ep26 ロンフィール
やっと目的地のロンフィールにたどり着く。
フミフミ
フミフミ
「あ、、おはよう、シロガネ。」
『起きるニャ!朝ニャ!』
目覚まし代わりになりつつある
シロガネのフミフミ。
次の街は目的地、叔父の居るロンフィールだ。
早々に朝食を済ませ宿をあとにする。
「シロガネ、次の街は目的地のロンフィールって街だよ。」
『じゃぁもう狩りは出来ないのかニャ?
もっと狩りをしたいニャ!』
「ずっと出来なくなるワケじゃないよ。
でも、、、
じゃぁロンフィールに着くまでシロガネに狩りをしてもらおうかな?」
『ニャ!任せるニャ!シロガネが狩るニャ!』
そう言うと居なくなっては戻って来て
インベントリから獲物を出してドヤ顔をする行動を繰り返す。
「僕のサーチには反応が無かったんだけどシロガネには分ったの?」
『遠くにいっぱいいるニャこの先にも居るニャ』
?!
狩りに行くのを待ってもらい様子を伺う。
しばらくするとサーチに反応が現れた。
「シロガネのサーチでどのくらいに反応ある?」
『ニャ~。三分の一位かニャ?』
エクスのサーチは2キロ位だから3キロ近くサーチしているようだ。
「シロガネ凄いよ!僕より1キロも遠くをサーチしてるんだ!」
『エクスに教わった通りにやっただけニャ。』
羨ましくも悔しくもあり、シロガネにサーチの外周三分の一に反応が有ったら教えてもらえるように頼む。
『今南にいるニャ。』
エクスは更に魔力を薄くして広げる。
「あっ、あったあった!反応があったよ!」
『良かったニャ。じゃぁ狩ってくるニャ。』
フフンと言う様なドヤ顔をした後、狩りに走って行った。
「くう〜!僕が教えたのに〜。」
少し悔しいエクスであった。
夕暮れになり野営の準備をしたエクス。
シロガネはインベントリから狩って来た魔獣を全て出してきた。
『エクスが持っててほしいニャ。エクスの食事が良いニャ』
「分かったよ。じゃぁこれで美味しいの作ろうね。」
獣系にとって狩った獲物は大事な物である。
それを預けられた事は信頼してる証拠だ。
エクスはそれが嬉しくて微笑んでいた。
食事は多めに作り非常用としてシロガネのインベントリにいれておいてもらった。
翌日。
シロガネのフミフミで起こされる。
もうこれ無しではいられないエクスだった。
食事を済ませエクス達は歩き始めた。
「今日中には着きそうだね。」
『ニャ!狩りを頑張るニャ!』
「迷子にならないようにね。」
『何処にいてもエクスの場所は分かるニャ
エクスが迷子にならないか心配ニャ。』
もしかしたらシロガネにとってエクスは弟の様な存在なのかもしれない。
「じゃぁ僕が迷子にならないように、
ちゃんと戻って来てね。」
『エクスはシロガネが守るニャ。
安心するニャ。』
そう言って狩りに走って行った。
昼を越える頃、ロンフィールが見えてきた。
山に囲まれたのどかな街だ。
田畑や果樹園が広がり秋にはその彩りが鮮やかになるのだろう。
狩りに満足したシロガネはコートのフードにお尻を入れ、
エクスの頭の上で液状化している。
門にたどり着くと門番が話しかけてきた。
「ボウズ、頭にカワイイ猫を乗せてるなぁ。
ロンフィールには一人で来たのかい?」
「はい!今日からここのアイテムショップバリスでお世話になるエクスです。」
「おお!バリスさんの所に来たのか。
これからよろしくな。」
門番はエクスの頭をポンポン叩き、バリス迄の道順を教えてくれた。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします。」
教えてもらった道を歩くエクス。
目の前に大きな店が建っている。
「で、デカい。ロイ&マリーより大きいんじゃないか?」
あっけに取られながらその扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
店員が挨拶をしてくる。
「あの、ここにお世話になるバリス叔父さんの甥にあたるエクスと言います。
バリス叔父さんはいらっしゃいますか?」
「え?!バリスさんが甥っ子が来るって言ってたけど、こんな子供だったの?
エルマー王国から1人で来たんでしょう?よく無事だったわね〜。」
「ええ。何とか。途中から仲間は増えましたけど」
エクスは頭の上で液状化するシロガネを指さした。
「バリスさんもずっと心配してて・・・
あ!今呼んで来るからちょっとまっててね。」
イソイソとバックルームに入って行った。
『何?!エクス君が来た?!怪我は?大丈夫そうだったか!何処にいるんだ?え?店!』
『ガタッ』『ガタガタ!』 『ドン!』 『ゴリッッ』 『ガン!』
ガチャ! 「エクス君無事か?!!!」
慌てて来た人は叔父のバリス。母親のマリーに面影がよく似た優しそうで少しホワッとした雰囲気の人だ。
「おお!エクス君!よくぞ生き残ってくれた!怪我はしてないか?心配してたよ。
国境を通ったのは知らせが来たんだが、予想よりも来るのが遅かったし、
ロンサーキのそばでオークの群れが出たって話も聞いてなぁ」
「バリスさん。取り敢えずエクス君を部屋に上げたらどうですか?」
「お、おお。そうだよな。
エクス君、先に二階の居間にいって休んでいてくれないか?
僕は姉さんに連絡を取ってから上がるから。」
「はい、分かりました。」
・・・まだきちんと挨拶してないんだけどなあ・・・
バリスの様子に一抹の不安を感じるエクスだった。
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