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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
幼年・少年期編
30/38

#30 プラムとの生活

王都シルファードから帰って来た次郎吉は買ってきた物を自宅に運び入れて、グソウと別れる。ここからは完全にプラムと二人っきりの生活だ。


二人の基本的な収益はソーサリーファクトの売買と修理となる。この修理の中には魔力チャージも含まれていて、売買するソーサリーファクトは日用品のみだ。同じ値段で普通の物よりいい物を作っているので村では結構な助けとなった。


村以外でだとオジム山脈に向かう人やオジム山脈を越えた先にあるビャク王国という国からシルファリッド王国に来る人と商売する。長旅すると予期せぬところでソーサリーファクトを使ったり、壊れたりすることが結構あるので意外に商売が成り立っていた。


後はビオラたちとの商売だ。当たり前の話だがこの収益が一番大きい。実際に使用した者から評判がよく、コーネも愛用しており、個人的な依頼までされた。どうやら自分しか持っていないソーサリーファクトが欲しかったようだ。


自分の持ち味を増やしたい気持ちは理解できるが自称姉として仮の弟にそれを頼るのはどうなのだろうと次郎吉は思ったのは言うまでもない。


そんな商売をしている次郎吉だが、自分たちのソーサリーファクトの開発も進めないといけない。まず最初に作ったのだが、プラムの人間に化けれるソーサリーファクトだ。


「これは便利ですね……ずっと魔力を消費し続けないところがいいです」


「だろ?」


魔法使いがソーサリーファクトを使用する理由の一つがこれだ。自分で魔力をチャージして必要な時だけソーサリーファクトを起動される。これでだいぶ魔法使いの負担が軽減されるのだ。


後は魔術の起動の速さや自分が覚えなくても魔力をチャージするだけで魔術を使用出来るところが魔法使いがソーサリーファクトを利用する理由としてあげられる。


ただ最大出力などはソーサリーファクトで決められるので、自分の力を最大限生かしたいなら魔法使いは魔術を学ぶしかないというのが現状だ。それでも自分とソーサリーファクトで最低二つ同時に使えるのは強いけどね。結構好みに分かれるというのが現状らしい。


次に次郎吉が作ったのはお湯を出すソーサリーファクト。一般にあるソーサリーファクトだが、次郎吉の使い方がお風呂だった。


「あぁ~……忘れていたこの感覚~……疲れた体に染み渡るぜ~」


「温かい水に入るとこんなに気持ちいいですね。大発見です」


「だろ?」


二人が一緒に風呂入っていることに深く突っ込んではいけません。どんなに次郎吉が拒否してもプラムが引くことがないので次郎吉はもう諦めている。次郎吉としては女性と一緒に風呂入って嬉しくない男はいないと思っているのも影響している。


ここから次郎吉のソーサリーファクト開発は加速していく。プラムが使用する魔術を見て、自分だけのソーサリーファクトを想像し、形にしていく。この村で良いことがあるとするなら揺れがほとんど発生しないことだ。町だと魔道車が近くを通る度に揺れが発生していたので、失敗も多かったがここだと作業に集中できた。


次郎吉がソーサリーファクトを開発している中、プラムの薬開発も順調に進んでいる。草属性の魔術で薬草の成長を促進したり、魔術で新しい薬草を生み出していた。これはダークエルフたちが開発した草属性の魔術が使われている。


ただ薬を作ってもそれをどう使うかは次郎吉とプラムの腕前で決まる。次郎吉からするとプラムの薬は捕まりそうになった時のための奥の手とした。下手に使用するとプラムの存在がバレて自分のところまで足が付くリスクがあったからだ。


そんなわけである程度完成したソーサリーファクトが揃ったところで次郎吉は遠く離れたバルバリス王国での泥棒に使用テストをした。流石にシルファリッド王国で泥棒を続け過ぎたので、ソリスが警戒している間はバルバリス王国で泥棒することにしたのだ。


こうなると二つの国に喧嘩を売っていることになるが次郎吉は問題なしと判断した。今の国同士の関係を考えると泥棒一人捕まえるために国家間で協力するような流れにはならないと思ったのだ。もちろん被害者同士が手を組む可能性はある。それならそれで次郎吉はかかってこいスタイルだ。


「凄い戦果だな」


「今日も美味い飯と酒を奢ってやるよ。グソウさん」


「そいつはありがたい話だね。今日も豪遊といきますか」


次郎吉が盗んでグソウが逃げ足となる。魔導車ならお金を積み込めるので、非常に便利だ。因みにグソウにも次郎吉は協力代をたくさん払っている。これで次郎吉はグソウの心を掴むつもりだ。実際に次郎吉と組んだほうが儲けになるなら次郎吉と組むだろう。


そして帰って来るとお土産をプラムに渡してソーサリーファクトの作製に没頭する毎日を送る。そんなある日、コーネがやってきた。


「ジロキチ、ビオラさんから仕事の依頼を持ってきたよ」


次郎吉は大きい封筒を見ると二枚の手紙と国境通過許可証が入っていた。手紙の一つは『アルバ』のエンブレムでもう一つは王族のエンブレムがある。


「絶対に泥棒とは関係ない仕事だろ……これ」


「まぁ、普通は王族の手紙なんて渡されないからね」


「そりゃそうだろ。俺っちたちと国との繋がりを証明するようなものだからな」


先にビオラからの手紙を見る。王族の手紙なんて一般人はおろか悪人が見たりしたらろくなことにはならないと次郎吉は知っている。


『『鼠小僧』へ。ソリスの警戒度が下がった。任務の開始の前に同封の手紙を『世話係』と共に魔霧の森へ届けるべし。家の留守番は『家出娘』に任せよ』


コーネのコードネームが『家出娘』になったようだ。これを見て次郎吉は察した。


「つまり我が国の貴族がエルフに対して不祥事起こしたからいざこざが起きる前に国の意思を示す手紙を渡して誤解を解けってことね」


次郎吉たちからの情報が王族に渡り、何か手を打たないと戦いになりかねないと踏んで使者を使って動くことにしたわけだ。プラムが聞いてくる。


「確かに動くことはいいと思いますが……遅くありませんか?」


「政治の世界に速さなんて求めるものじゃねーよ」


「ジロキチの言う通りだね。ずっと難しい話をして一年終わる世界なんだからさ。正直速いほうだと思うよ」


「はぁ……人間は大変ですね」


エルフの話し合いはするが話が長引くことも決定を下すのも結構速いそうだ。これはエルフの少なさが影響しているらしい。ただでさえ少ないエルフの中から更に政治家とされて本当に数限られた人しかいないそうだ。それなら即断即決になるのも頷けた。


ここで手紙を読んでいたコーネが疑問を言う。


「でもさ。なんで政治家を向かわせないんだろう? 当事者のプラムさんがいるのは分かるけど、こういうのって政治家が行くんじゃないの?」


「コーネの言い分は正しいが問題は情報源だろうな。エルバーン子爵の情報を下手に王族が公表するとエルバーン子爵と関係があった貴族たちが王族のことを怪しむだろ?」


「あ、そうか。なんでダークエルフやエルフの情報を知っているのか聞いてくるよね。実はエルフと情報交換しているなんて嘘はつけないし、ジロキチを使って裏で解決したのが一番いいってことになったんだ」


「たぶんそういうことだな。というわけだ。プラム。まさかの故郷に帰省することになったがいいか?」


「もちろんです。旦那様。案内や森への入り方などお任せください」


そんなわけで次郎吉とプラムはエルフが暮らしている魔霧の森に向かうことになるのだった。

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