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死獣神~肉の書~  作者: 天馬光
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鳳凰は僕らと共に(6)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。

 依頼完了から3日後の放課後、雲雀は()()()()を言いに武文の家に向かうついでに、龍の家を訪れた。

 だが、チャイムを鳴らしても、龍はテンパっていて、なかなか中に入れてくれようとしない。

 この態度に怪しく思った雲雀は、強引に中に入ると、彼が家に入れなかった理由を知り、一気に眉間にシワを寄せた。


「……おい、龍。なんでこの元姫がおんねん」

 そう、なんと彼の家に澪がいたのである。


 龍が言うには、あの一件のあと身寄りがいなくなった彼女を武文の家に送り届けたのだが、澪が龍と同居したいと言って聞かなかったそうだ。


「……で、どうするかって聞かれて、快くOKしたんだ」

 龍が悪気無くそう答えたことに、ブチギレた雲雀は彼の襟首を掴むと、前後に振り回した。


「なーにが『快くOKした』や! これから体が疼いてディープキス頼まなあかん時に、このデコッパチがおったらあんたに頼まれへんやんか! どないしてくれんねん!」

 揺さぶられながら怒鳴られている龍は、いつから雲雀の精神安定剤になったかと疑問に思いながらも、ひとまず彼女を落ち着かせようと、澪が治療とサポートオンリーで仲間になったことを話した。

 これには雲雀も怒りが飛んでしまうほど驚く。


「は!? それ誰が決めたん?」


「玄田君が。『これからは、どんな危険な依頼が来るかわからないから、そういう人材も必要だと思う。彼女は優しき日の光であらゆる傷を癒やす太陽の使者・鳳凰のような存在になるだろう』っていうのが理由みたい」


「ちゅーことはこいつのコードネームは鳳凰か」

 そう言われて澪は頷き、これからもよろしくと一礼した。

 新たな仲間の加入に、雲雀は多少なりとも歓迎しようかと思ったが、武文のところに行くきっかけとなったあることに気付いた。


「ん? ひょっとして……本来840万貰えるはずやった報酬が、700万しか無かったんは……」


「そう。澪さんの取り分が増えたから」

 龍がそう答えると、雲雀は澪に標的を変えて彼女の胸ぐらを掴み、金の恨みを込めて振り回した。


「いらん時に入ってきおってからに、このアホデコがぁ! なんでサポートオンリーで新米のあんたに、取り分持ってかれなあかんねん! なめとんとちゃうぞ、アホデコ姫!」

 雲雀はそう言ったあと、揺さぶりながら『アホ』を連呼した

 そのことにイラついた澪に突き飛ばされ、雲雀の体が少しよろめく。


「おっと……お、やるんか? えぇで。腹立ったんやったら、遠慮せずかかってきぃや」

 ファイティングポーズをとり、あからさまに挑発する雲雀に対し、澪はあえて冷静に、


「……あなたの言うとおりです。腹が立ちました。ですが、喧嘩はしません。あなたが龍さんを精神安定剤代わりに使うと言うのであれば、私は……」

 と、言って、龍の腕にギュッと抱きつく。


「龍さんと一生ずーっと暮らします。だって、龍さんの優しさとあの時の『バカ』って言葉で、私、好きになってしまいましたから。龍さんのこと」

 突然の告白に、龍はどうしたらいいかわからず困惑し、絵に描いたように取り乱す。


 が、その一方で、澪の告白を聞いた雲雀の怒りは既に頂点に達しており、龍に好意を持つ2人の激しい口喧嘩が始まった。こうなってしまっては、龍が仲裁に入ってもそう簡単には止まらない。


 ともかく、龍達死獣神に新たな仲間・鳳凰こと澪が仲間となった。

 死獣神にとって、貴重な存在が加入したことは間違いないのだが、雲雀と犬猿の仲である以上、龍を巡る女同士のバトルは、これから激化の一途を辿っていくこととなるだろう………………

 戦闘力は玄武や獅子同様低いが、貴重な回復役である鳳凰の参入。これで青龍らは安心して強敵とも渡り合えます。

 もっともプライベートはそれに反して悩みの種が増えたようですが……

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