表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一章完】四国?五国で良いんじゃね?  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/50

第12話(3)フンミの本気

「ぎ、技量特化だと……」

「ああ、そうだ」

「と、飛んでいるのはどういうわけだ?」

「極めれば、空も飛べるはず……」

「いや、その理屈はおかしいだろう!」

「だって飛べるんだから仕方ねえだろう!」

「まるで子どものケンカね……」

 カンナが呆れ気味で軽く額を抑える。タイヘイが立ち上がる。

「まあいいさ、かまいたちで切り裂くまでだ!」

「ふん!」

「なっ⁉」

 タイヘイが右手を振るって斬撃を飛ばすが、フンミは軽やかにそれをかわしてみせる。

「へっ!」

「むっ!」

「そらっ!」

「ぐはっ!」

 懐に飛び込んできたフンミの蹴りを食らい、タイヘイは後退する。

「ふふっ……」

「な、なんでだ……スピード自体はさっきより落ちているはず……」

 タイヘイは蹴られた胸のあたりを抑えながら呟く。

「……技量特化だと言っただろう? この型ならばお前の放つ斬撃をかわすことくらいわけないのさ」

 フンミが両手を広げて肩をすくめる。

「それならば!」

「おっ!」

「連続の斬撃はどうだ!」

 タイヘイが両手を素早く振り回す。

「ふふん!」

 フンミが連続して向かってくる斬撃をこれまたかわす。タイヘイは驚く。

「な、なんだと⁉」

「隙あり!」

「しまっ……!」

「おらおらっ!」

「がはっ!」

 再び懐に入り込んだフンミの蹴りを連続で食らい、タイヘイは後方に倒れ込む。フンミが笑みを浮かべる。

「連撃のお返しだ……」

「く、くそ……」

 タイヘイが半身を起こす。フンミが納得したように頷きながら呟く。

「なるほど、そのタフさが超人としての流れを汲んでいるってわけか……」

「な、なんで……」

「あん?」

「なんで斬撃を簡単にかわせるんだ……?」

「……お前の腕の角度などから軌道がある程度予測出来るからだよ」

「! そ、そんなことが……」

「出来るんだよ、技量特化……つまり、今の俺は達人の領域にいるからな」

「腕の角度か……いいことを聞いたぜ」

「ん?」

「それならば、これならどうだ!」

 ガバッと立ち上がったタイヘイが両手をめちゃくちゃに振り回す。

「うぜえな!」

「ぐはあっ……」

 フンミがタイヘイの後方に回り、斜め下から脇腹を蹴り上げる。タイヘイがよろめいた後、膝をつく。フンミが淡々と告げる。

「言っても無駄だろうが、一応言っておく。お前の場合、ベースが人間のそれみたいだからな、腕の可動域にはどうしても限界がある。その死角に回りこめばいいだけのことだ……」

「ぐ、ぐっ……」

「さらに付け加えるなら、お前は斬撃を放った後、けっして小さくはない隙が出来る。そこを突けばいい……」

「ご、ご指導ありがとうございます……って言うべきか?」

「そんなの要らねえよ、金ならもらうが」

「あいにく持ち合わせがねえ……」

「まるでいつもはあるみたいなこと言うなよ」

「ふっ……」

 タイヘイが笑う。フンミが両手を大げさに広げる。

「特別だ。サービスしてやるよ」

「それはありがてえ……なっ!」

「!」

 タイヘイが足を刃に変えて、斬撃を放つ。フンミがそれを飛んでかわす。

「当然、飛んで避けるよな!」

「‼」

「な、なんだと⁉」

 タイヘイが空中に向かって斬撃を放つが、フンミは天井ぎりぎりまで上昇する。斬撃はそこまでは届かなかった。フンミはタイヘイを文字通り見下ろしながら呟く。

「……この場所がアホみたいに天井の高い玉座の間で良かったぜ。お前の斬撃にも射程ってもんがあるようだ……」

「くそっ……」

「もしかしたら射程をもっと伸ばせるのかもしれねえが……鍛錬不足ってやつだな」

「まあ、そういうのはこれで補えるから……な!」

「なにっ⁉」

 フンミが驚く。タイヘイが足の裏から強風を噴き出し、空に飛んできたからである。

「おらあっ!」

「ごはあっ⁉」

 タイヘイがパンチをフンミの腹に叩き込む。フンミの体がくの字に曲がる。

「もう一丁!」

「くっ!」

 フンミがタイヘイから離れる。

「遅えよ!」

「ぶはあっ⁉」

 タイヘイが素早く回り込み、フンミに強烈な回し蹴りを食らわせる。フンミが地面に激しく叩きつけられる。今度はタイヘイがフンミを見下ろしながら呟く。

「まあ、斬撃の射程を伸ばすってのは、良い考えだ。試してみるわ……」

「そ、そんなことより!」

「うん?」

「な、なんだそれは⁉」

 半身を起こしたフンミがタイヘイの足裏を指差す。タイヘイが腕を組んで答える。

「ロケットブースターだ」

「はあ⁉ てめえ、『機』の流れも汲んでやがるのか⁉ 聞いてねえぞ!」

「言ってねえからな……」

 タイヘイがゆっくりと地面に下りる。フンミが指折り確認する。

「『人』、『獣』、『妖』、『機』のクオーターってことか……そんなやべえ奴がいるとは」

「やべえだろ、降参するなら今だぜ」

 タイヘイが腰に手を当てて胸を張る。立ち上がったフンミがひょうたんを飲む。

「ふん……ひっく」

「まだ飲むのか? ひょっとしてあれか? ヤケ酒ってやつ……か⁉」

 フンミの引き裂くような攻撃をタイヘイは食らって吹っ飛ぶ。

「……攻撃力特化の『白虎の型』……遊びは終わりだ」

 フンミが虎の姿を模した構えを取る。

お読み頂いてありがとうございます。

感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ