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「西さんも錬金術師だったのかあ!?」


 俺は唖然としてまじまじと彼女を見つめた。


「あ、あんまり、ジロジロ見つめないでよ」


 彼女の顔には恥じらいの色が溢れ、プイッとそっぽを向いた。



「どうして錬金術師だってこと黙っていたんだ!?」


「…………」


「どうして、俺にだけ告白したんだ?」


「…………」


「黙っていたらわからねぇよ!」


「ちょっと!声が大きいわよ」


「みんなに知られたら困るのか?」


「みんなには、内緒しておきたいの」


「そうか!錬金術師だとバレたら、俺みたいにこき使われるので嫌なんだ」


「バッカじゃないの!キミと一緒にしないでよ」


 西は軽蔑のまなざしで俺を見た。


「ングググ……!」




(敵に知られたくなかったからよ)



 いきなり、西 香菜子が念話で話しかけてきた。



「念話だと!?」



 たしかに西が錬金術師なら、念話ぐらい使えてもおかしくはない。


 だが、今、西はじっと正座しているだけで、身動き一つしていなかった。


 どうやって、TELL(テル)の術式を使ったのだ?



「今、TELL(テル)の術式を使ったのか!?どうやったんだ?」


「どうやったって聞かれても………」


「術式使う時って、剣を振って/(スラッシュ)入れないといけないんだろ」



 西は人差し指で小さく空を斜めに切った。



(指を斜めに振るだけでいいのよ。タブレットに書いていたじゃない)


「し、知らなんだ!最初の方の説明書きっていつも読まないんだよな、俺」


(どうでもいいけど声を出さないで。念話で話をして。どこで敵が聞いているかわからないわよ)



 俺もさっそく教わった通り術式詠唱用画面を開き、指を使って「/(スラッシュ)」を入力してみた。



(TELL(テル) 西 香菜子 聞こえるか?)


(聞こえるわよ)



 うわあああああ!恥ずかしい!


 いちいち剣なんか振らなくてもよかったんだ!



 さっき、麦畑を作る時に、剣を振るのは「一般人には奇妙な動作に見えるだろうが、これは錬金術師が術式を実行する時に必要な行動様式なんだ」って偉そうに西に言っちゃったぞ。


 俺は恥ずかしくていたたまれない思いで悶えた。



(もしかして、以前、“いやだ!”って拒絶の念話が帰ってきたことがあったが、あれって西だったのか!?)



 西はコクリと頷いた。



 何てこった!こんなアホみたいなお話なのに、ちゃんと昔の伏線を回収したぞ!



(―――じゃなくて、敵って誰のことだよ?)


(わからないの?ここには、MINE ON(マイン オン)の術式を使って、この桁違いの大穴を開けた最強の錬金術師が存在するのよ)


(確かに俺もこの大穴は錬金術師の仕業じゃないかと疑っている。でも、単に鉱物を採掘するために掘った穴かもしれないぜ)


(バカねぇ。キミ、この地底湖が自然にできたものだと思っているの)


(違うのか?たまたま穴を掘っていたら、地底湖にぶち当たったんじゃ……)


(敵はMINE ON(マイン オン)の術式で大穴を掘り、その底にFILL IN(フィル イン)!の術式で水を満たして湖にしたのよ)


(何のために?)


(私たち転生人が落下しても死なないようによ。この大穴は転生した人たちを生きたまま捕獲するために掘られたのよ!)


(た、確かに!湖があったおかげで、リスポーンしたみんなは死なずにすんでる。言われてみると、延々と遠浅が続いているのも不自然だ)


(私がキミの念話に反応して返信をした翌日だったわ。この大穴が開いたのは。敵に私たちの存在を知られたせいだと思うわ)



(何てこった!俺はわざわざ自分から、敵の罠に飛び込んだってわけか)


 未知の恐怖に俺の身体は板のように硬直し、冷や汗がじっとり肌にしみた。

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