ep24 白虎
エクスはシロガネと共に東へ向かう。
「♪グルナー、グルルナーオ、アウオウナー♪」
「シロガネ、機嫌良いね。」
『当たり前ニャよ、魔力が体中を巡っているニャよ!
疲れないし、力がみなぎってくるニャ』
エクス達は東に向かって歩き出していた。
「あ〜猫と心を通わせられるなんて、前世からの夢が叶ったよ」
『ニャ?猫じゃないニャ。
魔力が巡らニャかったから子供の体ニャけど、れっきとした白虎ニャ。』
「びっ、、白虎〜?
あの西の方角を守る霊獣の?」
『方角云々は知らニャいけど、一族は西の大陸の方にいるニャ
白虎として出来損ないニャったから追放されて来たニャ。』
「でも白虎って白い虎でしょ?
シロガネは白銀だし、耳も大きいし、とんがってるし、虎の顔じゃないように見えるけど、、。」
『確かにみんな白かったニャ。それと自分の顔は見えニャいから分からないニャ
そんなに変な顔かニャ?』
「ううん。虎よりすっごくかわいいよ」
『ニャ?!そうかニャ?嬉しいニャ。照れるニャ』
「うん!かわいすぎちゃうぐらいだよ。」
『////。』
「そうだ。ステータス見てもいい?」
『いいニャ。隠し事は無しニャ』
エクスはステータスの魔法を使った。
そこにはエクスと同じくバグった文字が表示されていた。
更に属性が光属性、種属が聖獣となっている。
「ち、ちょっとまって!霊獣じゃなくて聖獣になってるんだけど。
属性も金じゃなく光になってる!」
『ニャ?霊獣より上位種の聖獣かニャ?
確かに尻尾の数とかはみんなと違ったんニャけど、、、。』
「それに僕もそうだけどステータスの数字がバグってるんだよ。」
『ん〜よく分からないニャ分かりやすく言うニャ』
エクスはしばらく考え、自分に起きたであろう出来事をはなした。
「シロガネは多分上位種として突然変異して生まれたんだとおもう。
聖獣だったら僕の考える魔力細胞を持っているだろうけど、
それなのに魔力の流れが何らかの原因で止まった為に
細胞が魔力欠乏になってしまってステータスがバグったんじゃないかな?。」
『何となく解ったニャ。シロガネと同じでエクスも追放されたんだニャ。』
「えっ?そっち?・・・。
まぁいいや。シロガネは多分逆子で
お母さんのお腹の中で首が締まってたんだとおもう。
生き残る為に魔力を止めて、
少しでも首に負担がかからないようにしたから
魔力が止まっていたんだとおもうよ。
発育が遅いのもそのせいじゃないかな。」
『ニャ~・・・。何となく納得したニャ』
その時エクスのサーチに反応が現れる。
「!シロガネ!魔獣がいる!前方約900メートル!」
『ニャ!私に任せるニャ!』
「この辺りだとまだ昨日僕が倒したオークのはぐれかも知れないよ!
ステータス的には余裕だろうけど、体格差がキツくない?」
『大丈夫ニャ。魔力が巡っている今なら楽勝ニャ。魔法でチョチョイニャ』
「わかったよ。でも危なそうになったら僕がやるからね。」
『安心して見てるニャ』
物音一つ立てずに走りだす。
しなやかに走る姿は白銀の煌めく見目と相まって一筋の光のようにも見えた。
一気に魔獣との距離が詰まる。
予想通り敵はオークだ。
オークが気付くと同時にその肩に飛び乗り
首をクイっと横に振る。
その瞬間光子の高密度化した高温の刃が、オークの首を焼き切った。
オークが倒れたと同時にエクスが追いつく。
「あれ?終わってる?!」
『当たり前ニャ。チョチョイって言ったニャ!』
ドヤるその顔は獲物を仕留めた猫が飼い主に見せに来た時のそれだった。
『とっとと収納して先に進むニャ』
「そうだね。そろそろ野営する場所も見つけないといけないしね。」
そう言って歩き出すエクス達だった。
しばらく歩くと少し開けた場所に着いた。
傾いた日を見て少し考えるエクス。
「今日はここに泊まろうか。」
おもむろに長方形の岩を周囲に積んでいくエクス。
『ニャ!ニャんじゃこれは!』
シロガネは目を丸くして口が開いている。
オーク戦とその後の野営について話をするエクス。
その間に岩は一つの家の形を成した。
『凄いニャ!こんなに凄いならシロガネも使いたいニャ!』
「教えても良いけど次元の理が解るかなぁ、、。」
『意識体の事ニャ?ニャら解るニャ。』
どうやら聖獣と言うのは、肉体の記憶が無く、魂の記憶しかないようなのだ。
「肉体記憶が無くて記憶がいっぱいにならないの?」
『意識体の古い記憶はあっちの空間に保存されているニャ。
人間が古い記憶を思い出す時にしまった記憶を呼び出すのと同じニャ。』
?!!
「そうか!記憶領域にシナプスが繋がるのと同じ事か!
前世以前の記憶が殆ど無いのはそうゆう事だったのか!
その前の前前世が有ったのは感覚的に解るけど、
保存記憶とのリンクが薄くてたどり着けない感じか。」
『多分そうニャ。そんな事よりご飯食うニャ。お腹空いたニャ』
(えぇ~。話が飛ぶなぁ。本能に忠実と言うか何と言うか。)
今回もハンバーグっぽい物を作るエクス。
『ニャ?良い匂いニャ!それを食べたいニャ』
シロガネ用のミンチ肉をしまいハンバーグっぽい物を切ってあげる。
『美味いニャ!自分ばっかりズルいニャ!シロガネもコッチが良いニャ!』
発声はウニャウニャしながら思考伝達するシロガネ。
「生肉じゃないけど大丈夫?味も付いているんだけど。」
『大丈夫ニャ!コッチが良いニャ!』
「じゃぁこれからは同じ物を一緒に食べようね。」
『そうニャ。同じニャ!一心同体ニャ!』
エクスは久しぶりのにぎやかな食事に心癒されるのだった。
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