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死獣神~肉の書~  作者: 天馬光
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鳳凰は僕らと共に(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。

 澪はこれまで教祖である父に言われて、姫としてこの力で人々を救ってきた。それは優しさや献身からではなく、父が娘より強い力を持ってると、澪の力を見た人に勘違いさせ、信者志望を増やすことに繋がるからだ。

 神太郎にとって澪は娘ではなく、太陽神教の広告塔・姫でしかなく、信者達からは神の娘として神格化され、真に頼れるものはもちろん、友達もいなかった。


「……だから、こんな役もう嫌なんです。これ以上、父の悪事の片棒を担ぐのは……なので、龍さん。できれば父と共に私を殺して下さい。それが、父の手足として罪を犯した私の罪に対する罰となります」

 内通者として協力し、父の共犯として死を望む澪の話を聞き、龍は同情した。


 そんな2人の間に重い空間気がたちこめていると、玄武から渡されていた通信機が鳴った。朱雀からである。


「もっしもーし、こちら朱雀。朱雀やでー」

 とんでもない爆音で話してくる朱雀の声に、龍は思わず耳を塞いだ。


「近衛団と出光神太郎をはっけーん。今、近衛団をぶっ殺中ー。終わり次第デブ教祖も殺すつもりや。ほななー」

 それだけ伝えると、通信は切れた。


 朱雀がハイテンションになってることから思いっきり楽しんでいると、龍が呆れる一方で、澪は終わりの時が近いと死を覚悟した。それを察した龍は彼女に改めて尋ねた。


「澪さん、本当にいいの?」


「いいんです! 父は、死んで当然の人間です。そして、私も……」

 澪はそう言うと、振り払うように未練を吐き出した。


「本当は私、普通の女の子になりたかったんです。映画館や遊園地に行ったり、ショッピングしたり、友達と笑いながら、いっぱいお話がしたかったんです。でも、もういいです。私は、もう死んでも……」

 澪はそう言い終えると、処刑を待つように俯いたが、その顔にはまだ、後悔が滲み出ている。


 そんな心が揺れ動いている彼女を見て、青龍になった龍は鼻で笑い、


「なぁんだそんなことか。だったら、あんな父親さっさと捨ててやればいい話だよ。それをしないって君、賢い顔して実はバカ? そんなこともせずに、死にたいとか何考えてんだか」

 と、冷たい言葉を浴びせた。


「いい? 澪さん。殺し屋にもルールってもんがあるんだ。それは、自殺願望者は殺さないこと。そんな奴殺しても、一銭の得にもならないからね。それでも死にたいんなら、人にとことん恨まれてターゲットになるか、自分で首でもくくれば? そしたら、お望み通り死ねるよ」

 青龍からの容赦ない言葉の数々に、澪はショックを受け、黙り込んでしまった。

 生きることを諦める澪に対する青龍の厳しい言葉。らしくないと思うかもしれませんが、これが彼の心からの言葉です。

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