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自称悪役聖女は今度こそ生き延びます!  作者: りおん
1章 エドガーとシェリアの出会い編(出会ってないけど)
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聖女なんてくだらん

シェリアが召喚された直後の、エドガーsideのお話です

「おぉ!」「成功だ!」



広間では騎士たちが騒ぎ出していた



理由は真ん中で座っている女、『聖女』の召喚に成功したからである




(くだらん)



俺はため息をつきたいところをぐっと我慢した




第一王子である俺、エドガー・アルゴットは実質的な政権を握っている


そして無能な父に代わり、魔王軍殲滅に向けて着々と準備を進めてきた

今すぐにとはいかないが、少なくとも5年後には魔王軍を殲滅できる戦力を整えている




もちろん『聖女』なんていうおとぎ話を当てにせずにだ







この聖女召喚、実を言わなくても父である国王が勝手に始めたことである

もっともらしいことは言っていたが、要はやってみたかっただけだ。無能は結局無能ということだろう

そもそも成功するかもわからない上、必要もないものに予算を注ぎ込む精神が理解できない



再びため息をつきたくなるのをこらえつつ、広間の真ん中に座る『聖女』を見る



伝承によると

聖女とは全ての者に慈悲深いという、博愛主義者のことらしい。

そしてその聖女としての条件を満たした者が、召喚の際に力を与えられて強制的にこの場に連れてこられるのだ


まぁ要は、勝手に召喚しても怒らない人間を連れてきたのだろう。

力を与える相手は誰でも良かったということだ




(実にくだらない...くだらないが...)




こうして召喚に成功している以上、この『聖女』は力を与えられているはずだ

なら使えるものは何でも使おう。"予備"はあって損はない







「〜此方の力を使って助力してほしいのだ」




思考にふけっていると、国王が『聖女』に向かって勝手なことをペラペラと話していた

自分に向けて話しているわけではないし、特に興味もないので聞き流す




(とりあえず最初は"第一王子"が行くか。『聖女』のタイプがどれだかわからないしな)




どうやって『聖女』を引き込むかの算段をつけていると

再び周りが騒ぎ出した。どうやら『聖女』がやる気になったらしい




(本当に聖女なんだな。アホらしい。まぁ、駒としては使いやすそうだが)




『聖女』への興味がなくなりかけたとき、不意に広間の中央からため息が聞こえた


俺は耳を疑いつつ、『聖女』の方を見る




「...私が聖女として魔王軍の殲滅?なぜそんな面倒くさいことをやらなければならないのですの?」



『聖女』の想定外の言葉に周りは不信の声を上げる



(聖女は慈悲深いのではなかったのか?)


自分は別段『聖女』に期待していたわけではなかったが、驚きは隠せない


いや、そもそも聖女などというのが眉唾物なのだ。間違いだった可能性はある。




騒ぎ出す騎士たちに不快な眼差しを向ける『聖女』

やはり伝承とは違ったかと思っていると、不意に違和感を感じる




(...いや、優しいのは間違いではないらしい)



召喚されたばかりの『聖女』が地位や権力についてどの程度理解してるのかはわからないが

少なくとも国王に対する態度ではないことはわかっているらしい。証拠に体が震えている


しかしいくら国王でも、言っていることは勝手すぎることだ。ほぼ国王としての権力が無いことは置いておいても、不遜な態度を咎める者はいないだろう


なのに『聖女』は不安と恐怖を必死に押し殺している。違和感を感じずにはいられなかった




(ならなぜ、わざわざあんな態度をとる?)



震えるほど怖いなら従えばいいのだ

わざわざ反抗する必要もないだろう。故郷への寂しさも感じられないし、目的がわからない



エドガーが考え込んでいる間に話は終わっていたようだ

勝手知ったる様に『聖女』は部屋に向かっていた





(ん?案内はいらないのか?まるでずっと住んでいたかのようだな...まぁ、『聖女』自体未知なものだし、俺の知らない力があるのかもしれないが)




そして未だ震えの止まらぬ『聖女』を見つめ、エドガーは面白そうに口を歪めた




「ふぅん...」




つい漏れ出た言葉は、放心していた騎士たちには聞こえていなかった

エドガーとシェリアの出会い編(出会ってないけど)の、エドガーsideは次回で一旦終わりです


『聖女』はシェリアという意味で、聖女は一般名詞として使ってます。

シェリアを人として見ていないことの強調ですね

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