ep38 三者密談
エクスと伯爵達の話は核心部分に進む。
「話はは変わるがエクスよ。王に会いたいと聞いたが、
内容も分からぬまま王に謁見をさせるなど不可能だ。
どんなに秘匿すべき内容であろうとも、
内緒のままでは一国の王に話を通す訳にはいかない。
他言無用と言う事で私達に話してもらえんか?」
エクスは目を閉じ深く考える。
「分かりました伯爵御二方になら。」
「うむ。では場所を変えるとするか。」
応接室はその一語一句を隣の部屋で記録しているのだ。
第三者の聞くことが出来ない個室へと案内される。
「ここなら我々以外誰の耳にも入らぬ。
話してもらえるかな?」
エクスは最後まで心の葛藤をしながらブルーフォレス伯爵に問いかけた。
「・・・伯爵様は魔力とは何だと思いますか?」
「体の中にある魔法の力だな。」
「・・その魔力は何処から来ると思いますか?」
「自然に湧いてくるものだ。」
「もしもそうではなく、無限と言える程に魔力が使えるとしたらどうしますか?」
「それは凄い事だな。誰もが使えるならより良い生活も出来そうだ、」
隣で黙って聞いていたロンフィール伯爵が問答を遮る。
「いや!ブルーフォレス伯爵。全ての民が使えるならば国として存続が怪しくなるぞ。」
「・・・そうか!犯罪に始まり、国家間の争い。戦争にまで発展するな。」
ロンフィール伯爵は目を見開きながら瞬時にエクスを見つめた。
「!エクスよ!もしかしてお前は無限に魔法が使えるのか?」
一瞬の間を置いてエクスは語りだす。
「無限ではないでしょうが、それに近い量の魔法を発動できます。」
「「何だと!」」
伯爵達は声を揃えて叫んだ。
「魔道具の使用と言う制限が在るからこそ世界は今平和に暮らせています。
限りなく魔法が使えれば、確かに国が荒れると私も思います。
ただこの世界の理を知れば良い面も沢山あると思うんです。
私が話すのを悩んでいたのは最終的にどちらが良いのか悩んだからなのです。」
「理とな?」
「はい。私が今まで考察したものの中に魔素理論があります。」
エクスはその考え、今までの事象を事細かに話をした。
「なるほどな・・・魔素か。
魔力が何故湧いてくるのか、何故魔獣が現れるのか、
その全てがそれで話が通る。」
「こいつはヤバい内容だな。誰もが魔法を使えるなら
悪人1人いただけで国が崩壊するかもしれん!」
「ああ。この事を王が知ってどうなるか、秘匿するにも限界があるだろう。」
「エクスよ。この事を知っているのは他にいるのか?」
「シロガネは知ってます。人にはまだ。」
「そうか。王への謁見も含めて私達に任せてもらえるか?
王に話す事自体も含めて考えてみよう。」
「分かりました。お任せいたします。」
「それまでは誰にも話さぬようにしてくれ。」
「分かりました。」
謁見が終了し、スカイの待つ部屋に通されたエクス
「終った終った〜。」
「エクスお疲れ。」
「あ!そう言えばスカイと友達許可がでたね。」
「うん。出たね〜。お父様が出会ってすぐの人を信用するのは、
かなり珍しい事なんだ。驚いたよ。」
「ロンフィール伯爵が僕を知っていたからじゃない?」
「相性もあるからって人の意見は参考程度にしか聞いてないから、
それは無いんじゃないかな。」
「おお!流石は伯爵。素晴らしい見識だ!」
「そうさ!お父様は凄いんだ!」
「ところでスカイもこのまま学園寮に行くのかい?
せっかく家に寄ったんだから今日はここで一泊してくの?」
「うん。サーバスがそうするって言ってた。」
「じゃあ僕はそろそろ寮へ行くかな。」
「ん?エクスも泊まってくんだよ。」
「え?聞いてないし。」
「ゴメン。言ってなかった。」
その後、サーバスが正式に伝えに来た。
エクスは御者のおじいさんにその事を伝え契約遂行書にサインをする。
御者のおじいさんを見送った後、
言われるがままに風呂に入り、用意された服を着て食事をする事となった。
長く大きなテーブルにエクスとスカイの二人だけの食事であった。
「スカイはいつもこんな感じで食事してるの?」
「ブルーフォレス領の実家ではお母様とお兄様が一緒だけど、
一人で食べる時はこんな感じかな?」
「なんか机が広くて落ち着かないね。」
「でもこうやって話をしながら食べるのって楽しいね。
普段は最低限の話しか出来ないからね。」
「寮では皆んないるし、楽しいんじゃないかな?
まあ、そうなると僕達が一緒に食べられなくなるかも知れないけど。」
「なんで?一緒に食べようよ」
「僕も一緒に食べたいけど貴族で集まるでしょう。
横の繋がりは大事にしないと駄目だよ。」
「そっか、それがあったね。派閥とかも有るから嫌だな。」
「伯爵様に聞いてみるといいよ。
派閥に入った方がいいかとか色々ね。」
「うん。聞いてみるよ。
でもお茶会とかで会った奴なんか威張り散らして嫌だったなぁ。」
「うわ〜。やだやだ。頑張ってね貴族様。」
「嫌だ〜助けてよ〜。」
「何があっても僕はスカイの味方だから安心して。
愚痴なら何時でも聞くからさ。」
「絶対だよ!多分毎日愚痴りに行くから。」
「貴族にもスカイみたいにいい奴もいるさ。見る目を養うのも大事だよ。」
「いるのかなぁ?」
その後部屋に戻っても二人は学園の話で盛り上がるのであった。
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