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俺は昨日出かける前に材木を入れておいた石窯の中を覗き込んだ。
もう火は消えていて、木炭が100個できていた。
出来た木炭を石窯から取り出すと、「チロチロリン」と可愛らしい音がして、俺の経験値が上昇した。
「よし、よし!」
俺は棒と木炭を工作箱の中に入れ、「松明」と心で念じると、中から松明が100本飛び出してきた。
「モンスターが沸いてくるから、部屋を明るくしないとな」
俺は拠点の四方の壁に松明を突き刺した。
部屋は暖かく明るい光に包まれた。
長沼美衣奈は大きな物入れの陰から、そんな俺の作業風景を見ていて感嘆の声を上げた。
「すっご~~~い!!まるで魔法みたい!!カエル男さんってすごいのね!!」
長沼 美衣奈の賞賛の言葉が俺の心をくすぐった。
どうする、俺?
この世界での操作方法を長沼 美衣奈に教えるか?
異世界では錬金術の知識と情報は絶対的な力だ。
貴重なレシピは俺だけの物にしておきたい。
だが、単純作業ぐらいなら教えてやって、作業を分担した方が俺もラクできるな……。
それに可愛い女の子となら、一緒にいて楽しいし………。
いろいろと頭の中のゲス式打算計算機を駆使して俺は考えた。
「―――長沼さん。作業を手伝ってくれるかな?」
「えっ!?私にできるかしら?」
「大丈夫さ。手取り足取り教えてあげるから」
「手取り足取り」と言った時、確実に俺の顔はにやけていただろう。
「それじゃあ少し向こうを向いていてもらえませんか?服が乾いたみたいだから着替えたいの」
「そのままでいいのに?」
「えっ?」
「いや。何でもありません!」
俺が拠点の入り口の方を向くと、背後でゴソゴソと着替える音がした。
俺はハーレム物によく出てくるウブで純情でクソ鈍感なクソ主人公がクッソ大嫌いだ。
どうせ俺はゲスなカエル男なのさ。
「もういいだろ?」
頃合いを見計らって、俺は振り返った。
美衣奈はスカートに足を通して履いている真っ最中だった。
「まだよ!まだ、着替え中よ!」
美衣奈は頬を赤らめ、慌てて後ろを向いた。
「スマン!スマン!少し、早かったか!」
と、俺は口では謝りながら、そのまま、たっぷりと熱い視線を美衣奈の後ろ姿に浴びせた。
「でも、チラッと見ただけだけど、美衣奈ってすっごい色白だな。それに手足がスラーと長くて、いいプロポーションしているなあ」
「もお~~~~~!カエル男さんのエッチ!」
狼狽しながら真由美は制服を着て、俺の方を振り返った。
美衣奈は俺に褒められて、まんざらでもない表情をしていた。




