ep23 出会い
東へ向かうエクス。
サーチに反応した光点の正体は?
「ん、、くぁ~~。」
「あ〜~良く寝た~。」
入口を閉じた洞穴は日が差し込まないので時間感覚がおかしくなる。
辺りに魔獣が居ない事を確認して入口の岩を収納した。
「あれ?お昼近いのか?」
見上げると日はだいぶ上っていた。
「寝過ごした~?!」
急いで支度するエクス。
「さて。これからどうしよう。」
次の街は森の外周を迂回するようにできていて、北東の方角になる。
森の中心近くまで来ているので、このまま森をつっきって東に行けば、さらに先の街まで行けるハズである。
「ここまで来たんだから行ける所まで行ってみるか。」
エクスは日の位置で方角を確認し、歩きだす。
低木をウィンドカッターで倒しながら進むエクス。
「この辺まで高木の樹皮がないや。
本当オークって厄介だなぁ・・・・旨いけど・・・。」
1人ブツブツとボヤきながら進んで行く。
しばらく歩きふと気付くとサーチ上に見慣れぬ反応が現れた。
人や魔獣は色や形で区別するようにしていたが、それは点が光っているのだ。
「こんな設定してないんだけど、、。」
エクスは気になり、その光の所へと足を進める。
「そろそろかな?」
近づいたあたりから慎重に確認しながら進む。
「・・・ここだな・・・・。」
とりたて何も居ないようだ。
しかしサーチ上ではまだ光っている。
辺りを探していると後ろから僅かな気配がした。
『背後を取られた!』
飛び退きざまに魔力循環を早め、アイスブレードを展開する。
『ニャ~!』
エクスの目に飛び込んだのは
白銀で銀黒の虎模様の尻尾が2本有る猫だった。
「・・・ね・・・・こ?・・・・?」
成猫だとは思われるが、痩せていて体は小さい。
しかし尻尾が2本ある。だが目は普通の猫だ。
魔獣のように赤くない。だが普通の獣ならサーチで光ったりしない。
謎の猫だ。
どうしたら良いのか分からなくなり、アタフタするエクス。
それを見ていた猫?らしき生物は一度首をかしげ、2本の尻尾をピンと立て、
「グルニャ!ニャウアウ」
と何か喋りながらエクスの足に擦り寄ってきた。
直立不動で硬直するエクス。
「はぁうあ!」
前世から猫好きの記憶が残っており、傷つけることは出来ず、
猫と限らない為命の危険性もある。尻尾を立ててるから敵意は無いはず。
考えがグルグル回り、体は硬直、擦り寄られた嬉しさで思わず出た声だった。
恐る恐る足元を見ると、エクスの足に額を押し付けゴロゴロ喉を鳴らしている。
「もう駄目!殺されても良い。この子とお友達になるんだ!!」
意を決したエクスはそっと手を伸ばし鼻先に手を差し出した。
その手の匂いを嗅いだ後、猫?はその手に顔を押し付けてきた。
受け入れられた事に歓喜のエクス。
「と、取り敢えず何か食べるか?お前痩せてるじゃないか」
オークのミンチ肉を取り敢えず浄化し、
フータリヌの老夫婦に貰ったお弁当の入れ物に乗せて猫?の前に置いてみる。
ウニャウニャ言いながらミンチ肉を食べ始めた。
「やっぱりお腹空いてたか。いっぱい食えよ。
・・・しかしこの世界の猫は尻尾2本有って、
こんなに綺麗な白銀の毛をした子がいるのか?。
ついこの間まで家からほとんど出た事が無かったからよく分かんないんだよな。」
猫?は食べ終わり、ふくれた腹をグルーミングしている。
「お?食べ終わったか。」
グルーミングの邪魔をしないようにそっと頭をなでる。
猫?はムクりと起き上がり、エクスの鼻に自分の鼻を押し当てた。
するとエクスの魔力循環が猫?に流れ出す。
猫?の魔力の流れが途中で寸断されていたのを感じたエクスは優しく循環を広げ
魔力が行き渡るように促した。
寸断された部分を少しづつ繋げるようにゆっくりとゆっくりと。
徐々に魔力は巡りだす。
猫?の体を魔力が行き渡った時だった。
『魔力が!魔力が流れていくニャ』
?!
頭の中で声がする。
『凄いニャ治ったニャ!治ったニャ』
「お前が喋っているのか?」
『そうニャ!魔力が流れて力が使えるようになったニャ!』
「すごいな!テレパシー使えるのか!」
『テ、テレパ?よく分かんないけど思考伝達は出来るニャ。
出来ると言うか、今出来るようになったニャ』
「今?」
『そうニャ。生まれつき魔力が流れなくて使えなかったニャ』
「なるほど。僕が治したから使えるようになったのか。
僕も使ってみたいなぁ」
『二人の間ならもう使えるニャ』
(え?二人の間?)
『そうニャそれニャ親愛の証をして魔力交換したニャ。魂を繋げる契約ニャ』
「テイムとか主従契約の事?」
『主従じゃないニャ。親友ニャ。
でも治してくれたし主従でも良いニャ』
「じゃぁ僕達はずっと親友って事?」
『そうニャ。ずっとニャ』
「やった~~!君と友達になれてスッゴいうれしいよ。」
『私もスッゴい嬉しいニャ!』
「僕はエクス。君の名前は?」
『生まれてすぐに魔力が巡らない事が分かって捨てられたから、名前は無いニャ』
「え?」
『エクスに名前を付けて欲しいニャ名前欲しいニャ』
「いいの?
じゃぁ、
その綺麗な白銀の毛並みから
『シロガネ』って言うのはどうかな?」
『シロガネ、、、。ニャ!良いニャ!
私はシロガネ。宜しくニャエクス』
「うん!よろしくね!」
鼻先を付けあって互いに微笑むのだった。
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