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魂Xの理  作者: to-er
18/67

ep17 ロンサーキ

ジーポング王国にたどり着いたエクスは・・・






「ジーポング王国、貿易の街ロンサーキへようこそ!」




屈強のイケメン門番が笑顔で挨拶をしている。何故か上半身は裸だ。

所持品検査や入国審査をしている様子が無い。

列はそのままゾロゾロと止まる事無く門をくぐっていく。

通常入国審査はもっと厳しいものではないのか?と怪訝(けげん)な顔で門をくぐるエクス。


宿の場所も聞きたかったので門番に話しかける。


「宿はどの辺に有りますか?」

門番はにこやかに場所を教えてくれる。

ついでに入国審査について聞いてみる。


「入国審査ってしないんですか?」

すると門番は言った。


「乗船してきた船自体が魔道具になっています。

入国に値しない人物は船の中で判っておりますので

別の場所に行ってもらっているんですよ。

入国理由などはアプシーと連携して観光、仕事、移住などの目的把握をしておりますので、

ここでは取り立てて検査や聞き取りを行う事はございません。」


船そのものが審査場だったのか!船上での拘束時間は長いからその間にやってしまおうと言うことか。発想が凄い。

と驚きの表情を見せるエクス。


「最近開発された技術でして、お客様にも大変好評をいただいております。」


なるほど!である。

入国に何時間もかけずにストレス無くいける。島国だからこそ造れた最高の魔道具船だ。

因みに他国製の船は別の場所に停泊して、別の入口から入国になるらしい。

ジーポング製の船に乗れて運が良かったようだ。

それにしても5歳の子供にこの話し方は驚愕である。

屈強イケメン門番のギャップ萌えか?!

思わずツッコミを入れたくなるレベルである。



街に入ると人は多いがあまり騒がしくない。

大声で喋る人は少なく足早に動きまわっており、そのくせ落ちているゴミは少なく嫌なニオイもしない。

街並みは中世だが雰囲気は日本のそれに近く居心地の良さが感じられた。


せっかく枷が外れたのだから、ブラブラしようかとも思ったのだが

時間も遅いし、叔父の居る街にも行かなければならないので、

おとなしく宿へ向かうことにしたのだった。





翌日



目を覚ますと外はもう明るかった。

王都を出て約半月、久しぶりに太陽が昇ってから目を覚ましたのだ。


「ん、、、くぁ~~〜~~」

体全体を伸ばし大きなアクビをする。


精神的な疲れが大きかったのだろう。疲れていないはずの体が重く感じる。

ダルそうに体を起こし朝食を食べに食堂に向う。


「おはようございます。そちらの席へどうぞ。」

着いた席にはバランスの良い豪華な朝食が並んでいた。


「宿泊に朝食付きってありましたけどこれ全部そうなんですか?」


「ええそうですよ。ここの主人が趣味で山菜採りや狩り、釣りをしてまして

沢山取れた日にはお裾分けで料理が増えるんですよ。

最近は冬場ですし魚とかが多いんですが、何故か熊がいたらしく

2体持って帰って来たんですよ。」


「冬眠の時期に珍しいですね・・・」


「ええ。主人はよほど嬉しかったのか全部お客様方に食べてもらうと言い出しまして。

あっ・・冷めないうちにお召し上がり下さい。」


「ではいただきます。」


寝起きのダルさも忘れ(むさぼ)り食うエクス。


「あぁ幸せ〜。生き返る〜。」


朝っぱらから肉は重い気もするが、通常の一般家庭では冬場の肉は乾燥肉で

鮮度の良い生肉は冬場だと値段が3倍近くなるのだ。

魔獣の肉は勿論食べられるが、下位種のベアーなどは美味しくなく

獣の熊は獣臭さは有るが、肉としての味や歯ごたえは格別で

冬場にたらふく食べられるのは夢のようなことなのだ。

因みにインベントリに入ってる上位種のレッドベアーは

日本で言うA5ランクの牛肉位に美味しく、高価だ。

多分だが魔力の内包量が多い個体ほど、強くそして美味いのではないだろうか。


強い魔獣の肉を食べてみたいものである。




たらふく食べ、その身も心も満たされたエクスは

先を急ぐ為、宿を後にする。


叔父のいる街はまだ数日歩かないとたどり着けないのだ。

もし遅くなりすぎると死んだ事にされロイやマリー、アルフに

その連絡は行くだろう。

今回の件で特にマリーは憔悴(しょうすい)していた。

母親にこれ以上の心配はかけたくないとの一心でエクスは先を急いでいるのだった。



ロンサーキの東門へ向かう途中、武具の店に立ち寄った。

魔法以外で身を守る物が欲しかったのだ。

エルマー王国では街に入っても時間の余裕が無かったり、

朝は一番で街を出るため店が閉まっていたりと、買うタイミングが無かった。

場所的に良い物が揃ってるだろうこの街の武具屋は

絶対に立ち寄りたいと考えていたのだ。


店の中を物色しているとある物が目に止まった。

それは刀であった。

地球で言う中世でよく有る(つるぎ)がこの世界では使用されている。

()は付いているが真っ直ぐ伸び、叩き切るスタイルだ。

刀は刃先に向かい反っているため肩を中心とした切る時の円の動作で

より対象物と()が擦れる事により『切れ味』が鋭くなる。

切るための武器なのだ。

イメージするならカッターの刃を指に軽く押し付けても直ぐには切れない。

その力のままで手前に引けば簡単に切れてしまう。

摩擦が有る事によって切ることが容易(たやす)くなるのだ。

それに特化された武器が刀なのである。


しかし子供の体格から考えれば刀は長すぎるのだが、

ここの武具屋は脇差(わきざし)があったのだ。

短めの刀だが、5歳児の体のサイズ感でいくと良い感じなのである。


エクスは即決で有り金全部でこれを買った。一目惚れである。


ただ一つ困った事に、無一文では今後が厳しいと言う事である。

店を出てエクスが向かった先はギルドだった。

ギルドはその特性上、魔物等の買い取りもやっていて、会員でなくても良いのだ。

エクスは受付で

「魔獣の買い取りお願いします。」

とストレートに切り出した。


「いらっしゃいませ。どちらの魔獣の買い取り希望でしょうか。」


「ここで出していいの?かなり大きいんだけど・・・」




「・・・アイテムバッグ所持者の方でしょうか。でしたらこちらへどうぞ」



奥にある裏口の扉から中庭へ出た。




そこは小さめの広場が有り、解体場などが併設されていた。




読んで頂きありがとうございます。

また来てもらえると嬉しいです。

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