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08

 さて、このままボーと夜明けを持っているのも暇だ。

 俺は砂の塔の上でできる範囲の作業をすることにした。


 俺はインベントリーを開くと、昼間に伐採した杉の木の原木を作業用枠に入れて「材木」にした。

 出来た材木のうち半分を再び作業用枠に入れ、「木の棒」にしておいた。


 そうこうするうちに、夜空の月と星は東から西へと移動し、東の空が白み始めた。

 いつの間にか、真央の叫び声も消えていた。

 少し明るくなった地面を見下ろしたが、彼女の姿がなかった。

 どこかに逃げたのが、殺されてリスポーン地点に移動したのか。

 代わりにゾンビが5匹、じっとこちらを見上げていた。


 完全に朝日が昇った。

 俺を見上げてしつこく狙っていた5匹のゾンビ共は朝日を浴び、たちまち燃え上がった。

 ソンビは光を浴びると全身が燃え、消滅してしまうのだ。

 こいつらは夜、暗くなると生まれ、朝、明るくなると燃えて消えてしまう。

 たった一晩だけの命だ。

 思えば、はかない存在だ。


 俺はゾンビ共が燃えて腐った肉の塊になるのを確認してから、砂の塔を降りていった。

 朝になっても燃えないモンスターもいるからまだ油断はできない。


「やれやれ、女の悲鳴を聞いて、変なスケベ心を出すんじゃなかった。一晩、時間を無駄にしちまったぜ」


 俺はブツブツと独り言をぼやきながら、丘のふもとに作った拠点を目指して森を歩いていった。


「あんどおおおおお!!」


 背後からモゴモゴとこもった女の声がした。

 かなりハスキーボイスになっているが、高見 真央の声だ。


「なんだ、生きていたのか?」


 俺は振り返った。

 セーラー服をボロボロに引き裂かれた真央が樫の木の木陰に立っていた。


「あんどおおおおお!!」


 真央は俺に向かって両手を突き出して、つかみかかろうとした。


 と、陰から飛び出た真央の両手が、朝日を浴びて燃え上がった。


「ぎゃああああああ!!」


 真央は悲鳴を上げて、また、木陰に逃げ戻った。

 真央は両手の炎を、何度も木の幹に叩きつけて消した。


「あれれれ?何してんだ、お前?もしかして…………」


 真央は昨夜、ゾンビに襲われ、自分もゾンビになったのだった。


 青黒い肌をした真央は木陰から出ることができず、それでも俺のことを恨めしそうに白濁した目で睨みつけている。


「あんどうおおお、ころすうううう!あんどうおおお、ころすうううう!」

「かなり知能が低下しているみたいだな」


 真央は同じ言葉を繰り返し、ふらふらと体を揺らしながら立っている。


「あんどうおおお、ころすうううう!あんどうおおお、ころすうううう!」

「いや。ゾンビになる前と、あんまり変わらないか」


 元が美少女だったので、たとえゾンビになってもそんなに気持ち悪くなかった。

 むしろ、セーラー服の裂け目から覗く青黒い肌がセクシーでもあった。


「ゾンビ萌えか。俺にこんな性癖があるとは知らなんだ。ゲロ!ゲロ!ゲロ!」


 俺はゲスい笑い声をあげた。


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