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魂Xの理  作者: to-er
44/67

ep43 ダンジョン

エクスは漆黒の暗闇に進んで行く。





エクスはその漆黒の穴らしきものを観察していた。


岩自体奥行きは無く、中が見えない筈が無いのである。


「やっぱりこれって別の何処かに繋がっているよね?」


『分からないニャ。黒すぎて嫌な感じニャ。』

イカ耳をしたシロガネは匂いを嗅いでいる。



「もしかしてこれってダンジョンなんじゃないかな?」


『ダンジョンって何ニャ?』


「生命体の1つでね、その中は広い迷宮になっているんだ。

食虫植物みたいに迷い込んだ人や動物を中で創り出した怪物で殺して、

その死体を消化して栄養にしてるんだ。」


『植物なのかニャ?』


「分かんない。鉱石かもしれないし、動物かもしれない。

この感じは魔獣では無いと思うけど。」


『入ったら閉じ込められて溶かされるのかニャ?』


「いや。魔物のドロップアイテムとかお宝とか

多分星の記憶から造られると思うけど、そう言うのが有って、

生きて帰った人が他の大勢の人を連れてくるようにしてるんだ。

そう考えるとなかなかしたたかな存在だよね。」


『なら入ってみたいニャ!楽しそうだニャ〜!』


「ちょっと怖いけど入ってみようか。」


エクスは恐る恐る漆黒の暗闇に手を入れる。

何かに触る感触は無い。

仰け反りながら足、体、顔と暗闇の中へ入れていった。


入った途端エクスは驚いた。

四角く整った石の壁に囲まれた迷路のようなダンジョンがそこには有ったのだ。


『凄いニャ!突然こんな場所になったニャ!』


「シロガネ、ちょっと待ってて。」


エクスはその場で立ち止まり魔法を創り始める。

方角を固定し進んだ道と見た風景を2次元的に記録する。

いわゆるオートマッピングの魔法だ。


「うん。こんなもんかな?。

お待たせ〜。じゃぁ行こうか。」


エクス達はダンジョンの奥へと入っで行った。


ダンジョン内で魔物を倒すと直ぐに霧散して消えてしまうようだ。

その代わりにドロップアイテムを落としていく。

ダンジョンと言う生き物の体内魔力を出来るだけ減らさず、

なおかつ再度人を(おび)き寄せる事を合理化した結果であろう。


1〜2階は昆虫を大きくした魔物が出現する。

これは一部を除いてダンジョン内でしか見る事は出来ない。


それらのドロップアイテムは通常では手に入らない軽くて硬い外骨格等が有り、

入手量も多いので初級冒険者の防具等で多く使われている。


「またこのアイテムか〜。

でっかい虫ってグロいし嫌いなんだよねぇ。」


『打撃には強いけど斬系で一発だニャ。

手応え無いニャ〜。』


「足とか切り落としてもしばらくウニウニ動くのも気持ち悪いし

もう虫系は嫌だよ。」


『シロガネはあれ好きニャ!ペシペシしたくなるニャ!』


「それで途中からソワソワするのか。

危なく無い範囲でペシペシしててもいいよ。」


『ホントかニャ?!

、、でもエクスを守るのはシロガネの役目ニャ。我慢するニャ。』


「クスッ。

そうなんだ。よろしく頼むねシロガネ。」


『まかせるニャ!』


「さぁとっとと次の階に行こうか。

虫じゃないと良いんだけどね。」


『らニャ〜!』



次も、そのまた次も虫虫虫であった。

上位種になったり、ドロップアイテムが豪華になったりと多少の変化は有ったが、

基本は斬系の魔法で終わるのであった。


5階も虫なので無視して進むと、扉の付いた大きな部屋にたどり着いた。


サーチにはデスカマドの表示があり、かなり強い反応になっていた。


「シロガネ、ここはボス部屋みたいだ。

かなり強いと思うから気をつけて!」


『分かったニャ!』


エクス達が部屋に入ると扉が勝手に閉まった。

倒すまで出れないお約束であろう。


薄暗い部屋にデスカマドがいる事は感じられたが姿が見えない。

エクスはライトの魔法で部屋を明るくした。


部屋の隅でモゾりと動くデスカマド。


丸い背中、体の3倍は有る後ろ足、4倍は有る触角。

暗闇で育つ個体に見られる半透明の体は

内臓や体液の不規則な流れが見て取れ、

黒い斑模様が不気味さを増している。


紛れもなくかまどうまの魔物である。


前世でエクスが最も嫌いであった虫の巨大な体を見て、

寒気と吐き気を催すエクスであった。


「シロガネ!奴は予備動作無しでここまで跳んでくるぞ!気を抜くなよ!」


『分かったニャ!』


触角をゆらりと動かしながらデスカマドはエクス達を注視している。

その瞬間デスカマドの体が視界から消えた。

強靭な後ろ足でする跳躍はその巨体を瞬時にエクス達の頭上まで跳ばしたのだ。


エクス達はギリギリ左右に回避する。


『危ニャ!目で追いきれなかったニャ!』


「ゆっくりした動作からいきなり来るから目がついていかないんだ!

基本は真っ直ぐ跳ぶから落ち着いて!」


『分かったニャ!』


「こいつの動きを遅くする!

僕の範囲魔法に気を付けて!」


「ナーオ!」


「アイスコフィン!」

デスカマドを絶対零度が包む。

熱力学上の0度、-273.15度が瞬時にデスカマドの動きを鈍らせる。

外骨格は白く凍り、関節がバキバキと音を立てる。


シロガネは光子を収束し、レイブレイドでデスカマドを両断した。

光子の高密度化した高温の刃は

絶対零度に凍るデスカマドの外骨格をその温度差で蒸発させ、

豆腐を切るが如く容易(たやす)く両断したのだった。


デスカマドが粒子へと返っていく。

エクス達はデスカマドの外骨格、デスカマドの触角、デスカマドの足、

5層踏破の証を手に入れたのだった。


「何だ?5層踏破の証?何に使えるんだろう?」


『あそこの岩が光ってるニャ!綺麗だニャ!持って帰るニャ!』


「分かった分かった。

インベントリにしまおうか。」


インベントリを収納しようと岩を触ると、エクス達は光に呑まれた。




エクス達は気が付けばダンジョンの入口に立っていた。


「あれ?もしかして転送された?」


『入口だニャ。戻されたニャ!』



「終りだったのかな?

取り敢えず今日はもう帰ろうか。」


『そうだニャ。虫はもういいニャ。』




エクス達は王都に向け歩き始めた。




読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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