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自称悪役聖女は今度こそ生き延びます!  作者: りおん
1章 エドガーとシェリアの出会い編(出会ってないけど)
3/37

腹黒王子が来訪しました

シェリアは部屋に入ると、大きなため息をついた



「あ〜、精神的負担が大きすぎる〜!!」



聖女として召喚されるレベルの心の清らかさを持つシェリアにとって

悪役を演じるというのは想像を絶する苦痛だった


そんなシェリアが悪役聖女になると決意するのだから

何千回と殺されることが精神に及ぼす影響は並大抵ではないということだろう。まぁ当たり前なのだが。




「これからどうしよう」



悪役聖女としての第一歩は無事踏み出せたと思っているが

今後どうなるかはイマイチわからない


本当は勝手に出て行きたいのだが

捜索隊などが出されると申し訳ないという中途半端な罪悪感のせいで実行に移せていない




シェリアがうーんと唸っていると、コンコンとドアがノックされる音がする



誰かがシェリアの部屋を訪ねに来たらしい




シェリアは心底嫌そうな顔をしていた



(今まで通りなら...)



これまでの人生、シェリアが部屋に入った後に最初に訪れてくる人物は毎回同じだった



貼り付けたような笑みを浮かべ、台本の読むようなセリフを吐く人物を思い浮かべながら

違う人でありますようにと祈りつつ扉の向こうへ「はい」と返事をする




すると扉の奥から凛とした声が聞こえてきた




「エドガー・アルゴットだ。召喚されて間もない聖女様は知らないと思うが...」




(あぁ、やはり)




シェリアは思わずため息をつく


今回も来たのは予想通り今までと同じ人だった

できれば関わり合いになりたくないが、そうも言っていられないだろう。

ここに住むとしても出て行くとしても、この国を管理しているのは実質この男と言っても過言ではないのだから






「この国の第一王子だ」







-----




エドガー・アルゴット

現国王の息子で第一王子。

誰もが惚けるような整った顔立ちをしており、地位も相まって隣の椅子を狙う令嬢は後を絶たない。

しかし浮いた話などは1つもなく、そっちのけがあるのではと噂されている





要は絵に描いたような王子様であるエドガー王子だが、残念ながら私を殺す容疑者の1人である。

そして更に残念なことに、実はめんどくさい秘密がある



先ほどエドガー王子は自分をこの国の第一王子と名乗ったが、そもそも王子は1人しかいない。

ならなぜ第一王子だと名乗ったかと言えば、彼自身が複数の王子だからだ。




つまり端的に言うと、彼は多重人格者なのである。

今のところ人格は3つほどあり、それぞれに名前が与えられている


要は人格ができた順番に第一王子、第二王子、第三王子とつけられているわけだ


そして今回訪れてきたのは元の人格とされている第一王子である。




この事実は別に秘密ではない。公然の事実となっているし、特にやましいこともない。

そもそも隠したところで隠し通せるものではないし、王位継承権の問題もあるだろうが、どうせ1人なのだ。自分の中で話し合ってでもくれれば済む話だろう。


ではめんどくさい秘密とは何なのか






本当は多重人格ではないのである。




あぁ、めんどくさい。考えるだけでもめんどくさい。


思考を放棄してしまいたくなるが、そんなことをしたらまた殺されるだけだ。しっかり考えなくてはいけない。




腹黒王子ことエドガー王子が多重人格だと偽っている理由だが(腹黒王子は私が心の中で勝手に呼んでいる)




どうも人心掌握に力を注いでいるらしい。


エドガー王子は今後、今の無能な国王に代わり次期国王となることがほぼ確実となるわけなのだが...(国王が無能である話についてはとりあえず置いておく)


簡単に言えば、部下の信頼などは1から築き上げなければならならない

しかし人には合う合わないがあるものだ。いくら有能だとしても、性格相性はどうしようもないだろう




だがそれでは満足いかなかった王子は

それを完全にカバーすべく、人格を2つ作り出したらしい。

要は演技なのだろうが、私が見ても演技だとわからないほどの完璧さだ。




故に腹黒王子。

腹黒なんてそんな陳腐な言葉で片付けていいものではないだろうが、どっちにしても是非とも関わり合いになりたくない人間の1人だった


めんどくさッという作者の本音がダダ漏れだった腹黒王子の紹介でした




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