ep40 新たな友達
友達の友達は友達になる。
「おはようエクス〜。」
「あっスカイ。おはよう。」
「シロガネもおはよう。」
「グルニャ~。」
寮を出たエクス達にスカイが駆け寄って来た。
「今日から学園生活の始まりだね。楽しみだなぁ。」
「スカイは貴族だからいいけど一般人の僕は気が重いよ。
逃げ出したいぐらいだ。」
「あはは。まぁなるようになるさ。僕もいるし、
そんなに気にしなくて大丈夫だよ。」
「取り敢えずは学園では猫をかぶるつもりだから。」
「なるほど。シロガネを頭に乗せるのね。」
「ちが〜う!、、乗る時はあるかもだけど。」
「冗談冗談。でも学園では身分は関係無いわけだから、
そんなに気にしなくても良いんじゃない?」
「そう言う事にはなってるけどさ、貴族にもプライドがあるからね。
突然一般人におい!お前!なんて言われたらムッとするだろ」
「それは貴族に言われてもムッとするってば!」
「そりゃぁそうか。」
エクス達は教室に入る。
ここでも一般教室とは違い装飾品で飾られていた。
貴族達が子供の目を養う為に寄付されたものなのでだろう。
エクスは悪目立ちしない為に一番後ろの椅子に腰掛けた。
スカイは当たり前のように隣に座る。
「僕は皆の視界に入らないようにここにしただけだから
好きな所でいいんだよ。」
「僕はここが良いんだ。」
「そっか。ありがと。」
スカイは嬉しそうに笑った。
少しすると人が増え賑わい始めた。
学園には制服が有り貴族用もある。
形は同じだが色が違っていて、貴族は白ベース、一般は深緑ベースとなっている。
貴族の一部には一般の緑を見て雑草と呼ぶ人がいた。
「おいおい!後ろの席に雑草が生えてるぞ。
お父様に言って雑草取りしないといけないな。」
予想通りのテンプレ発言に、やっぱりねと、軽くスルーをする。
純粋なスカイは何の事かわからずにエクスに聞いてくる。
「?雑草なんか何処にも無いよね?何を言ってるんだろう?」
「あ〜。僕の着てる一般用の深緑の制服は、草の色みたいだからね。」
「何それ?悪口だったの?こんなに綺麗な色なのに!」
「だよね。僕も良い色だと思う。
たから言いたい奴には言わせておけばいいよ。
それに雑草は強いんだからね。」
「エクスは本当に強いけど、、。
まぁそう言うならいいけどさ!」
むくれるスカイを見てクスクス笑うエクスであった。
「スカイ。先に行くなんて酷いじゃないか。」
誰かがスカイに話しかけてくる。
「ルード、おはよう。エクスと来ようと思って先に出たんだよ。」
「初めましてエクスと言います。」
「初めましてエクス君、僕はフォルパディ伯爵家の4男
ルーディアス・フォルパディ。 ルードって呼んでね。
スカイの友達なら僕も友達としてでいいからね。」
「なら呼び捨てで良いからね〜。」
「フォルパディ領はブルーフォレスの隣にあって
ルードとは友達なんだ。」
「ニャ~」
「シロガネも紹介しろってさ。」
「あ!ゴメンよ。
ルード。この子はエクスの従魔でシロガネって言うんだ。」
「初めましてシロガネ君。よろしくね。」
「アウニャ~」
「シロガネもよろしくだって。」
「?猫の言葉が分かるの?」
「流石に猫語は分かんないよ。
でも僕とシロガネは心で会話出来るんだ。
思考伝達って言うらしいよ。」
「凄いなぁ!僕とも話が出来るの?」
「内緒にして貰いたいんだけど、シロガネからなら出来るよ。」
「それ、僕聞いてないよ?!」
スカイはエクスに詰め寄った。
「あまり人に言いたくなかったからね。
スカイに聞かれたらもちろん教えたよ。」
「シロガネ!僕に何か喋ってみて?!」
『何かって言われるのが一番困るニャ』
「本当だ!お話出来るよ!」
「シロガネ君僕にも何か言って?!」
ルードはシロガネに顔を近づける。
『シロガネにはシロガネで良いニャ。
君は要らないニャ。因みにレディニャ!』
「うわ〜本当だ!頭の中で声が聞こえてきたよ!」
スカイとルードは顔を見合わせて笑った。
「ねぇ、スカイ。エクスとは仲が良いみたいだけど、何時知り合ったの?
僕の記憶ではこれだけ仲が良いのは僕だけだったはずなんだけど。」
「一週間位だったと思うよ。
王都に来る時に乗ってた馬車がゴブリンの集団に襲われてね、
護衛の人たちも追い詰められてもう駄目かなってなったんだ。
その時エクスが一人で助けに来てくれて、
70匹近くのゴブリンを倒してくれたんだよ。」
「・・・ん?ゴメン。
今エクスが一人でゴブリンを70匹近く倒した
って言ったの?」
「そうなんだよ!刀を使って物凄い速さで切っていったんだ。」
ルードは目を丸くし、まばたきもせずにゆっくりとエクスに顔を向けた。
エクスはにっこりしながらコクンとうなずいた。
「国宝級の魔道具とかではなく刀?
いやいや、護衛がやられる程のゴブリンを70って!」
「お父様もこの出会いを凄い喜んでいてね、
エクスに僕と対等の立場を授けたんだよ。僕の良い友達になってくれって。」
「ブルーフォレス伯爵が?!
人を見抜く力は世界一とまで言われた伯爵が?!
認められただけで箔がつくとまで言われた眼力の持ち主が?!
一般人に自分の息子と対等の立場を授けた?!」
「しかもロンフィール伯爵から叙勲をされてるんだよ。」
「エクスって勲章持ちだったの?5歳で?!
一般人でもナイト爵クラスの立場になるって事だよ?!
・・・
良い奴なのは分かるけど、何者なんだよエクス・・・。」
「まあまあ、ルード君。落ち着きなさい。
そんなにいっぱい驚き解説してると血管切れるよ。」
「エクス・・。おぬしの常識外れの内容のせいだよ
心配ありがと。」
ルード小さなため息をついた。
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