表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂Xの理  作者: to-er
26/67

ep25 尻尾の誤魔化し方




フミフミ


『・・・ニャ・・・・』


フミフミ


『・きるニャ・・・・』


フミフミ


『起きるニャ、エクス』


目を覚ますとシロガネが胸の上に乗ってエクスのホッペをフミフミしていた。

その肉球は柔らかく、優しく、母の胸に(いだ)かれたような安らぎを感じる。


「何か幸せ〜」


『寝ぼけるんじゃないニャ!』

シロガネは怒って白虎(ねこ)パンチを繰り出す。


バシバシッ!


強めのそれにエクスはゆっくり起き上がる。


「おはようシロガネ。」


『見るニャ見るニャ!インベントリが出来たニャ~!』

昨晩、あれからインベントリのやり方や魔素との魔力循環、

量子単位の魔法構築など、今までしてきた事をシロガネに話をした。

なかなか出来ず、エクスが寝た後も練習していたようだ。


『魔法も少ない魔力で出せたニャ。朝ニャ。ご飯まだかニャ』

相変わらず話が飛んでいる。


「ご飯作るから待っててね。」


尻尾を立てたシロガネはソワソワとエクスの足に絡みつく。

昨日の残りだがシロガネは美味しそうに食べていた。


片付けをすまし、エクス達は歩き出す。

出会う魔獣はウルフやホーンラビットに変わり、森は少しずつ元に戻ってきた感じがする。


森をぬける頃、街道が見えてきた。


「予想通りだ。街一つ短縮出来たぞ!」

寄り道しなければ日数的には変わらないが、あえてエクスはそう言った。

シロガネと会えた事やオーク討伐は寄り道ではないからだ。


少しずつ見えてきた街の塀に


「あれ?シロガネは街に入れるのかな?」

と、疑問が湧いてきた。


問題は尻尾である。

2本ある尻尾はエクスが迷ったように、門番が疑いをかけそうな気がするのだ。

悩んだ挙げ句、取り敢えず肩に乗ってもらい仲良しアピールをし、様子を見る。

駄目そうなら一旦街を離れ、インベントリへシロガネに入ってもらう。

このパターンで行こうとおもう。

多分肉体記憶の無いシロガネならインベントリに入れると思うのだ。


「ねぇシロガネ。シロガネってインベントリに入れると思う?」


『入れると思うニャ。でも入りたくはないニャ。』


「だよねぇ。僕に何かあったら戻れるか分からないし」


『ニャ。でも何でニャ?』


「ん〜尻尾が2本だから魔獣か何かと間違えられて街に入れないかもしれないから」


『だったらこれでどうニャ?』

シロガネは器用に尻尾をよじり、1本のようにみせる。

何となく変則的なかぎ尻尾に見える。


「あっいいかも。門に近づいたらそうしてくれる?」


『解ったニャ問題無いニャ』



そうして門にたどり着いた。

エクスの肩に乗ってゴロゴロするシロガネ。

門番はシロガネを見て


「ボウズ、かわいい猫を連れてるなぁ。

毛色も珍しいしギルドでペット登録して首輪付けといたいいぞ。

すぐ持ってく奴がいるからな。」


「分かりました。教えてくれてありがとう。」


「おぅ。気をつけてな!」


変に疑われる事もなく門をくぐる。


(ねぇシロガネ。ペット登録ってしてもいい?)


『いいニャ。でもかわいい首輪がいいニャ』


(わかった。かわいいのにしようね。)

シロガネは女のコである。

エクスがカワイイ、カワイイと連呼してから、カワイイに目がない白虎(ねこ)になってしまったのだ。


言われた通りギルドに向うエクス。

ギルドに入り見渡すと、従魔、ペット登録のカウンターを見つける。


「あの、すみません。ペットの登録をお願いしたいんですけど。」


「はい。その猫ちゃんですね。登録料は銅貨2枚となります。」


「はい。分かりました。」

日本円で二千円である。


「ではこちらから首輪をお選び下さい。」


ズラリと並ぶ大量の首輪。

何故か(とが)った(びょう)が付いた物が多く、

カワイイと言うよりカッコいい、(いか)ついと言う感じだ。


「あの。何で(びょう)が付いているのが多いんですか?」


「魔獣がペットを襲う時に首を噛み千切って殺すためです。

(とが)った(びょう)が在ると、生存確率が10%上がると言われてます。」


「なるほど!謎が解けました。」


(シロガネ。良いの有った?)

見るとシロガネは何故か匂いを嗅ぎ、まるで臭かった時のような顔をしている。

匂いは関係無いと思うのだが、何かコダワリが有るのだろう。

基本敵にペットよりも家畜に付けるような首輪が多いようだ。


「あの、首輪ってここから選ばないと駄目なんですか?」


「あら。気に入ったの有りませんでした?

小型のペット用はカワイイの多いんですけどね・・・。」


「ええ。この子もあまり気に入ってないようですし・・・・。」

臭そうな顔のままゆっくり店員の方へ顔を向けるシロガネ。


「あら〜。カワイイ顔が大変な事になってるわね・・・。

銅貨がもう一枚必要だけどこのプレートを買ってもらって

自分で作った首輪に付けるのでも良いですよ。」

どうやら首輪は魔道具になっていて、魔道具に魔力を流すと

そのペットの情報、所有者などが判るようになってるようだ。

ギルドが発行する身分証明のようなモノだと思われる。


「じゃぁそれを頂けますか?

首輪本体は僕が作りますので。」


「・・・解りました。

ただ・・・面倒になって作らない人も多く存在しまして、

盗まれて毛皮で発見される事も少なからず存在いたします。

猫ちゃんの為にも早めに作ってあげて下さい。」


シロガネの様に毛並みが良く、珍しい毛色だと狙われやすいのだろう。

店員が心配するのも納得である。

まぁシロガネに何か有っても相手が瞬殺されるだけなのだが、、、。


(シロガネ。僕が作ってみてもいいかな?)


『良いニャ。お願いするニャ。ここの全部臭いニャ。』


・・・匂いの真相は解らないが、自作することにしたエクス達は

プレートと魔力鋼糸を買ってギルドを出る。

エクス達は宿に入り食事を済ませ部屋で落ち着く。


インベントリから今まで集めた魔石を取り出したエクスは、それを選別し、

風魔法、水魔法、土魔法を合わせて魔石を削り出した。

魔石はとても硬く、整形するのは非常に困難と言われている。

それを魔法の力で高速に研いでいく。

大きさの違うボール状の魔石を作り、魔力鋼糸で繋げ、

そこにプレートを付けて完成する。


「シロガネ、おまたせ〜。完成したよ〜。」


『出来たかニャ?・・・

良いニャ!良いニャ!カワイイニャ!!早く付けるニャ!』


背中側から小さい透明な魔石で始まり、大きくなりながら色は白から赤へと

グラデーションしていく。桜色がメインの配色だ。

魔力鋼糸を使った為、魔力の通りが良くMPのリザーブタンク敵役割も担える。


『どうニャ?どうニャ?カワイイかニャ?』


尻尾を立てながらエクスの周りを周るシロガネ。


「似合ってるよシロガネ。可愛さ倍増だね!」


『ニャ!倍増ニャ!エクスありがとうニャ!!』


「気に入ってもらえて嬉しいよ。」




いつまでも首輪を見せるようにエクスの周りを歩くシロガネだった。





読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ