ep34 勲章の力
冒険者に狙われたエクス。
ベアバレイを目指す。
翌朝になり周囲を確認する。
魔獣が一匹。冒険者はいない。
「は〜・・。やっぱりね。」
魔獣はシロガネに倒してもらい、出発の用意をする。
御者のおじいさんは冒険者がいない事でオロオロしていた。
エクスはおじいさんに
冒険者がエクスやおじいさんを殺そうとしてた事や
関係ないおじいさんを巻き込んでしまった事を話し深々と謝った。
「でもエクス君はワシを助けてくれた。だからチャラじゃな。」
温かい言葉に胸を撫で下ろすエクス。
「しかしワシ等だけでは危険過ぎて動けんぞ。
これからどうするかのう・・・。」
「それなら問題ないかな。僕とシロガネならこの辺の魔獣は敵じゃないから。」
言葉に被せるようにシロガネは狩りをした魔獣を取り出した。
「昨日魔獣との遭遇率が低かったのはシロガネに倒してもらったから。
あの冒険者に任せてたら間違いなく死者が出たと思いますよ。」
「昨日しょっちゅうトイレに停まってた時に倒してたのかい?」
「ええ。魔獣だって言ったら大騒ぎされただろうし、
変にあの人達にカッコ付けられたらこっちも動けなくなりますから。」
「そうか、、。魔獣が少ないからおかしいとは思っていたが、、。
しかしエクス君と猫ちゃんがそんなに強いとは想像もつかんわい。」
「僕もシロガネも攻撃出来る魔法があるからね。」
「魔法?ああ、魔道具の事か。
もう1人前の魔道具使いなのかい。すごいのぅ。」
「だから安心して先に進もう?」
「そうじゃな。ここにいても仕方ないしのぅ。」
エクス達は王都との中間にあるベアバレイへと進み始めるのだった。
昼過ぎににはベアバレイに到着しギルドに向かう。
ギルドの受付をしている男性に事の顛末を話すと衛兵を呼び出し、
ギルドに隣接された酒場からあの冒険者達を連れてきた。
「げぇ!何で生きて、、、。」
酒が回り、思わず言葉を漏らす冒険者達。
「エクス君。この人達が君達を陥れようとしたので間違いはないですか?」
「そうです。わざわざ野営地で肉を焼き、そのまま逃げた人達です。」
「急に魔獣が出てこいつらが襲われたからら、
もう死んじまったとおもったんだよ。」
「魔獣が来る前に居なくなりましたよね。」
「なわけねーだろうが!
こんなガキと冒険者の言葉、どっちが信用できるか分かるよな!」
受付の男性はエクスをチラリと見て
「エクス君。あれを。」
「はい。」
エクスはコートの中に付けた勲章を見せる。
「勲章を授与された彼と君達とでは言葉の信用度が違う事ぐらいわかるよな。」
「こんなガキが勲章を?!
勲章持ちだなんて聞いてねぇぞ!」
「ガキで勲章持っててすいませんね。
僕は非公式の場で授与されたので
貴方達に依頼した人は知らなかったんでしょう。ご愁傷様です。」
冒険者達は後ろ手に縛られ衛兵に連れて行かれたのだった。
「あの者たちに依頼した人物はギルドで責任をもって調査いたします。
結果はロンフィールの領主さま、保護者の方に追って連絡いたします。」
「はい。すいませんがよろしくお願いいたします。」
エクス達はギルドを出て宿へと向かった。
「ねぇ、おじいさん。この先なんだけど、もう護衛は雇わないで僕達だけで行きませんか?」
「おお。ワシはエクス君が良いなら構わないよ。」
「やったー。冒険者の人ってちょっと怖くて嫌だったんだ。」
「ほぉ。エクス君ぐらい強くても怖いのかい?」
「だって大きくて筋肉ムキムキで顔が怖いんだもん。」
「ホッホッホッ。強くてもやっぱり子供じゃな。」
その後、エクス達は一泊し翌朝王都に向けて出発するのだった。
王都へ向かう途中何度か魔獣の群れに遭遇する。
話の分かるおじいさんだけなので馬車は止めずシロガネを走らせた。
順調に馬車は進み、ラグンハーツまであと少しとなった所で、サーチに反応が現れる。
また魔獣か。と思っていたが、何か反応がかたまっている。
詳しく知ろうと思ったエクスは、
試しにサーチと鑑定を組み合わせ、その場所付近を拡大してみる。
すると人が8人中心にいて、とゴブリンの集団約70体がそれを囲んでいたのだ。
「おお!今迄反応の有る無しや強弱で判断していたのが
人とゴブリンって種族が分かるようになった!」
使い勝手が上がりガッツポーズを決めるエクスであった。
「よっしゃ!・・・
・・・・
・・・・・・・あ!
もしかして誰か襲われてるのか?」
嬉しさのあまり現状把握が完全に停止していたのだ。
「おじいさん!前方で人が襲われているみたいだ!
ちょっと行ってくるからここで待ってて!」
「わ、分かった。」
「シロガネはおじいさんの護衛でここに残ってて!」
『分かったニャ!任せるニャ!』
何故シロガネを行かせないでエクスが行くか。
シロガネは頭が良い。だからこそ人間を助けるだろう。
どんな人間でも、である。
人間を見極めるのは人間が一番適しているのだ。
もし助けた人間が悪い考えの人間だったらシロガネがどうなるか。
勿論、動物の直感で回避するだろうが、
万が一にもシロガネが嫌な思いをしないために
エクスは自分が行くことを決めたのだ。
魔力循環を早め加速するエクス。約3キロの距離を一瞬で詰める。
襲われているのは貴族の馬車のようだ。
(ここで助けた貴族の女の子と将来結婚するとか定番だよな)
前世で異世界モノを読みすぎである。
人から見えない外周のゴブリンをウィンドカッターで一気に倒す。
瞬殺されたゴブリンをすぐさまインベントリに収納する。
するとあまり頭の良くないゴブリン達は
後ろの仲間が消えた事に一度違和感を覚えるが、
すぐにそれを忘れてしまうのだった。
これを繰り返し、一気に50体程倒すとエクスは刀を抜いた。
ここからはゴブリンの注意を引くために先に腕などを切り、
叫んだらとどめをさす。
すぐにはインベントリには入れず
攻撃されてる実感と恐怖心を植え込み、ヘイトを取り
恐怖心で固まったゴブリンを片っ端から切っていった。
ロンフィールでゴブリンをずっと刈ってたエクスにとっては
手慣れた作業だった。
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