#23 監禁されたダークエルフ
クリスマスと年末年始の更新について報告いたします。
12月24日から更新時間を18時に変更しようと思います。そして更新日についてですが12月24日から12月30日まで連日更新をします。そして12月31日と1月1日は三話更新を予定しております。1月2日と3日については現時点では一話更新を予定しております。もし変更がある場合にはおって連絡致します。それでは最新話をお楽しみください。
屋上から様子を伺っていた次郎吉は地下室に入った男がまさかの地下室を閉めずに出ていくのを目撃する。
「いくら人がいるからってそいつは無用心だぜ?」
次郎吉は透明になるソーサリーファクトを発動されて屋上から飛び降りると靴のソーサリーファクトを発動させて、音も無く着地を決める。そしてそのまま地下室に入ることが出来た。そこで透明になるソーサリーファクトのスイッチを切る。
(さて、どんな宝があるか……)
次郎吉が階段を降りるとゴールの示す木のドアがあり、鍵も無かったので、普通に開くとそこは次郎吉が思っていた宝部屋とは異なる部屋だった。
部屋は石造りでところどころに木箱はあったが何よりも中央に天井から伸びる鎖で両手と地面から伸びる鎖で両足を繋がれている女性がいた。明らかにこれは宝部屋ではなく、地下の監禁部屋であることは明白だ。
「また来たのですか? 何をしても無駄……ん? 子供?」
次郎吉は声を掛けられたが無視して木箱のほうに向かうと溜息をついた。金の臭いがせず、血の臭いがところどころからしたことで木箱の中身は拷問の道具か拘束の道具であることがわかり、完全に外れを引いたことが確定した。
「俺っちは……ん?」
次郎吉はここで初めて女性を間近で見ることになった。すると女性は短髪のウェーブがかかっている黒髪にワインレッドの瞳、胸が大きく目立ちそうな感じだがそれよりももっと目立つ要素があった。彼女の肌が褐色で耳が人間と異なり尖っていたのだ。
次郎吉は彼女の正体の情報を既に持っている。
「お前さん、まさかとは思うがエルフって種族か?」
「エルフではありますが正確にはダークエルフと呼ばれている存在です」
ダークエルフの情報を次郎吉は得ていない。しかし次郎吉は名前に両方エルフとついていることから日本人と外人との差ぐらいだと予想した。
「はぁ~ん。まぁいいや。っ!?」
次郎吉が帰ろうとした時だった。ここに向かって来る足音を検知して次郎吉は足のソーサリーファクトを発動させて天井にへばりついた。その次郎吉の姿をダークエルフは目で追ったがすぐに扉に視線を向ける。
そして扉が開くと次郎吉が目視で以前確認したエルバーン子爵が護衛も付けずにやって来た。どうやら最初にこの地下室を開けた人はすぐエルバーン子爵が来るから閉めなくてもいいと判断したみたいだ。
「私の最高の宝物よ。人目に見せる前にまずお前さんをいつものように堪能させて貰うぞ。ぐふふふふ」
エルバーン子爵はそういうとダークエルフの肌を撫でまわすように触っていく。
(私の最高の宝物ね)
次郎吉は自分の手に装備されているソーサリーファクトを見るとアーベルトの言葉を思い出す。
「使わずに済むならそれが一番良いがその力はジロキチの助けになるはずじゃ。もしその時が来たら迷わず使うといい」
(アーベルトの爺さんは俺っちの命の心配をして薦めてくれた機能なんだろうし、俺っちも暴力的な手段で泥棒はしたくないが)
「んん~……むふふふ。素晴らしい……素晴らしいぞ。この肌触りにメスの臭い! 恐怖と羞恥でゆがんだ顔! 全てが芸術作品だ! さて、そろそろ味見を」
「っ!」
ダークエルフの服がエルバーン子爵の手によってめくられていく。当然ダークエルフは嫌そうな顔を浮かべる。そしてエルバーン子爵がダークエルフの下半身に顔を覗き込もうとした次の瞬間だった。
「が!?」
次郎吉が音も無くエルバーン子爵の背後に着地すると手袋タイプのソーサリーファクトでエルバーン子爵の首にタッチした瞬間、電気ショックがエルバーン子爵に襲い掛かり、エルバーン子爵は気絶する。
「え? あなた……どうして?」
「俺っちは泥棒だ。宝ならなんでも奪うのが泥棒。ましてやそれが最高の宝物なら見逃すわけには行かないな」
次郎吉はそういうとピッキングでダークエルフの手錠と足枷を外すとダークエルフが聞いてくる。
「わたしを助けてくれるんですか?」
「助ける? 何を勘違いしているんだ? お前さんは俺っちに盗まれたんだよ。だからお前さんの所有権はそこに転がっている女との遊び方をこれっぽっちも分かっていないごみ男から俺っちに移っている。だから拒否権はない。行くぞ」
なんという泥棒理論。しかし泥棒としては正しい理屈となっている。泥棒が盗む前は所有者の物。泥棒が盗んだらそれはもう泥棒の所有物。泥棒から取り返したらそれは元の所有者。これが泥棒という犯罪の基本理論だ。
後、次郎吉はこだわりを持つ人間だ。当然女遊びにもこだわりを持っている。それは男も女も両方が楽しむこと。男だけが楽しみ女を不快にさせる行為を次郎吉は女遊びと認めない。故にダークエルフが嫌な顔をした瞬間に次郎吉の気持ちは決まった。
次郎吉がダークエルフの手を掴んで走り出そうとしたがダークエルフの足が止まり、気絶しているエルバーン子爵を見る。どれだけ彼女が苦しめられてきたかわからないが復讐するなら最高のタイミングだろう。そんなダークエルフに次郎吉は言う。
「そいつを殺したいなら好きにすればいい。俺っちは見て見ぬふりをしてやるよ」
次郎吉に言われて手をエルバーン子爵に向けるがすぐに手を下した。
「やめておきます。こんな男の血でわたしの手を汚したくはありませんので」
「へっ。いい女じゃねーか。ほら、いくぞ」
「はい!」
次郎吉とダークエルフは手を繋いで地下室から脱出しようとしたがここで問題が発生する。透明になるソーサリーファクトは次郎吉の分にしか効果がない。
「さて、どうやって脱出するか。ここは見つかって逃げ切るしかないか?」
次郎吉が一人ごとを言うとダークエルフが返答する。
「わたしに任せてください。闇の精霊よ。力をお貸しください。わたしたちの姿を敵から見えなくすることを願います。 シェード。これでしばらくの間ですがわたしたちの姿は見えなくなったはずです。音や臭いは遮断出来なず、物には触れてしまうのでご注意ください」
「へぇ。便利な魔術を覚えているんだな」
「ダークエルフなら誰でも使える基本的な魔術ですよ。ですがあなたが使っているその妙な道具がわたしたちにとっては天敵なんです。それだけは対処法がわかりません」
ソーサリーファクトは人間が作り出した最新技術だ。人間と関りがないエルフはまさか人間がソーサリーファクトを発明していたなんて知るよしもないことだった。
「その道具のことなら俺っちがなんとかするから大丈夫だ。行くぜ。俺っちより前に出るなよ?」
「はい。あなたに全てお任せします」
随分懐かれたものだと次郎吉は感じたが今は脱出が最優先だ。何せパーティーはまだ続いている。主催がいつまでも帰らなかったら誰かが探しに来るだろう。そうなると騒ぎが起きるのは時間の問題だ。
次郎吉は結界の前で止まるとハッキングしてダークエルフの情報を追加すると次郎吉はダークエルフと一緒に結界をすり抜けてから更にハッキングして、自分とダークエルフの情報を削除した。そして次郎吉は荷物を軽くするソーサリーファクトを発動されるとダークエルフをいきなり抱きかかえて一気に屋敷から脱出して村から出ようとしたタイミングで屋敷のほうが騒がしくなった。
流石にここで雷速で逃げ出そうとすると雷光を見られてしまうリスクがあったので、目視が完全に出来ないところまで移動してから次郎吉は靴のソーサリーファクトを発動されて、一気に距離を取ったところで今回の仕事と泥棒、そして次郎吉なりの復讐は終わった。何せエルバーン子爵の最高の宝物を奪ったのだ。泥棒として最強の嫌がらせだろう。




