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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第六章  ミュートラル公国
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第十八話 神獣契約

グルファクシはしっかりと俺の眼を見て頷いた。


俺は安堵の溜め息をついて微笑んだ。


「そうか、仲間になってくれるか。」


「良かったですねご主人様!」


「おめでとうございます。」


「グルファクシを眷属にするとか流石旦那っすよ!」


『流石じゃないでしょう、何やってるのよネクロ君。』


またしても急にスィーリアからの念話が。


「スィーリアじゃないか、まだ何かあるのか?」


『まだ何かあるのか、じゃないわよ。話の途中で念話を勝手に切ったのはネクロでしょ?』


あー……これは怒ってるな。


「いや、すまなかった。だってスィーリア、グルファクシを眷属にする事を認めてくれなかっただろ?」


『当たり前でしょ?神獣っていうのは、ネクロ君が考えているよりも重要な存在なのよ?特にネクロ君はそう何匹も契約する事はできないのだから。』


「お前が俺を気遣ってくれてるのはわかるよ。でもさ……俺は、こいつとの出会いが、お前が思っているよりも重要なものの気がしているんだ。」


特に理由はない。


ただ、初めてこいつを見た瞬間に、心の底から欲しいと思ってしまったんだ。


『………はぁ………もうわかったわよ。どうせ私の忠告なんて聞かないのでしょう?もう勝手にしなさい。』


スィーリアが深く溜め息をついた。


呆れられたのだろうか。


「悪いなスィーリア。心配してくれるのは嬉しいよ。ありがとう。」


『……………………。』


へんじがない。

ただの じゃしん のようだ。


…………馬鹿な事はやめよう。


それにしても返事がない。


呆れられたか、嫌われたか。


そんな簡単に嫌われはしないと願いたい。


「えっと………スィーリア?悪い、そんなに怒ってるのか?」


『…………何でもないわ。とにかくネクロ君がそう決めたのなら、もう反対はしないわよ。それじゃまた話しましょう。』


捲し立てるようにそう言って、スィーリアは念話を切った。


「あー………やっぱり怒ってるよな。」


何と言うか………凹むな。


「ご主人様………今更鈍感系を気取るのは難しいかと。」


「ご主人様は罪な男なのですね。僕の気持ちが伝わる日は来るのでしょうか。」


「流石旦那っすね。セレスさんとサリスさんだけでなく邪神様までも…………。」


セレス、そんな見も蓋もない事を言わないでくれ。


自分でもわかってるから。


神眼なんていうチートな看破スキルを持っている俺が鈍感になるってのも無理な話だ。


何となく俺に抱いている感情も見抜く事ができるからな。


だからサリス、お前の気持ちもちゃんとわかってるから安心しろ。


サリスに対してそういう気持ちもないではないが………春香の時の例もあるし、早めに応えないといけないよな。


…………レイ、スィーリアは神眼でも視れないから確信が持てないんだよ………。


そんな事を考えていると、グルファクシが顔を擦り寄せてきた。


「おっと、悪かったな。別に忘れてた訳じゃないんだぞ。」


…………何処と無く非難がましい眼をしている。


ゴホンッと咳をして切り替える。


「さて、グルファクシよ。お前に名前を与えよう。実はここに来るまでに考えておいたんだ。」


ここで一息置く。


グルファクシは真剣な眼差しで見詰めてくる。


「お前の名前は…………グラニだ。」


自らの名を聞いたグルファクシ……グラニは、ゆっくりと目を瞑って噛み締めるように小さく鳴いた後、脚を折って頭を下げた。


その瞬間、グラニの身体を淡い光が包み込んだ。


「ご主人様、これは……………。」


「進化………でしょうか。」


「自分達とは結構違うっすね。」


「だな。俺達のはもっと………禍々しい感じがしたからな。」


「これ、どれくらい時間がかかるのでしょうか?」


「グラニは上級魔物だったんだろ?進化して最上級……というか神獣になるのなら、たぶん数日はかかるんじゃないか?」


「それまでどう致しますか?」


「まぁ今更外で数日間過ごすくらい問題ないだろ?」


「それもそうっすね。」


という訳でグラニの進化が終わるまで、野宿が決定した。


丁度良い機会だからと久し振りに鍛練をする。


サリスは俺を相手に神製の細剣を扱う鍛練。


セレスはレイを相手に魔術の威力を抑える鍛練。


レイは必死に魔術を避けている。


更に、休憩中は今後の行動や、傭兵団の名前について考えたりした。


今後の行動については、暫く公都を堪能した後、公都の北西に広がる大森林のどこかにあるというエルフの集落を目指そうという事になった。


理由?エルフに会いたいからに決まっているだろう。


異世界とエルフ、それは切っても切り離せない関係だ。


傭兵団の名前に関しては、一筋縄では決まらなかった。


「『楽しい屍霊の仲間達』というのはどうでしょう!?」


「却下だ。」


セレス、俺はそんな恥ずかしい名前で呼ばれるのは絶対に嫌だぞ。


「それでは『高貴にして崇高なるご主人様を守り隊』というのは如何でしょう?」


「却下だ。」


サリスは相変わらず過ぎて何とも言えん。


お前は本気でそんな名前を提案しているのか。


本気だとしたら俺はお前の頭が非常に心配だ。


「なら、『†死ヲ喰ラウ者†』ってのはどうっすか?」


「却下だ!」


中二病か。


お前はどこでそんな知識を仕入れてくるんだ。


そしてその†は何て読むんだ。


滅茶苦茶気になるじゃないか。


「なら旦那はどんな名前が良いと思うんすか?」


「そうだなぁ………『異世界放浪傭兵団』とか?」


「却下です。」


「却下ですね。」


「却下っす。」


お前らこういう時だけ辛辣だよな………。


何も全員で言う事ないじゃないか。


とまぁそんなこんなで長いこと話し合い、遂に傭兵団の名前が決まった時には、グラニの覚醒の時が迫っていた。

第四章第十六話、サリスのステータスを一部変更致しました。


ご了承下さい。

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