ep44 騎士団長
ダンジョンのドロップアイテムを売りに行くエクス。
王都に着いたエクスはギルドに向かう。
「あの、買い取りお願い出来ますか?
ちょっと量が多いんですけど。」
「かしこまりました。では奥の買い取り所へどうぞ。」
案内された場所に行き、そこの受付の人に話しかける。
「量の多い買い取りのお願いなんですが、
向こうの人にこっちに行くよう言われて来たんですが。」
「はい。買い取りですね。
ではこちらに出して貰えますか?」
かなり大きなテーブルがあり、
エクスはそこにダンジョンで手に入れたドロップアイテムをだした。
!!!
「少々お待ち頂けますか?」
受付の人は慌てて扉の奥へ入って行った。
しばらくしてもう一人連れて戻って来た。
「、、、ですよね?」
「、、たしかに、、、。」
二人はボソボソ話した後、エクスに問いかけた。
「すいませんが、これは何処で手に入れた物でしょうか?」
「そこの西の森にダンジョンが有ったので、そこで手に入れたんですが。」
「西の森ですと!」
慌てて1人が走り出す。
「今まで王都周りにダンジョンが出現した記録はありません。
もしそうなら騎士団等で危険性の確認をしないといけませんので、
詳しい場所と魔物の種類をお話願いたいのですが。」
「はい。分かりました。
でもドロップアイテムを見て分かると思いますが、虫系ばかりてしたよ。」
「それでは先にアイテムの鑑定を致します。少々お待ち下さい。」
受付のは鑑定員を呼び集めた。
騒めく鑑定員。
受付の人と何やら話しをしている。
険しい顔になりエクスの元に走ってきた。
「エクス君が全部倒したのかい?」
受付の人はあまりに驚いたのか、口調が子供と話すそれになっていた。
「僕と従魔のシロガネで倒しましたが?」
「5層踏破の証が有るけどボスを倒したのかい?」
「はい、倒しましたよ。それが何だか分からないから聞こうと思ってたんです。」
「これを持ってダンジョンに入ると次の階から始められるんだよ。
ボスは何だったのかな?アイテムはそこに出してないみたいだけど。」
「へぇ〜便利だなぁ。
それは持ち帰りますね。
えっと、あとボスはデスカマドでしたよ。」
「デ、デス、、。
あれは通常の剣では切れない強固な外骨格が有るはず!それを倒したと?」
「凍らせてから斬系の魔法で倒しました。 ドロップアイテムはしばらく取っておこうかと思って出してないんですよ。」
「、、、。エクス君、明日また来てくれないかな?
場所とかはその時でいいから。」
「分かりました。明日の朝また来ますね。」
「ああ。買い取り金額もその時渡すよ。」
エクスはギルドを後にし、寮へと戻る。
『明日もダンジョン行くニャ?
まだ先があるみたいニャ。』
「そうだね。ギルドが早く終わったら行ってみようか?」
『行くニャ!でもまた虫だったら帰って来るニャ。』
「さんせ〜い。しばらく虫系はいいかな。そうだったらすぐ戻って来よう。」
「ウニャ!」
普段のエクスなら、王都付近にダンジョンが現れたことが、
どれだけの意味を持つか分かるはずであった。
当然ダンジョンに入る前は頭の片隅に有った事なのだが、
ダンジョン内でグロテスクな巨大虫と戦い続けた結果、
ボロボロになるエクスのメンタル。
更に追い打ちとなったのがデスカマドであった。
前世でエクスが虫を嫌いになった原因となったのが、
半透明の竈馬だったのだ。
それの巨大化した姿を見たエクスのメンタルは完全崩壊していたのであった。
その晩、エクスは一晩中悪夢にうなされ続ける羽目となり、
翌朝、浅く短い睡眠を繰り返したエクスの顔は、
げっそりとヤツレたモノとなっていた。
シロガネのモフモフで心のダメージを少しばかり癒やしたエクスは
約束通りギルドに顔を出すのであった。
「おはようございます、、。」
「エクス君おは、、?!
おいおい!何かヤツレてないか?」
「ちょっと夢見が悪くて、、。」
「そうか、、。
取り敢えず奥の部屋に来て貰えるかな?」
エクスは奥の部屋の扉を開ける。
そこには白い鎧を身に纏った騎士団長が待っていたのであった。
「初めましてエクス君。私は王国騎士団団長をしている、
ウィルネスティ・ダイスローブだ。
ウィルと呼んでもらって構わないよ。」
差し出された手を握るエクス。
「エクスと申します。
お会いできて光栄です。ウィル団長。
、、あの・・。」
「なんだい?」
「もしかしてモルデンナート先生の・・・。」
「ああ、モルの生徒だったのか。あいつは私の弟だよ。
たしかAクラスを受け持つって威張ってたからエクス君はAクラスなのかい?」
「はい。何か一般で初めてらしいです。」
「初日でモルは鼻っ柱をへし折られたらしいが、
それってエクス君がやったのかい?」
「僕では無いのですが、、、僕、、絡みでちょっと有りまして。」
「あいつは今は一般と同じくせに侯爵家の人間だと威張り散らす所があるからな。
想像はつくよ。」
「アハハ、、。」
受付の人が話に割って入ってくる
「そろそろ話を進めたいのですが。」
買い取りのお金と地図を机に乗せる。
「先ずは買い取り金額の方ですが25金貨と9銀貨となります。
宜しければお納め下さい。」
エクスはアイテムバッグにお金を入れる。
「次にダンジョンの件となりますが、
この地図のどの辺りになりますでしょうか。」
今現在の方角と地図の方角を合わせ聞いてきた。
「えっとこの辺ですね。
2メートル位の草に覆われた岩で、先の見えない漆黒の穴があります。
そこが入口になっていて、入ると石造りのダンジョンになってます。」
「魔物について詳しくお願いします。」
「僕は5階まで降りたんですが、1〜2階は低級の魔物です。
3〜4階は中級クラスで5階は中上クラスが混ざってます。
その最奥にボス部屋が有って、デスカマドがいました。」
「全て虫系でよろしいですか?」
「はい。ボスまで全て虫系でしたね。
これが大体のルートになります。」
エクスはオートマッピングを昨晩書き写していたものを提出する。
ウィル騎士団長は驚きの声を上げた。
「何だこのマッピングの精度は?!
しかもこれだと5階層までは全て踏破しているのか?!」
「宝箱とか無いかな?って思って。」
頭をかくエクス。
「しかも中、上位種、最上位のボスまで倒したのか」
「斬系の魔法が有れば虫は簡単でしたよ?」
「魔法?ああ、魔道具か。
そんなに強い魔道具が有ったかな?」
「日進月歩で世界は変わって行くんですよね。」
「??、ああそうだな。」
「騎士団長。あの話は了解頂けますか?」
「ああ。エクス君なら大丈夫だろう。」
「分かりました。
エクス君、冒険者カードを出して貰えるかな?」
「?あ、はい。どうぞ。」
エクスは冒険者カードを差し出したのであった。
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