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魂Xの理  作者: to-er
34/67

ep33 憤怒

王都ラグンハーツに向かうエクス

護衛の冒険者がいるためシロガネは狩りに行けず・・・




3月も半ば、エクスは馬車に乗っていた。


ジーポング王国の王都ラグンハーツの学園寮に入寮する為である。



あれから世界花に花をブレンドし、数種類の香りを商品化した。

花単体でアロマキャンドルや石鹸を試してみたが、

香りは薄く商品としてのレベルにはならなかった。

世界花に混ぜる事で香りが引き立つ事に気付き、商品化を成功させたのだった。

バタフライガーデンのブランドを立ち上げ

全国展開を開始。

この1か月でジーポングの全領土からの受注を受けるまでに至った。


VIP扱いの移動となり、冒険者が護衛に付く暇な移動となった。


『暇だニャ〜。シロガネも狩りたいニャ~。』

猫の亜種と言う肩書きのため、何も出来ないシロガネはエクスの頭の中で喋りつづけていた。


しばらくして前方に10体の反応をサーチした。


「あの〜すいませんシロガネがトイレみたいなんで、

少しだけ止まってもらえますか?」


またかよ と言うような顔をする冒険者達。

馬車が止まるのを確認し、


「シロガネ、行っておいで。」


その言葉をきっかけに猛然と走り出すシロガネだった。

数分で討伐してスッキリした顔で戻ってくる。


「ま〜たスッキリした顔してるよ!」

冒険者達は笑っていた。


「おつかれシロガネ。」


労うと満足そうにしてエクスの膝の上でまるくなる。

そんな事を繰り返し馬車は進んで行ったのであった。


冒険者は魔獣の出現が少ないと喜んでいるが、

シロガネが行かなかったら死人も出ていただろう。

それぐらいの魔獣が群れで出没し、

それ程冒険者は弱かった。


「逆に足手まといだよな。」

つぶやくエクスの声は冒険者の耳には届かなかった。


夕闇が迫り、野営の準備を始める冒険者達。

流石に手際が良く、かまどやテントを瞬く間に作り上げる。

契約上それらは各々が用意する事になっており、エクス達を無視して肉を焼き始めた。


(おいおい、いくらそこが自由だとしても、護衛対象がいるのに

魔獣を誘き寄せるような事をするか?)

御者のおじいさんも驚き、慌てていて、これがどれだけ非常識かを物語っていた。

今回の事、シロガネを笑った事。自分達がいなくなったら、じいさんと子供だけじゃあ野垂れ死ぬと言わんばかりの態度。

エクスの目がどんどん()わっていく。

それを見たシロガネが馬車の後ろに隠れる程の雰囲気を醸し出す。


「冒険者のおじさん達、また明日の朝ね。いなくならないで夜番してね。」


冒険者達は怪訝な顔をし何かを喋ろうとした。

「何だガk・・・」


エクスはそれを無視し、自分達の周りを長方形の岩で囲む。

おじいさんや馬は一瞬驚いたがすぐに落ち着きを取り戻した。


「これなら安心して寝れるのぅ。

あのままだったら何時魔獣が来るか分からんかったからの。」


「ええ。しかもこの中なら普通に料理も出来ますよ。

今作りますんで待ってて下さい。」

エクスはオークミンチ肉でハンバーグを造る。

おじいさんの歯が弱いかもと思い、食べやすいものにしたのだ。

その匂いにシロガネがそっと近づいてきた。


『エクス怒ってないニャ?怖くないニャ?』


「大丈夫だよシロガネ。あの冒険者に腹が立っただけだから。

大好きなシロガネに怖い事はしないよ?」


『よ、、、良かったニャ〜。エクス怖かったニャ〜。』


「ほら、シロガネも大好きなハンバーグだよ。一緒に食べよう?」


『うニャ〜!』


「ホッホッホッ君達は会話してるみたいだなぁ

わしも馬と話をするんだぞ。」


「ブルルル!」


『おじいさんが一方的に喋ってるだけだって言ってるニャ』


(え?他の動物と喋れるの?)


『喋れるニャ。エクスだって動物ニャ。』


(ああ、そうか。シロガネは心で会話するんだから

心が有ればどんな動物とも喋れるのか!)


『流石エクスニャ。理解が早くて助かるニャ。』





エクス達は食事を終え、それぞれ間仕切った部屋で休んでいた。


『冒険者がどっか行ったニャ。良いのかニャ?』


「構わないよ。多分元々僕達を魔獣に殺させようとしてたみたいだし。」


『そうなのかニャ?!』


「バリス叔父さんの競合店か僕の特許狙いか分かんないけど、

誰かがあいつ等に依頼したんじゃないかな?

こんな所に残されたら生きて街にはたどり着けないだろうとでも

思っているんじゃないかな。」


『シロガネ達なら楽勝ニャ。』


「まあ街に着いたらギルドに苦情を入れよう。

彼等と勲章持ちの僕とじゃ信頼度が違うからね。

下手をすると彼等は一生強制労働する事になるかもね。」


極上の笑みを浮かべるエクス。


『ニャ!やっぱり今日のエクスは怖いニャ〜。』




「だってシロガネの事笑ったんだよ!ホント腹が立ったよ!

シロガネはこんなにカワイイのに!」





『うニャ〜!だから顔でシロガネのお腹グリグリするのやめるニャ!

こしょばったいニャ〜!』






読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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