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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
青年期編
37/38

#37 奴隷船潜入作戦

次郎吉たちは入念に作戦会議をすることになった。まず奴隷船への潜伏任務。これに用いるのはプラムの薬で次郎吉を子供の姿にする薬だ。これで潜入がやりやすくなる上に子供なら相手の警戒心はどうしても下がる。


一応薬の効果確認のために次郎吉は薬を飲むと本当に子供の頃の姿になった。それを見たプラムが笑顔で言う。


「成長した旦那様もいいですがやはり子供の姿の旦那様もいいですね」


「褒めているのか? それ」


「もちろん褒めていますよ? わたしくにとっては救われたお姿ですから」


そう言われると照れてしまう次郎吉である。効果時間は一日。子供の姿を維持するためには薬を再度飲まなければならず、元の姿になるためには薬の効果切れを待つしかない。つまり時間を間違えると人の目の前で大人に戻ってしまうことがあるわけだ。しかも子供服で大人に戻ると当然服は破れるよね。


「もし人前で変わったら俺っちの一生のトラウマになるな」


「旦那様ならきっと大丈夫ですよ。あ、でも旦那様の裸は誰にも見られたくないので、気を付けてください」


日に日に独占欲が強くなるプラムである。


更に奴隷のソーサリーファクトも用意しなければならない。しかしその手のソーサリーファクトは通常ルートではまず手に入らない。そこで次郎吉が頼ったのが下着泥棒のホーキングだ。


彼と次郎吉は今でもこっそり変態ソーサリーファクトの取引をしている間柄となっている。彼なら変態ソーサリーファクトと物々交換に応じてくれるはずだ。それを知ったビオラは感心する。


「ちゃんと犯罪者の裏社会にも手を回しているのね」


「まぁな。しているのとしていないとではかなりの差が出ちまうものだからな」


裏でしか出回らない商品の調達しかり、裏でしか得られない情報しかり手を回しておいて損はまずしない。裏切りとかルール違反をすると命が狙われる恐ろしい世界だけどね。次郎吉はそこらへんはしっかりしているので、問題はない。


更にプラムが作った臭い消しの香水も使用する。鼻で嗅ぎ分けられる獣人には必須のアイテムだろう。これらの準備を整えて、次郎吉は服を着ると服が貧乏人の姿になる。この服は次郎吉が開発した変装のソーサリーファクトだ。


このソーサリーファクトは撮影した服を投影するソーサリーファクトで撮影した服そのものに変化するソーサリーファクトではない。あくまで外から見ると撮影した服に見えるだけというソーサリーファクトだ。


意味がないように見えるが潜入任務では非常に強力なソーサリーファクトで一見すると何も隠せないようなボロ布で作られた服だが、実際に着ている服の裏側には泥棒に必要な道具やソーサリーファクトが隠されている。これが滅茶苦茶恐ろしい。何せ無防備だと思ったら相手が完全武装しているわけだからね。不意打ちにはもってこいのソーサリーファクトと言える。


次郎吉にとってはソーサリーファクトを隠す必須のソーサリーファクトとなっている。普通に他国に行くときの看守とかまで騙せるのがかなり大きい。


「おし。これで準備完了だな。時間の猶予はどうだ?」


「ないわ。ゲオリオが捕まっているのがコーネの調査で確定した。拷問を受けて洗脳のソーサリーファクトに必死に抵抗してみるみたいだけど、ゲオリオが落ちたらあたしたちの組織は終わりよ」


コーネはゼルガード伯爵の屋敷で密偵任務をしている。コーネが成功しているということは次郎吉とプラムが考えた獣人対策とゼルガード伯爵相手にある程度戦えることがわかった。こうなると次郎吉の任務がかなり重要性が上がって来る。


何せどれだけ隠れられてもゲオリオの救出にはゲオリオを倒した獣人をなんとかしないと恐らく不可能だからだ。


「伯爵に俺っちたちの情報が渡れば他の貴族たちに知られるもんな。そこから王女様に追及の手が伸びたら終わりか」


「そういうことね。潜入任務の期間は一週間。それを過ぎたら、危険を承知で真っ向勝負を仕掛けるわ。それまでに任務を成功させてちょうだい」


「はいよ」


次郎吉はプラムに次郎吉は話す。


「悪いがプラム。今回は手伝ってくれ。潜入や人質の泥棒までならいけるが船で移動する以上、場所は島か他の国、大陸の可能性が高い。そうなると敵の数もさることながら脱出はかなり難しいと思う。グソウさんの船があったとしてもな」


「わかりました。旦那様が帰れるように援護すればいいんですね?」


「あぁ。頼む」


「お任せください。ダークエルフの力、お見せいたします」


そういうプラムはやる気満々だ。相手が奴隷商人となるとプラムも無関係というわけにはいかない。これは魔術師としてのプラムの全力の力を初めて見ることになりそうだ。次に次郎吉は迎えに来てくれたグソウに指示を出す。


「グソウさん、発信機を頼りに気づかれないように船を追跡して俺っちが合図を出すまで動かないでほしい」


「任せてくれ」


最後に次郎吉はビオラと怪我の治療を受けているクインを見る。


「この家を頼む」


「任せて頂戴」


「……うん。私もゼルガード伯爵の屋敷に向かう。そっちの手助けは出来ない。本当に次郎吉だけが頼りになる。だから……頑張って」


「任せておけ。俺っちを誰だと思っているんだ? 天下の大泥棒、鼠小僧の次郎吉様だぞ?」


次郎吉がそういうとクインは安心した笑顔を見せる。そして次郎吉とプラム、グソウの三人はスカリフォーの町に魔道車で向かうのだった。



スカリフォーの町に到着した次郎吉たちは夜を待ってから早速目的の奴隷船に潜入することにした。次郎吉は獣人対策の臭い消しを使い、子供になる薬を飲むと次郎吉は子供の姿になると木のコンテナを利用して誰にも気付かれずに奴隷船に接近する。しかし船着き場は遮蔽物が少なく、人がたくさんいる。バレずに潜入することはかなり難しい。


ここで次郎吉は自分の首に奴隷用の首輪のソーサリーファクトと白い布で目隠しの用意をしてしばらく待っていると奴隷にされた子供たちがやって来た。


「相変わらずビオラたちの情報網は大したものだな。それじゃあ、ほっかむりはないがいきますか。鼠小僧がやってきたぜ。奴隷商人ども」


次郎吉はそういうと硬貨を連続で空に弾き上げた。


「なんだ? 今の音?」


「おい! 誰かそこにいるのか?」


「いて!? なんだ?」


「金?」


次郎吉の硬貨を弾く音に反応する者と硬貨が空から落ちてきて、それを確認する者とで動きが別れた。その一瞬の隙をついて次郎吉は奴隷の子供たちと同じように目隠し状態で奴隷の列に加わった。


「ん? おい! 何を足を止めているんだよ! さっさと歩け! クソガキども!」


奴隷の子供を付いてきていた男はいつの間にか一人増えていることに気付くことなく奴隷の子供たちを船に乗せた。これでとりあえず第一段階の奴隷船に乗り込む作戦は成功。次郎吉は子供の奴隷たちと一緒に個室に放り込まれるとひとまず自由になった。


次郎吉はその間に発信機のソーサリーファクトを樽の下に設置する。しかしまだスイッチを起動しない。相手がもしこの手のソーサリーファクト対策をしているなら起動した時点で潜入者がいることを教えることになる。


奴隷商売もそうだが違法の商売をしている商人はとにかく証拠が見つかることをとにかく嫌うからこういう防犯意識は強いのだ。なのでスイッチを押すのは今じゃない。最低でも奴隷が送り込まれている場所を特定したいというのが本音だ。


そして船が出発する。これで次郎吉には逃げ場がない。すると船が波で激しく揺れる。その結果、子供たちの顔色が明らかに悪くなると船酔いで何人もの子供が食べた物を吐いた。密室でのそれは地獄である。


(恨むからな? ゲオリオ)


次郎吉はこの一件が終わったら、この話をゲオリオに聞かせて一発殴らせて貰うことを心に誓うのだった。

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