表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第七章  エルフの里
69/83

第二話  森探索

森を歩きながらほのぼのと談話する。


「それにしても森ってやっぱ魔物多いっすよね。」


「そりゃ平原に比べたらな。魔物は雑食だから、餌に困らない森は生きやすいんだろ。」


「そうっすよね………それにしても広いっすね。もう森に入って一日経ってるのに、結界すら感知できないっすよ。」


「まぁ、結構ゆっくり移動してるしな。感知さえできればそこを通れば良いんだが………方向が間違っているのか?」


「もう少し進んだら感知範囲に入るかもしんないっすよ。」


「そうだな………もう暫く進んでみるか。」


「…………そう言えば旦那。帝国の闘技祭どうするんすか?」


「闘技祭………あぁ、帝都の闘技場で催されるトーナメントか。三ヶ月後だったか?」


「そうっす。旦那は出場しないんすか?」


「闘技祭ねぇ……今のところ特に興味ないかな。優勝したって貰えるのは金と魔道具くらいだろ?魔道具はちょっと興味あるけど………それだけじゃなぁ………。」


「名誉もあるっすよ。しかも今年の闘技祭は百周年らしいっす。例年よりも凄い物が貰えるっすよきっと!」


「いや、名誉とか別に欲してない……というか困ってないけどさ。」


指定傭兵団というだけで十分な名誉だろう。


「もしかしたら皇帝秘蔵の魔道具とか貰えるかもしんないっすよ!」


「ふむ……もしそうなら、多少興味はあるな。」


「百周年って事で例年以上に宣伝されてますし、普段は表舞台に出てこないような超一流が出場するかもしれないっす!」


「超一流………例えば?」


「そりゃやっぱりSランクの冒険者っすよ!!現在大陸に四人しかいないSランクが出るとなれば、百周年に相応しい盛り上がりになる事間違いなしっす!!」


「Sランクか………もしそいつが出るなら、戦ってみたい気もするな。」


「っすよね!!そんじゃやっぱり旦那は出場するべきっすよ!!」


……………………。


「…………なぁレイ、どうしてそんなに出場させたがるんだ?」


「えっ!?…………い、いや別に出場させたがってるとかそんな事ないっすよ??~♪~♪」


わざとらしく目をキョロキョロとさせながら無駄に上手い口笛を吹くレイ。


もはや疑って下さいと言わんばかりの態度に、逆に何もないのかとも考えてしまう。


「お前、何か隠してるのか?」


「だ、旦那!自分が旦那に隠し事なんてする訳ないじゃないっすか!?」


「サリスに聞いて貰おうかな。」


「すんません自分が悪かったっす。めっちゃ隠し事してたっす。」


めっちゃしてたのか。


「はぁ………まぁ良いけど。何を企んでたんだ?」


「い、いやぁ………何と言うかそのぉ………闘技場と賭博は切っても切り離せない多生の縁というやつでして…………。」


「多生の縁って………それ使い方間違ってないか?」


というか、こいつもしかして……………。


「レイ、お前………俺を闘技祭に出場させて、俺に賭けて儲けるつもりだったのか?」


ビクッと肩を震わせるレイ。


「はぁ………お前そんなに金に困ってないだろう。」


「いやまぁその………実は公都を発つ前日に最後の賭博って事で()の方に顔を出しまして…………そのぉ…………。」


「えっ…………おい……おいおい、お前まさか………?」


「うっ……は、はい…………全部スッちまったっす…………。」


ショボーンとした顔で俯く。


俺は掌を額に当てて溜め息をつく。


「はぁ………だからあれほどギャンブルに打ち込むなって言ったのに。」


「も、申し訳ないっす………最後の記念にと思って…………絶対勝てると思ったんす。だから全財産賭けて…………。」


「このお馬鹿!それが破滅への一歩なんだよ!!」


おかしい、最近俺の従者達がボケてきている。


ニヒルでうざったい笑みを浮かべる某メイドが脳裏に浮かんだ。


こいつらにはあんなキャラになって欲しくない。


切実にそう思った。


「…………まぁ、やってしまったものは仕方ない。闘技祭の件は前向きに考えておくよ。」


「さっすが旦那っす!旦那が出場すれば、大儲け間違いなしっすよ!!」


調子に乗るな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ちなみに、俺とレイが話している間、セレスとサリスは出てくる魔物を処理していた。


餓えた狼の群れや大きな毒蜘蛛、これまた大きな毒蛇に空から襲い掛かる鳥など、この森には実に多様な魔物がいた。


セレスは俺の言い付け通り、火属性の魔術は使わなかった。


風で魔物の動きを阻害し、土の槍で串刺しにしていく。


狼の身体を穿ち、鳥はあえなく地に落ちた。


また、サリスは得意の刺突はなるべく使わず、斬撃や体術での打撃で応戦した。


蛇の身体を輪切りにし、蜘蛛は蹴り飛ばされて木にぶつかって潰れた。


「ふんっ、どいつもこいつも歯応えのない………雑魚共め。」


「たまには風と土も良いわね。どう思うサリス?」


「姉さんの魔術を何だって凄いよ。でも、やっぱり姉さんには火属性が似合うね。」


「やっぱり?そうだよねぇ……。」


「僕の方はどうかな?なるべく刺突以外で攻撃してみたんだけど………。」


「うん、バッチリだよ!鍛練の成果が出てるね!!」


「ありがとう、姉さん。」


この二人はお互いと話す時だけ口調変わるよな。


セレスはサリスにだけ敬語を使わないし、サリスもセレスには口調が柔らかくなる。


やっぱり姉妹ってのは特別だよなぁ………とほのぼのしていたその時。


「旦那、この先に魔物に襲われてる二人組がいるっす!!人間の反応じゃない………もしかしたらエルフかもしれないっす!!」


レイが慌てたようにそう言った。


「行くぞ!」


俺達は即座に飛び出した。


やがて、一際大きな甲高い悲鳴が聞こえた。


……………テンプレって、重なる時には重なるもんだよなぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ