7 熱烈なラブレター
リョウはきれいに体を洗って、湯船につかった後、今度はちゃんと、愛希に用意してもらった、きれいな服を着た。
テレビの部屋に戻ると、瞬がリョウを見て口を開く。
「で、服も着ないくらい慌ててた理由は?」
リョウは瞬の髪をグチャグチャにかき乱した後、風呂場の鏡にあった手紙を渡した。
手紙はツルツルしていて、防水加工がされてあった。
瞬が眉を曲げてリョウを見た。
「何だこれ・・・・・・、ラブレターなら有り余るほどあるけど」
リョウは瞬の言葉をスルーし、先ほどの出来事を端的に説明する。
「誰かが風呂に入ってきて、それを置いていった。顔は見てないけど、声が男だった」
愛希が顔を真っ青にして、目に涙を浮かべた。
瞬はリモコンでテレビをつけ、入力切り替えで、防犯カメラの映像を見た。
「何も映ってない・・・・・。リョウ、何かされたか?まあその体で欲情はしないと思うが・・・・・」
瞬は真剣な顔でリョウの方を向いた後、リョウの体を見て、鼻で笑った。
(ムカッ)
リョウは思いきり瞬の足を踏んづけて、「何もされてない」と頬を膨らませて言った。
瞬は安心したように笑い、棚からハサミを持ち出した。
瞬がきれいに手紙の封を切る。
すると、中から折りたたんだ紙と、メモリーカードが出てきた。
瞬が奇麗な指で折りたたんでいる紙を開く。
四人が顔をくっつける様に近づけ、紙に書いてあった文字を見た。
四人とも目を見開き、口をつぐんだ。
『はじめまして、リョウくん。僕は世界を救いたいであろうリョウ君に、とっておきの情報を教えるよ。メモリーカードにEndlessウイルスの研究所の場所が書いてあります。そこには、凶暴化した人間を治せるワクチンがあるよ!国や機関に教えたりしたら、僕が君と君の大事な人、全員を殺すからね♡子ども達だけで来てほしいな♪
瞬へ
もう僕が誰かわかっていると思うけど、僕は瞬に会いたいな。殺しあいになってもいいからさ、来てよ瞬。僕は待ってます。
お兄ちゃんより
最後に一つ、凶暴化した人は眠らずに脳をフルに動かすよ。早くしないと全員死んじゃうかも!タイムリミットは約二週間、みんながんばれ』
四人は顔を見合わせた。
瞬は冷たい目をしていて、愛希は目に浮かべていた涙が頬に流れていた。
ソウは戸惑いの表情を浮かべている。
リョウはというと、軽く笑いながら、「すっごく丸文字だね」とアホな回答をし、三人は笑顔のリョウにため息をついた。
静かな部屋で時計の刻む音が大きく聞こえた。タイムリミットはすでに始まっている。
今日は少なめ。テスト期間に入るので、少し休むかもしれません。