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魂Xの理  作者: to-er
32/67

ep31 バタフライガーデン

花の香りをどうにかしたいエクス。

何か突破口はあるのだろうか。





家に戻り、午後まで仮眠をしたエクスは

裏庭でゴブ肉を焼いていた。


燃やす事と焼く事は別の可能性があるからだ。


ジュ〜ジュ〜!


その香りは燃やした時のそれと変わりなく豊潤な花の香りを放っていた。


「これなら食べられるかな?」

恐る恐る切れ端を口に運ぶ。


「まっず!」

花の香りとゴムの味が口の中で絶妙なハーモニーをを奏で、

エクスの体はその全てを拒絶する。

硬く、無機質で、少し苦々しいそれは

餓死寸前の冒険者でも死を選ぶ程の

完全調和(ミスマッチ)となっていた。


「う゛え〜〜〜。」


吐き出すエクス。

シロガネはイカ耳をしながら感覚共有したかのような顔で、

エクスを見ている。


涙目になりながら口を(ゆす)ぐエクス。


「こ、これは無理!」


『ゴブ肉はやっぱり駄目ニャ。』


エクスはゴブ肉をそっとアイテムバッグにしまったのだった。


ふと気付くと焼いた時ににじみ出た油がかなりの量になっていて、

その油は花の香りを放ち続けていたのだった。


「こっちならイケるかも!」


『駄目ニャ!味は同じニャ!』


「いやいや。食べるんじゃないよ。」


油をカップに移しヒモを真ん中に垂らし、冷えるのをまった。


「キャンドルの完成!」


『何ニャ?それは?』


「これはね。このヒモに火を灯すと。」

火を灯すエクス。


『!花の香りが広がるニャ!』


「これを部屋に置いて香りや雰囲気を楽しむんだ。」


『良いニャ!花畑にいるようニャ!』


「うん。落ち着くよね〜。」



そこへバリスがやって来た。


「エクス君。この花の香りはいったいなんだい?」


「あっ叔父さん。昨日言ってたゴブ肉の燃やした匂いですよ。」


「え?あの話は本当だったのかい?

こんなに良い香りがするんだね!」


「本当ですよ! で、それを使ってアロマキャンドル作ってみました。」


「こ!こ!これは!」

バリスの目が$マークに変わる。


「売れますかね?」


「大ヒット商品になるぞ!

たくさん作れるのかい?!」


「部屋でしばらく使ってみて、安全性を確認できれば、量産は可能かな。」


「そうか!すぐ確認作業に入ってくれるかい?

僕は特許の申請用紙を持ってくる!」


さすがアイテムショップを経営するだけはある。素早い対応だ。


使用してない部屋に籠に入れた鳥や鼠を置き、アロマキャンドルを灯して放置する。

毒性等を確かめる為に、この世界で行われる確認方法だ。


その間に残りのゴブ肉を焼き、油を搾り取る。

特許用紙に作成方法を記載し、支払いをギルドカードに紐付けをした。


「バリス叔父さん。綺麗な容器は無いですか?その方が売れると思うんですけど。」


「そう思って発注してるぞ!明日には届くはずだ。」


「さすがバリス叔父さん。分かってますねぇ。」


「だろ〜!」


「後、お願いしたい事がもう1つ。」


「なんだい?」


「実は、、、。」





それから5日後。


新商品の発売日となった。


バタフライガーデンと名打ち、専用コーナーを作る。

商品は2種類で香りの強さは三段階あり、計6品目となる。


商品はアロマキャンドルと石鹸だ。


エクスはバリスに石鹸の香り付けを依頼していたのだった。


弱めの香りのアロマキャンドルを焚き、中位の香りで店員に身体を洗ってもらった。



制作中の香りが話題となり、開店前から行列ができていた。


開店と同時に開けられた扉の中から香るほのかな花の香り。

接客する店員から香る花の香り。

婦女子の心を鷲掴みにしたそれは、高めの値段設定にもかかわらず、

瞬く間に完売したのだった。




後日エクスはギルドマスター。ロドスのもとにいた。


「最近バリスの店でバカ売れしてる商品があるらしいが、

エクス君の出した特許のそれだよね?」


「はい。おかげさまで。

ギルドの受付の女性にも石鹸をサンプルとして使ってもらってます。」


「やっぱりそうか!またバリスの奴に上から目線で自慢話をされるのか。

先に言ってくれればギルド専売も出来たのに、、、。」

ロドスは悔しそうにエクスを見ていた。


「で、なんですけど、お金儲けの話があるんです。」


「ん?お金儲け?」


「はい。アレの材料は知ってますよね?」


「ああ。ゴブリンだろ。特許の中身は確認しているよ。」


「僕はあと1ヶ月もしたら王都に行かなきゃいけないんで、ゴブ油を取る作業を委託出来ないかと思いまして。」


「おお!そうか!ギルドとしてゴブリンを集めて油を取って欲しいって事か!」


「はい。一番効率が良いかなっておもいまして。」


「いや〜エクス君。良い所に気が付いたね!

これでバリス、、いや。効率が一番良い素晴らしい案だ。

ぜひやらせてくれないか?」


「じゃぁお願いします。この辺りはゴブリンも多いですから、

街の特産物として売出しましょう。」


「そうだな!この街は有名になるぞ!」


「月にゴブ油が何リットル必要かはバリス叔父さんと話して下さい。

支払いは僕のギルド口座から引き落としになります。」


「分かった。早速バリスの所に行くとしよう。」



霧散の件は、魔素との絡みがあるので話は出来なかったが、

花の香りについては1つの区切りがついて安堵したエクスだった。



読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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