ep29 花の香り
エクスとシロガネのとある1日の話し。
フミフミ
フミフミ
ビシビシッ!
「ん〜おはようシロガネ。
なんで白虎パンチ?」
『刺激ニャ!刺激ニャ!猫みたいにゴロゴロしてるんじゃないニャ!』
「え〜白虎に言わ、、」
ビシビシッ!
『やめるニャ!白虎と書いてねこと読むのはやめるニャ!』
「え?そこ?猫って言うのは良いの?」
『虎よりカワイイって言ったニャ。
エクスがカワイイって思う方が良いニャ』
「ホントにシロガネはカワイイなぁ」
『や!やめるニャ!顔でお腹をグリグリするのはやめるニャ〜!』
従魔契約から1週間。バリスの住居でエクスはマッタリしていた。
王都に行くことは決まったが、学校は4月からとなり、
3月半ばまで自由にしててくれとの事だった。
約1ヶ月半のんびりできるのだ。
従魔登録の方も順調に終わり、
シロガネは登録上は猫(奇形種)となった。
きちんと登録して魔法を自由に使えさせたかったが、
エクスに害が有るかもしれないので、却下された。
その代わりエクスが成人する頃に変異したとして登録の変更をして聖獣白虎にする予定だ。
やはりステータス魔法をかけられて、
本当に聖獣白虎だった事を確認し、皆んな改めて驚いていた。
因みにバグは表示されず、ホッと胸を撫で下ろしたのだった。
エクスは冒険者になるつもりは無かったが、
5歳の街の住人が一人で塀の外に出るのは
バリスの立場上良くないとの事で、
結局冒険者になったのだった。
通常冒険者は10歳以上からの登録だが、
保護者の承認があれば5歳からでも登録は出来るのだ。
ただし、仕事の内容は相応のものとなる。
「シロガネ、今日は薬草採取するよ。」
『行くニャ!行くニャ!とっとと集めて狩りするニャ!』
「分かった分かった。じゃぁ行こうか。」
エクスのフードにお尻を入れ頭の上に顔を乗せる。
シロガネはこのスタイルが気に入ったらしい。
高い所が好きなのはネコ科アルアルである。
おかげで最近は 猫の子 と囁かれるしまつだ。
「あっ!猫の子がいるわよ!」
「あの猫ちゃん大人しくてカワイイわよねぇ。」
そんな言葉がそこら中から聞こえてくるのだった。
塀の外に出ると、シロガネはウキウキだ。
尻尾を立てて、あっちでクンクン、こっちでスリスリ。
その途中途中でエクスをチラリと見て、
ついて来てるか確認する。
サーチで解るだろうに、必ず見るのだ。
薬草を見つけたらイメージを記憶してサーチをする。
依頼の数はすぐに集まった。
ギルドに在る資料でサーチも出来るが、実際見たものと比べると、
サーチの正確さがかなり違ってくるのだ。
『エクス、薬草採取は終わったニャ?
なら狩るニャ!すぐ狩るニャ!』
低い姿勢でウズウズしている。
「この先のヤツか。いいよ。気をつけてね。」
『ニャ~~~~~~~、、、。。』
凄いスピードで走って行き、あっと言う間に見えなくなった。
「あの時のウルフの倍は早いんじゃないかな?」
サーチで見ても信じられない速さで進んで行き、反応は消滅した。
「出会った瞬間に倒してる。
シロガネは戦闘をしたいんじゃなくて、本当に狩りをしたいんだなぁ。」
エクスはしみじみと思ったのだった。
そんな事を数回繰り返す。
この辺りはゴブリンが多いようで、討伐依頼はゴブリン駆除が多い。
ゴブリンとは、日本で言う餓鬼のようなもので、魔獣では無く魔人、正確には魔亜人と言える。
肉はゴムのように硬く、不味く、寄生虫も多いので、どの生物からも食されないと聞く。
『またゴブだったニャ、あいつ等臭いし嫌だニャ〜、、。』
シロガネのテンションも流石に下がっていた。
「討伐の確認部位の左耳だけ取って今日は帰ろうか。」
ゴブリンの耳を切り取り、後はファイアで燃やした。
「誰も食べないし、死体を置いとくのも嫌だから燃やそうね。」
すると、あることに気付いた。
「ゴブリンって燃やすと花のような良い香りがする。」
誰からも聞いた事の無い事実に驚くエクスだった。
街に戻り、ギルドに行くエクス。
薬草採取完了の手続きをして、出会ったゴブリンを討伐した事を伝える。
「ロドスさんから聞いてるし大丈夫なんだろうけど、
エクス君はまだ5歳なんだから危ない事をしちゃ駄目だよ。」
「たまたま出会っちゃって。」
「ゴブリンは怖いんだからね!」
「ちょっと聞きたいんですけど、ゴブリンって燃やすと花の香りがするの知ってました?」
「あ〜!反省してな、、、。
え?花の香り?」
「うん。死体を放置するのは良くないから燃やしたんだけど、凄い良い香りがするんだよ。」
「聞いた事無いわ。普通冒険者はゴブリンを倒して耳を取ったら放置しちゃうし。
ファイアで倒す冒険者もいるけど
そんな話しは聞かないわよ。」
「て言うか、冒険者が倒したゴブリンの死体は何処に行ったんだろう。
僕、森の中で見た事ないよ。」
「それなら魔獣とかは1日ぐらいで突然霧散するらしいわよ。
だからみんな放置するの。
解体したのは残るんだけど、何故かは誰も知らないの」
「へぇ〜なんか面白いね」
「そうよねぇ。花の香りも気になるわ。」
「何か分かったらお姉さんに教えてあげるね。」
「ありがとう。でもそれはロドスさんに伝えてくれる?」
「うん!わかった。」
「って言うか、危ない事をしちゃ駄目だっていってるでしょ!」
「うん。危ない事はしないよ。」
「んもう!心配だわ!」
「これは検証するしかないな。」
エクスは色々な可能性を考えつつギルドを後にするのだった。
読んで頂きありがとうございます。
また来てもらえると嬉しいです。




