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「もうだめぽ………!」
瀕死状態の俺は、消え入りそうな声でぽつんと言った。
「しっかりして!すぐにHEALの術式で治してあげる」
HPが回復した美乃里がそう言って、鉄柵越しに俺の背中に優しく手を当てた。
「いや………。いくらHPを回復させても……毒を消さない限り無駄だ……」
「誰か解毒の術式を知らないのかしら?」
牢屋の中の美乃里、桃歌、瑠奈は互いの顔を見交わしたが、三人ともそんな術式は習得していなかった。
「みんな……それぞれどんな……術式が使えるんだ?」
「私、二年の大塚美乃里です。私はHEAL、X-RAY、Night vision、Speed up、Mapping、Enforceを使えます」
「三年生の小田桃歌です。メイド・ゴーレムを作るLittle Maidの術式しか使えません」
「同じく三年生菅原瑠奈。CUT ON、DIG ON、MINE ON、FILL INです」
「……この穴倉を開けて、地底湖を作ったのは瑠奈さんか」
「ええ。大塚さんのEnforceで私の能力を強化してもらってから、MINE ONで通常の何百倍もの範囲を掘削し、FILL INで水を満たしました」
「桃歌のLittle Maidもホントなら一度に一人しかメイドさん作れないんだけど、大塚さんに強化してもらったら、いっぺんに100人もメイドさん、できちゃたのよ」
大塚美乃里は西 香菜子と、菅原瑠奈は俺とほぼ同じ術式しか使えないようだ。
小田桃歌のLittle Maidは便利だが、この地下から全員を脱出させる手助けにはならないだろう。
あの宝物庫に収納されているタブレットを手に入れたら、何か新しい術式を覚えて、役立てるかもしれない。
「ああ!ダメだわ!いくら回復しても、あなたのHPがどんどん減ってゆくわ!」
HEALで俺のHPを回復させていた美乃里が悲痛な叫び声を上げた。
俺の腹に開いた傷口はもう塞がっていたのだが、毒が全身に回り、俺の意識がまた薄れていった。
俺はグラディウスを取り出すと、美乃里に手渡した。
「その剣を使えば……牢屋の檻ぐらい壊せる。メイド達は……カチューシャの下に書かれた文字を消せば……簡単に倒せる。俺が死んだら……みんなで協力して……ここから脱出するんだ」
「死ぬなんて、そんなあ………!!」
美乃里達は喉を締め付けられたような悲痛な声あげ、涙ぐんでいた。
「泣くことはない。死んでもすぐにリスポーンして……俺はまたここに戻って来る。そして……必ずみんなを地上に連れ戻してやるよ!」
牢屋の中の少女達はしゃくり上げの声を漏らし、ぽろぽろと涙をこぼしながら身体を震わせている。
その時だった。
俺がズボンの尻ポケットにいれていたスマホが振動した。
俺はよろよろと尻を持ち上げてスマホを取り出し、液晶画面を見た。
突然、液晶画面に森の顔が大写しになった。
「おっ!本当に繋がったぞ!」
森が嬉しそうににやけた。
「まだ生きてたな、安藤!いや、今はカエル男と名乗っているそうだな。まったく、クズのお前にふさわしい名前だな」
「……何の用だ………」
「お前が死ぬ前に、目の保養をさせてやろうと思ってな……」
そう言って、スマホのカメラの前から森が離れ、後ろの様子が映し出された。
そこは寝室だった。
上品で優雅なアンティークデザインの天蓋付きのダブルベッドが写し出された。
そして、ベッドの上にはカメラ目線の西 香菜子が座っていた。
香菜子はセーラー服のスカーフを緩め、シュルシュルと外した。
そして、シャツのファスナーを上げ、襟元にあるフックを外すと一気に脱ぎ捨てた。
「どうだ、カエル男、見えてるか?」
香菜子の横に森が現れた。
香菜子がスカートのホックを外すと、森が楽しそうに手伝ってスカートを脱がせた。
「この世界の女はみんな私の物だ!西 香菜子も私の女にしてやるから安心してお前は死んでくれ!」
「あんたと香菜子のベッドシーンを……見せつけるつもりか!この変態野郎!」
「スマホを持っていると言い出したのは西 香菜子の方だぞ」
香菜子は氷のように冷たい眼差しでカメラの方を見つめている。
「……俺、NTR属性はないぞ……」
俺は心を締めつけられるような息苦しさを感じ、深くため息をついた。
「西 香菜子を怨むのは止めてやれ。女が強い男に惹かれて乗り換えるのは、自然の節理というものだからな」
森がベッドの上で勝ち誇った。
「まったく……女は恐ろしい…………」




