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魂Xの理  作者: to-er
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ep46 叙爵

海苔を手に入れたエクスは、ある物を作り始める。





夜中過ぎ、寮の厨房にエクスはいた。



食事時を外して厨房が使われていない時間にお願いをして、

大量にお米を炊いていたのだ。


エクスは手を真っ赤にしながらおにぎりを作っていく。

最後に海苔を軽く緑色になるくらいに炙っておにぎりに巻いていく。


「よ〜し。完成だ。」


大量のおにぎりをインベントリに収納していく。

エクスは狩りに行った時に肉とかは食べるが、

お米が無い事が物足りなく感じていたのだった。


日本人だった前世では3食米を食べていた記憶は、

米無しの食事を味気ないものとしていたのであった。


「ウフフ!おにぎり、おにぎり。」


ニヤつくエクスを扉の隙間から見ていたシロガネは、

心配そうにエクスを見つめるのであった。




学園の授業は1週間、7日間の月曜から木曜日の4日間である。

子供といえどこの世界では労働力としているからだ。

王都に実家が有っても食費を削る為に寮に入れられている子供達は、

午後や休みの日には家の手伝いに行くため、一般寮はほぼ無人と化すのであった。


普段は静まりかえる日曜の寮だが、何故か騒がしく人の声が聞こえていた。


コンコン


エクスの部屋の扉を誰かがノックする。


夜中におにぎりを作っていたエクスは、少しダルそうに返事をした。


「は〜い。入ってま〜す。」


「良かったわ。まだ居たのね。

エクス君ちょっと良いかしら。」


声の主は寮母さんらしい。


エクスは扉を開ける。


「寮母さん。何か厨房でかたし忘れた事でも在りましたか?」


「そうじゃないのよ!エクス君!

王宮の方がエクス君を迎えに来てるのよ」


「はい?」

眠気が覚めるエクス。


「直ぐに着替えて食堂まで来てちょうだい。待っててもらっているから。」


「えぇ?、、、分かりました。着替えて行きます。」


エクスは慌てて一番良い服に着替え、食堂へと走った。


「すみません。お待たせしました。」


息を切らして食堂へ入るエクス。

そこにはロンフィール伯爵とブルーフォレス伯爵が立っていたのであった。



「エクス!久しぶりだな!」


「今日は突然すまんな。」


「は、はい。お久しぶりですロンフィール伯爵。

お久しぶりですブルーフォレス伯爵。」


「おいおい初めて会う訳でなし、何を緊張してるんた?!」

にこやかにロンフィール伯爵はエクスの頭を撫でた。


「そうだぞ!息子の友達だ、公式の場で無ければもっと砕けて良いんだぞ。」

続けてブルーフォレス伯爵もエクスの頭を撫でる。

寮母はその光景にあ然としていた。


ロンフィール伯爵は語りだす。


「エクスよ、ダンジョンを見つけたんだって?

王宮でかなり大騒ぎになってるぞ。」


「丁度私達も王宮に居てな、良いタイミングと思って

魔素の件を王に耳打ちしたのだよ。」


「で、王は事の重大さを考慮して非公式での王との謁見を提案してくださった。」


「我々はエクスと顔見知りだから呼んでくると進言してここに来た訳だ。」


「じゃぁ今から王宮へ?」


「あぁ。表向きはダンジョンの事でとなっているがな。」


「わ、、分かりました。」


突然の事に混乱した頭を整理しながら、エクスは王宮の馬車へと乗り込んた。



王宮へと入るエクス。


伯爵達はまた後でと言い先に歩いて行った。

執事に連れられたエクスは巨大な扉の前に立たされる。

(あれ?非公式だよな?)

焦るエクス。


『中に人がいっぱいいるニャ。』

従魔として同行の許されたシロガネがエクスに話しかけた。


(これつて公式の場だよね?)


『シロガネには分からないニャ。でも雰囲気が違うニャ。』


戸惑うエクスの前にある巨大な扉が騎士の手によって開けられる。


赤い絨毯(じゅうたん)が王の前まで敷き詰められており、

その周りを貴族達が取り囲んでいた。


執事に導かれながら王の御前へと足を進める。


「エクス殿をお連れ致しました。」


王が手を横に移動させると、執事は後方へ下る。


頭を下げるエクス。


「私はジーポング王国国王、

グレスフィン・ラグンハーツ・ジーポングである。

エクスよ、面を上げなさい。」


頭を起こすエクス。


「この度我が王都の危機、そして利益と成りうるダンジョンの発見、

誠に大義であった。

聞けばその方ロンフィールの発展に寄与し、

更には我が家臣ブルーフォレスの子息を襲った70にも及ぶゴブリンを討伐し

命を救ったとも聞く。

その素晴らしき行動、大義に叙勲と叙爵を持って応えよう。


ヴァールハイトの名を与え、エクス・ヴァールハイトに準男爵の爵位と勇志功労勲章を授ける」



「おお!」

貴族達が騒めく。

(よわい)5歳にしての叙勲、更には騎士(ナイト)爵を飛ばして準男爵の叙爵。

叙勲を考えれば更に上の男爵と同じ地位を得た事となる。

王国始まって以来前例のない事態に貴族達は感情を隠しきれずにいた。



「謹んでお受け致します。」


王からのそれは断われば無礼となる。

貴族達の視線を気にしながら

エクスは頭を垂れるのであった。





読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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