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最初で永遠

作者: Triumphant

人の感情はどうやって知ったのか。タロットカードからひらめきを得ました。

神と人とのかかわりとは

 それはまだ あの世もなくこの世もなく。混沌も無く静寂も無く。ただ世界はドロドロとして熱く、山も無く、海も無く一つだった頃

 神は言った。

「静まりなさい。落ち着いて自らを見つめ、火は火として、水は水として、風は風として、土は土として、在る所に在り、為る物に為り、弱きものを産み育てよ」と。

 一つの月、一つの週、一つの日、一つの時を経てそれらは分かれていった。


 物語の最初に永遠が始まった。

 最初は神の思うがままに、やがて自由を与え観察し始める。求む者には与え、そうで無い者にも与えようとした。


 山には「ハトム」がいた。

 必要な物を狩り、朝は太陽に目覚め心静かに内面と見つめ、昼は動物たちと語り、夜は焚火と共に眠った。欲しがりもせず、生きるために必要な物は全てここにあると感じていて、満ち足りた時を過ごしていた。そこには火も水も風も土もあった。

 足りないものは何もなく、世界には全てが存在していた。


 海には「ソドラ」がいた。

 海の全てを欲しがっていた。実際そこにはソドラしかおらず、魚も貝もサンゴも潮の流れさえも、あらゆるものは自由にできた。分かち合う者もなく取られることも無いのに、手に入れなくてはならないのだ。時ですら自分の物にしたがった。この世はいつも不足していて欲望を満足させるには小さすぎると感じていた。世界の七割が海だというのに。


 2人は互いを知っていたが。会うことはなかった。広い世界には二人しか存在しなかったがハトムは全てに満足しており、ソドラは海を支配するのに忙しかったから。


 神は飽きていた。一人ずつではふたつしか観察できず 毎日が同じことの繰り返しで、満足と欲望しかそこには無くて何も変わらなかった。神は変化を求める、時代を進めることにする。破壊と創造と「その後」が見たくなった。

 子が必要だったので、女を作ることにしたが、わざと一人だけにして争いを求めることにしてみたのだ。

 神もまた未熟だったのかもしれない。


 ハトムは神に聞いてみた

「この世には自分と同じ生き物はいないのでしょうか?これほどの幸せを分かち合う者はないのでしょうか?」

 神は答える。

「山から降りて海との間に行きなさい。お前と同じでお前と違う人があるから」

 ハトムは感謝して身支度を整えると山を降りて行った。手には何も持たず、満面の笑みを浮かべて。


 ソドラは神に問うた

「この世に自分と同じ生き物はいないのか?自分の持ち物を奪いに来る者はいないのか?」

 神は答える

「海から上がって山との間に行きなさい。お前と同じでお前と違う人があるから」

 ソドラ感謝して身支度を整えると海から上がった。取られることないよう全ての物を手に持って、顔には怒りを浮かべて



 ハトムは風に押されて山と海の間に着くと女がいた。優しい顔とふっくらした体形に安らぎを覚え言った

「女よ。私と共に子を成し山に住みましょう。そこには全てが揃っています」

 女はハトムが何も持っていないことに気づいて言った

「あなたは何も無いではありませんか。」

 ハトムは初めて悲しさを知り、山に戻った


 ソドラは潮に押されて海と山の間に着くと女がいた。厳しい顔と痩せた体形に不安を覚えて言った

「女よ。私と共に子を成し海に住みましょう。そこには何も無いけれど」

 女はソドラが両手いっぱいに荷物を持っているのに気づいて言った

「あなたは全てを持っているではありませんか」

 ソドラは初めて喜びを知り、女を海に連れて行った


 ハトムは絶望しながら思い出した。ここには全てある、何を悲しむことがあろうか

 ソドラは喜びながら思い出した。ここには何もないが、女が取っていくかも知れない




 しばらくして女は子を身籠ったが、ソドラは女ばかりか子にまで取られるかも知れないと思った。ましてや二人を養うには足りなすぎるし、減っていくと。

「女よ。ここには何もなさすぎる。ここを出てどこか別のところで子を産むがよい。さすれば海は減らず増えていく。」


 女は驚いたが、ソドムが何もくれないので仕方なく海を出て、別の場所を探しに行くことにした


 ハトムが動物たちと過ごしていると、女がやってきた

「海を追い出されました。ここには何もないと言われ子を産む場所を探しています」

 動物の一つが言う「「この女は山に来るのを拒み、あなたを馬鹿にし、悲しみを与えたものです。ここに置いてはいけません」別の一つが言う「この女は山に来るのを拒み、あなたを馬鹿にし、新しい感情を教えてくれたものです。ここに置きましょう」


 ハトムは二つの動物の話を聞いた上で

「女よ。あなたはここに住むといいでしょう。子は私の子として育てることにします」

 女は涙を流し

「ありがとう。ここには子を育てる全てがあります」と言った


 十の月十の日が過ぎて、子が産まれさらに十の年が過ぎた


 ハトムはこの間に喜びと悲しみと不安と安心と安らぎと恐怖やたくさんの感情を学んでさらに豊かになっていった。

 子は笑い、泣き、食べ、眠り、そしてまた笑った。


 女は足りなくなった。ハトムをつまらないと思うようになりやがて、余り笑わなくなった


 神は飽きてきた。人と人の間にある感情の動きを「人間」と名付けたがそれだけだった。そこで変化を求めた。火を呼び、水を呼び、風を呼び、土を呼んで言った

「火は燃えろ、もっと多く。水は揺れろ、もっと激しく。風は動け、もっと早く。土は踊れ、もっと大きく」


 わずか一晩それらは荒れ狂った。

 ハトムたちは身を寄せ合い。耐えそしていつの間にか眠った。目覚めた時互いが傷だらけで身体中痛かったが無事で生きていることを神に感謝して喜んだ。ソドムは違った。一人で岩にしがみつき耐え、そしていつの間にか眠った。目が覚めた時身体中が傷だらけで痛かったし、岩以外何もないことを恨み神に怒ったのだ


 神は観察していた。求めるものには与え、そうで無い者にも与えようとした。


 ソドムは怒りのままで、山に登りハトムに言った

「この子は私の子だ。海は荒れ何もなくなったから子に手伝わせ手に入れる。だから連れていく」と宣言し、嘆く女を無視して連れ去ろとした。


 ハトムは戸惑ったがソドムに言った

「この子は私の子だが、何もないのは困るだろうから手伝いに行かせよう」


 ハトムは女と二人山を元に戻して、動物たちを守り育んだ

 ソドムは子に海を元に戻させ、全てを手に入れた




 山には全てあり、海にも全てある。

 ハトムとソドムは互いに幸せを感じ、生きて やがて死んだ







 神は観察した。そして二人を別の人間として何度も生まれ変わらせ観察した。

 求めるものには与え、そうで無い者にも与えようとしている







 私はハトムとソドムの子。ただの子である





教訓はありません。朝起きたらこの話がありました。頭に浮かんだんです。それだけです

何を感じるか、何を得るのかはご自身でどうぞ

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