ep28 従魔契約
ステータスのバグを気にするエクス。
解決方法はあるのか?
翌日の朝
エクスは悩んでた。
ステータスのエラー表示を見えなくさせたいのである。
もっと詳しく言えば、エラー表示を見えなくする事はできたのである。
通常の魔法のように、目で見た風景に脳内で表示画面を足して認識する形なら、
設定次第でエラーを消す事はできたのである。
この方法はサーチ等、常時展開していてもその画面の後ろも実際は見ている為
そこが死角になる事が無い。
画面を見ている気になってる。と言った感覚なのだ。
しかしステータス鏡等で見ればバグったままなので、
同じ設定のステータス魔法を使われたらバグったままとなる。
シロガネもバグっている事もあり、人に見られた時の言い訳や説明を
毎回のようにしないとイケない。それにイチャモンをつけられてまた追放は勘弁だ。
これがエクスの心の負担となってるのだ。
今日の午後イチでギルドに行くことになっている。
従魔契約の為である。
多分そこでステータス魔法を使われる筈だ。
主従関係にある互いのステータスにその事が記載されるらしく、
確認の為に見られるのはほぼ確定なのである。
〜エクス思考〜
「ステータス魔法は細胞の量や質、代謝効率等を測ってる」「エラーは何を測っている?」「魔力細胞によって質と代謝効率の変化で起きてる?」「量は関係ないのか」「体の大きさは変わらないイコール細胞の量は変わっていない。」「代謝効率とは?」「代謝には色々有るが新陳代謝の事」「それを測ってどうする?」「細胞の治り具合の測定、読み取れる生命力」「魔力漬けで変わった事、細胞に傷が付きにくい、」「では質?」「質は違う、物自体が別物」「でも細胞として認識してる」「それがエラーの元?」「多分」「他に魔力細胞を持っているのは?」「聖獣?魔獣上位種」「そのステータスは?」「上位種は普通に表示」
〜エクス思考、終〜
・・・。詰まっている。
バグだけを消すことがほぼ困難なのである。
「駄目かぁ・・・。」
ベットに倒れ込み天井を見上げた。
『ニャ!』
視界が瞬時に暗くなる。
シロガネが顔の上に乗ってきて、そのカワイイお腹がエクスの視力を奪ったのだ。
「ああ、至高。」
お腹周りの柔らかな毛はフワフワとエクスの心をマッサージする
「あ!そうか。目を塞いじゃえば良いんだ!」
ステータス魔法は魔力で対象物をスキャンして、結果を数値化する。
なら、スキャンしたデータが戻るのを阻止し、
バグの無い別設定のデータを送ってあげれば良いのである。
シロガネにお願いしてステータスをかけてもらうと、
バグが表示される事が無くなった。
「バグを消すんじゃなくてスキャンデータ自体を変更か。盲点だったなあ。」
やっと見つけた解決策に胸を撫で下ろすエクスだった。
昼を過ぎた頃、バリスが声をかけてきた。
「エクス君お待たせ〜。そろそろギルドに行こうか?!」
「は〜い。準備は出来てます。」
「ニャ~。」
バリスの用意した馬車に乗り、
エクス達はギルドに向かう。
ギルドに着くとギルド員が側道へと案内する。
従業員用の出入口のようだった。
そのまま2階に上がり、ギルドマスターの部屋に通された。
扉の中ではギルドマスターと秘書らしき女性がエクス達を出迎える。
「やぁ、バリスさん。お待ちしていましたよ。」
「ロドスさん、今日はわざわざすいません。」
二人は握手をしたままエクス達に紹介をする。
「エクス君、彼はギルドマスターのロドスさんだ。
そちらの女性は副ギルドマスター兼秘書のアリフェナさんだ。」
握手する二人の手が赤くなっている。
「はじめまして、エクスと言います。
今日はよろしくお願いします。」
「エクス君か、よろしくな!マリーさんに似て良い男になりそうだ。」
「エクス君よろしくね。私の事はアリーって呼んでね。」
「ロドスさんアリーさんお願いします」
「ロドス、バリス、いい加減にしなさいよ!エクス君困ってるわよ!
ゴメンなさいね、エクス君。
マリーさんが一度来た時にロドスが一目惚れしちゃって、
ロイさんと結婚が決まってたのに猛烈アタックしちゃってね、・・・」
「アリー、そんな事言わなくても、、」
「アリーさん、これは二人の問題で、、。」
「うるさいわよ、ストーカーにシスコンが!
いい加減暑苦しい握手をやめなさいよ!」
どうやらマリーを諦めきれないロドスが必要に迫って、
姉が大好きなバリスが鉄壁なガードをした所から因縁が始まったらしい。
その後も色々有ったらしいが、そこまでは聞くことができなかった。
二人は振り払うように握手を終えた。
「で?内密に従魔契約と登録をして欲しいらしいが何があった?」
「実はエクス君のペットの事で、他人に聞かれると不味い状況でね。」
「その猫がどうした?」
「ああ、猫に見えるかもしれないが、実は、、
シロガネ君尻尾をよろしく。」
シロガネはバリスに見せた時のように尻尾をほどき、左右に振って見せた。
「え?!尻尾が2本?
しかも言葉を理解していたよな?!」
「ええ、理解していたわ。信じられない!」
「エクス君が言うには白虎で聖獣らしいんだ。」
「白虎?」
「聖獣?」
「ああ。ステータスが見れないから僕には分からないんだけど、
多分そうなんだろうなって思ってね。
それを下の受付でやったら大変な事になると思ったんだ。」
「契約前に連れ去って売れば一生遊んで暮らせる金額になるだろうからな。」
「契約後でもエクス君が危なくなるかもしれないわ!」
「と、言うワケなんだよ。
猫の奇形種と思われて契約もしてれば、
そうそうヤバい事にはならないかな?と。」
「「はぁ~、、、。」」
「そりゃぁバリスが俺にわざわざ頼むワケだわ。」
「だろぅ?!しかもエクス君とシロガネ君は話しが出来るんだ。」
「言語理解じゃなくて話しが出来るの?
エクス君とシロガネちゃんは。
聖獣に認められるってことよ!普通あり得ないわよ!」
「凄いだろ?さすが姉さんの子供だよな。」
「ああ。マリーさんの神々しさを受け継いだエクス君に
聖獣も心奪われたんだろう。」
「まったくこのストーカーとシスコンはどうしょうもないわね!」
「じゃあ、早速契約と登録をしてしまおうか。」
「そうね。エクス君達も早く安心したいでしょ。」
こうしてエクスとシロガネは従魔契約と登録をするのだった。
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