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自称悪役聖女は今度こそ生き延びます!  作者: りおん
2章 マルクとシェリアの出会い編(むしろエドガーとの出会い)
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だからあなたはバカなのですわ

「こんなところに大勢連れて何の御用ですの?」



明らかに喧嘩を売ってきているマルクに対して向かい合うこともせず、しゃがんだ姿勢のまま返事をした




「ほぉ?聖女様は随分と選り好みが激しいようだ。俺には愛想を振りまくことはできないと?」



たまに侍女や騎士に優しくしてしまっているのを、どこからか聞きつけたのだろう

たまに出る油断なのだが、人によって態度を変えていると思われたらしい



「何のことですの?」




「とぼける気か...っておい、いつまで俺に背を向けている!俺が誰だかわかってるのか!」



シェリアは未だにマルクと目を向けることすらしていなかった



苛立ち始めたマルクに、ため息をつきつつ立ち上がって顔を合わせる




「自己紹介もせずにわかると思ってるだなんて、傲慢にもほどがあるのではないですの?

無駄話をしに来ただけなら私は部屋に戻りますわ」



そのまま帰ろうとするシェリアの腕をマルクが強引に引っ張った



「つくづくナメた女だ!

俺にそんな態度をとってタダで済むと思ってるのか?聖女の力もマトモに扱えないくせに!」



聖女の力は、授かってすぐ使えるようになるものではない。

効果や使い方などの訓練を3年ほど経て、やっとマトモに発動できるようになるのだ。未だ何もやっていないシェリアは使えるはずがない


そう、マルクは思っているのだろう




「ふふふ、うふふふふふ」



マルクの言葉を聞いて、私はむしろ可笑しくなってしまった

努力もせずに自分より上の椅子に座る聖女という存在が、邪魔で邪魔で仕方ないのだろう。




聖女の力がどんなものかも知らないのに。




堪えきれずに笑い出したシェリアを見て、マルクは訝しげにしている




「何がおかしい」





「...ねぇ、マルク。あなた何でそんなにバカなんですの?何千回出会っても、私が何を言っても必ず喧嘩売ってきて!」



笑いながら意味のわからない言葉を発するシェリアに、気が狂ったか、と周りの騎士は警戒態勢をとる



笑い終わったシェリアは、マルクに冷たい眼差しを向けた


一瞬ビクッと震えたマルクに気づかぬフリをして、心に秘めていた決意を言葉にする



「だから、今回は買ってあげるわ」



くるりと向きを変えると、マルクに「付いてきなさい」と言って

シェリアはスタスタ歩き出した


呆然としていたマルクは、離れていくシェリアを見て慌てて追いかけていった





----




シェリアが向かったのは訓練場だった


しかし騎士たちが使う訓練場ではなく、聖女のために用意されている小規模の訓練場。




「またか...なぜ場所を知っているんだ...」



何も伝えていないにも関わらず、当たり前のように訓練場に入っていくシェリアを見てマルクは呆れたように呟いた



そんなマルクを無視し、シェリアは訓練場の真ん中まで行くとマルクと向き直った




「マルク、あなた聖女の力がどんなものか何も知らないでしょう?だから見せてあげる。

二度と私と関わりたくないと思えるように、痛めつけてあげるわ」



シェリアの言葉に、マルクは愉快そうに口を歪める



「確かにどんなものかは知らないが、まだ使えないことぐらいは知ってんだぞ?

強がって痛い目見ても知らないからな!」



言い終わると同時、マルクはシェリアに向かって駆け出した


相手を舐めきった、正面から大振りの技。殺してはいけないと思っているのか、狙いは急所から外している

しかしそれでも速度や威力は他の騎士の追随を許さないものだ



「【聖女の祈り】」



シェリアが一言つぶやくと

体がにわかに輝き出し、その力は左手に集約された




そして、ガキンッという音と共に






マルクの剣を掴んでいた






「!?なっ!!!」



マルクの剣は押しても引いてもビクともしない



「なっ、なぜ力が使える!!!いや!それ以前に剣を素手で掴むなど!!というか聖女の力がそんな個人的なものであるはずが!!!!」



動揺しているのか、マルクは「ありえない!」と繰り返している



そんなマルクを見据え、剣を掴んだままシェリアは微笑む




「だから、あなたはバカなのよ」




そしてそのまま剣を折った




「.................はっ?」




予想外の出来事に茫然自失となったマルクをよそに、そのままシェリアは手をマルクの額へかざす



剣を折られたショックで反応が遅れたマルクは、シェリアの手から逃れることができなかった




「う、うわあああああああああ」




勢いに乗った剣を掴み、へし折った左手だ。

自分の頭も握りつぶされると思ったのだろう、マルクは死の恐怖で気が狂っていた





「少し、眠りなさい」




シェリアの言葉とともに、マルクはその場に倒れた




近くで見ていた騎士たちは、想定外の事態に動揺しつつも

マルクの元へ行っていいのか迷っている様子だった


マルクよりも聖女の方が立場が上なので、聖女に対して失礼にならないか判断がつかないのだ





マルクを遠くから心配そうに見ている騎士に


「眠っているだけだから。部屋に運んであげて」


と声をかけると、シェリアに軽く頭を下げ、急いでマルクの元へ向かっていった




(後のことは任せましょう)




きっとなんとかしてくれるだろうと、騎士たちを背にシェリアは部屋に向かって歩いていった

聖女様ブチギレ回でした

あと2回シェリア目線のお話書いたら、マルク目線書きます

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