脚力の4つしか分からないじゃない?
分からないけど物理防御や魔法防御、運何かも在るはずなんだよね。」
「そう言われてみるとゲイルと喧嘩した時、
祝福の前より痛く無くなったのよね、、、。」
「やつぱり前回無くて焦ってたのか。」
「ぁ、焦ってなんかないわ!
たくさん祝福を貰ったのかって思っただけよ!」
「いや〜、今まで一回で2つ貰った記録は無いんだけどねぇ。」
「まぁいいでしょ!細かい事言わないの!嫌いになるわよ!」
「?じゃあ僕の事嫌いじゃ無いって事か。」
「にゃ!にゃにを言ってるのかしら?揚げ足を取らないでよ!」
「そう言えば」
「な、なによ!」
「誕生月おめでとう。」
「え?あ、ありがとう///。
エ、クスも、、お、おめでとう///。」
「ありがとう。」
顔を真っ赤にしてうつむくミリー。
これ以上からかうと本当に嫌われそうなので止めておくエクスであった。
「そろそろ鐘が鳴る頃だよ。」
「そ、そうね。
ちゃんと祈りなさいよ。」
「分かったよ。」
言葉の終りしばしの沈黙の後、真上から鐘の音が大きく響き渡った。
全身に痛みが走る。
しかし5歳の時程ではない。
やがて鼓動が早くなり、周りの音が聞こえない程の心拍音が耳を塞いだ。
ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!
音と共に血液が流れるのを感じる。
毛細血管までも脈打ち、体が熱を帯び始め、
全ての細胞が破裂しそうな感覚に見舞われるのであった。
最後の鐘の音が鳴り止む頃エクスの体は通常の状態に戻り
極度の脱力感で疲労と安堵に包まれるのであった。
「?エクス?顔色が悪いわよ。大丈夫なの?」
祈りを終えたミリーはエクスを見て驚いている。
「あぁ。大丈夫だよ。
、、、いつの間にか名前に君が無くなっているね。」
「え?そ、そうかしら?いけなかったかな、、。」
「いや。それで良いよ。僕はずっとミリーって呼んでるよ。」
「エクス。エクス。、、
そうよね。私達の仲なんだから当たり前よね。エクス。」
いや、そんなに仲良くはしてないが。と思いつつ
「そうだね。これからも呼びすてで良いからね。」
と返すエクスであった。
「ねぇ。まだ帰らないの?」
エクスの顔を覗き込むミリー。
「うん。もう少しここに居るよ。」
脱力感の続くエクスはそう答えた。
「じゃあ私行くね。早くステータス鏡を見なくちゃ。」
「またね。ステータス上がってると良いね。」
「うん。ありがとう。またね。」
ぞろぞろと教会から出ていく人達にまみれミリーは帰って行った。
ぽつりと1人残ったエクスはステータスの魔法を発動する。
バグっていた箇所は既に無くなっていた
が、全てが数字に変わっていたのだ。
通常HPなら7歳で7ぐらいなのだが、バグっていた文字が数字になり897など人外の数字になっていたのだ。
実際今のエクスは体力や魔力がみなぎっている。
フルパワーで前の椅子の背もたれを掴むと、
くたびれたスポンジのように潰れ、指の形に凹んでしまったのだった。
(これもう人間じゃないよ、、、。)
あまりの状態に落ち込んてしまうエクスであった。
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