表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死獣神~肉の書~  作者: 天馬光
16/44

鳳凰は僕らと共に(5)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。

 絶望の底に沈んでいたはずの神太郎だったが、さすがにこの態度は許せないらしく、


「貴様ら、好き勝手言いおって! 私は神だぞ!」

 と、怒鳴った。だがそれが、本物の神様に仕えているペガサスにとっては、滑稽で仕方なく、同時に憤りを感じるものだった。


「あなたが神? ふっ、まったく不届き千万です。あなたは神なんかじゃない。神様を気取り、神様を冒涜する偽神です。そんな人を僕は許しはしません。我は天使ペガサス。聖天使にして光の神なり。そして、偽神を裁く光なり!」

 ペガサスのお決まりの口上と主張に、神太郎は反発した。


「うるさい!」


「ヒステリックになってもなお、まだ神を自称しますか。そんなんだから、彼女が苦しむんです」

 ペガサスがそう言うと、澪は己の心の内を語り出した。


 かつては彼の言うとおり、善意のお布施がきてたし、神太郎も驕ってはいなかった。

 だが、澪が7歳になった頃に、彼は金の魅力と自身の力に取り憑かれ、自ら神と名乗り、娘を広告塔として利用することで、麻薬中毒者となった信者らから無理矢理お布施を徴収したのだ。


「……確かに私達は人間離れした能力を持っている。ペガサスさんいわく、それは天使と人のハーフ・天人(てんじん)の子孫だかららしいの」

 澪から語られたペガサスの仮説を聞き、青龍は自分の変貌もそういうものに由来しているのではと考えた。


「けど、だからって、人を生き返らせれはしない。それどころか、普通の人より多くのものを失った。その1つが親子の絆……だから!」

 澪のその言葉を合図に、死獣神は一斉に襲いかかる。


 白虎と朱雀が手足を切り落とし、ダルマ状態になった神太郎の体をペガサスと澪が徹底的に痛めつけ、仕事モードに切り替えた青龍が、ドラコスラッシャーを心臓まであと1センチのところまで突き刺した。あとは付属の火炎放射器で、ドラコスラッシャーに染み込ませてある可燃液に火をつければ、中と外から丸焼きとなる。

 そんな状況に神太郎は、娘に向かって命乞いをするが、澪は決して父を許しはしなかった。


「今まで、人を己の道具として使ってきたのにそれはない」

 そう言いながら澪は、普段から身に付けているサークレットを外し、床に投げ捨てた。


「お父さん、今までありがとう。そして……永遠にさよなら」

 澪の別れの言葉を聞いてから青龍は着火し、神太郎を火だるまにした。


 こうして神気取りの男は、青龍の手によって、世界一不味い黒こげのチャーシューとなり果てた。



 翌日。沖縄県警と現地の特捜5課が太陽の聖なる里に突入。信者らは全員逮捕され、澪は行方不明、中心メンバーである神太郎達は容疑者死亡という形で処理された。


 そんな警察が必死に捜査しているのを横目で見ながら、死獣神と澪は無事脱出。玄武に依頼達成の報告をし、青龍達は帰路に着いた。

 決まり手を名付けるのであれば、炎鱗斬です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ