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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第二章  クリストル王国
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第二話  行動方針

案内された部屋は、一辺が8m程の正方形の部屋だった。


置かれているのはクローゼットと机、それとベッドだ。


それなりに広い部屋に満足し、寛いでいると、扉を軽く叩く音が聞こえた。


「はい、どなたですか?」


「王女殿下よりご命令を受けて参りました使用人です。入っても宜しいですか?」


「使用人………あ、どうぞ。」


「失礼致します。」


入ってきたのはメイド服を着た女性だった。


恐らくいくつか歳上であろうその女性は、穏やかでありながらもクールさを醸している。


こんな美しい人がメイドについてくれるのかと驚いた。


「えっと、初めまして。僕は富士崎根黒です。宜しくお願いします。」


返事は暫く返ってこなかった。


メイドは何かに驚いたような表情で僕を見ていた。


「あ、あの…………どうかしましたか?」


おそるおそる聞くと、はっとした顔をしてメイドは一礼した。


「大変申し訳ございません、ネクロ様でございますね。私はネクロ様のお世話をさせて頂きます、ミレイと申します。宜しくお願い致します。」


「各々メイドさんがつくんですか?」


「はい、その通りです。女性の方には、メイドと執事を選んでいただきますが。もちろん、男性の方でもご要望であれば執事をつける事もできますが。」


「あぁ、いえ、結構です。ありがとうございます。」


「いえ。………あの、ネクロ様。私は使用人ですので、敬語を使って頂く必要はありませんよ。」


ーーー郷に入っては郷に従え、というものか。


「あー……わかった。なら、ミレイ………で良いのかな。これから宜しく頼むよ。」


「はい、何かございましたら、何なりとお申し付け下さいませ。」


そう言って笑うミレイは、とても美しかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



昼食は部屋に持ってきて貰った。


城内のもの等を見るに、ここは僕達の世界での中世ヨーロッパ辺りの文化レベル程度だと推測した為、食に関しては若干心配していたのだが、飯は普通に美味しかった。


出てきた肉が何の肉なのかを聞いた時は驚いたが。


何とその肉は魔物のものだったのだ。


この世界では割りと一般的らしい。


地域によって、食べる魔物や調理法は違うらしいが。


ファンタジー大好きな僕としては中々に聞き逃せない話だ。


是非とも色々な魔物を食べてみたい。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



昼食後、さてこれからどうしようかと考えていると、再び扉を叩く音がした。


「ネクロ様、ご友人がいらっしゃいましたよ。お入れしても宜しいですか?」


友人………誰だろう。秋人かな。


「あぁ、良いよ。入って。」


「失礼しまーす……」


そう言って入ってきたのは春香だった。


そしてその後ろには二人の人物がいた。


「春香………それに、秋人と真冬まで。どうしたのさ?」


「ちょっとお前と話したくてな。いま良いか?」


そう応えたのは秋人だった。


「もちろん構わないよ。それで、話って?」


「私達がこれからどうすべきか、それを話しに来た。」


そう言ったのは真冬だ。


緑川真冬。


僕の幼馴染みだ。


僕と秋人、そして春香と真冬は、小学校の時からの友達だ。


特に真冬とは幼稚園から一緒だった。


実は最も付き合いの長い幼馴染みでもある。


髪は艶のある黒のセミロング。


基本的に無口なのだが、春香とはまた違ったタイプの美少女だ。


「どうすべきか……ねぇ。とりあえずは、あの王女様に従うしかないんじゃないかな。」


「だよな……。あの時は本当に助かったぜ。あれ以上パニクって、騎士達を怒らせでもしたら、大変だったからな。」


秋人は正義感は強いが、盲目な馬鹿ではない。


この世界の事を何も知らない自分達が、王女や騎士達に歯向かっても、百害あって一利なしであるという事を理解している。


真冬もその点は大丈夫だ。


賢い娘だから。


問題は赤瀬のような短絡思考の馬鹿。


それと………………


「とにかく、困っている人がいるなら、助けるべきだよね!!」


春香みたいなアホだ。


春香はアホの娘だ。


言えばわかるのだが、言わなければわからない。


残念な娘なのだ。


「あー、春香さんや。そう決めちまうのは駄目だと思うぞ。」


秋人がぼやくように注意する。


「何で?だって魔物っていうのに襲われて困ってるんだよ?私達には戦う力があるって………」


「それについてはまだ確定していない。不確定な情報が多すぎる。戦うかどうかをいま決めるのは、危険。」


今度は真冬が忠告する。


「不確定な情報って?」


「魔物というのはどういう存在なのか。どの程度の力を持っているのか。僕達はどの程度の力をつけられるのか。それで魔物に対処できるのか。とか、色々だね。」


わかっていない様子の春香に説明する。


「なら、いまの私達には何ができるの?」


「さっきも言ったように、現状、国の人間に逆らうのは得策じゃない。僕達には知識が足りないしね。王女様の言葉を信じるなら、まず僕達はここで知識と力をつけるらしい。なら、貰えるものは貰っておこう。それから決めても、遅くはないんじゃないかな。」


「なるほどなるほど。さっすが根黒君だね!」


わかってくれたようだ。


安堵の息をもらし、次の話に移る。


「さて、とりあえずの行動方針が決まったところで、次にするべきは意思の統一かな。」


「そうだな、また赤瀬辺りに騒がれちゃかなわねぇ。」


「そう言う事だね。さっき決めた行動方針を、秋人は男子に、春香と真冬は女子に話してきてくれないかな。たぶん、納得してくれるはず。」


「おう、任せろ!」


「はーい!頑張るよ!」


「ん、わかった。」


三者はそれぞれに返事をして、僕の部屋を後にした。




その日は夕飯を食べた後、早めに休眠を取る事にした。

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