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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第六章  ミュートラル公国
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第二話  指定傭兵団

「ここだ、入れ。」


ギルドマスターに連れられて、ギルドの二階にある部屋へ通された。


中に入ると、正面奥にギルドマスターの物と思われる大きな机。


その手前に四脚の机と両隣に柔らかそうなソファーがあった。


ギルドマスターに言われてソファーに座る。


セレスとサリスは俺の後方で俺を挟むように佇む。


レイは少し外れた所で腕を組んで壁に寄りかかっている。


「さて、まずは自己紹介をしようか。俺はこの冒険者ギルドでギルドマスターをしている、ウィーグってんだ。」


「先程も言ったが、俺の名はネクロだ。宜しくなウィーグ。」


「あぁ、宜しくなネクロ。んで、後ろの奴らは?」


「俺の従者だよ。メイド服着てるのがセレス、執事服着てるのがサリス、チンピラ風の男がレイだ。」


「ちょっ、旦那!チンピラ風って何すか!」


レイが喚いているが気にしない。


そんな格好してるお前が悪い。


「メイドに執事にチンピラって………お前らどんな集団だ?」


「どこにでもいる小規模な傭兵団さ。」


「お前らみてぇな化物がどこにでもいて溜まるかよ。」


「化物とは酷いな。れっきとした人間じゃないか。」


本当は人間でもないのだが。


「一番の化物であるお前が言うと笑えねぇな。正直、俺にはお前らの()が見えねぇぜ。」


「実力には自信がある。」


「そうだろうよ。………どうしても冒険者になる気はねぇのか?」


「悪いな。俺達は自由を愛する旅人なんだ。」


「勿体ねぇな………まぁ強制はできねぇけどよ。」


「そうしてくれると助かるよ。」


「はぁ………んで、素材ってのはどこにあるんだ?見たところ荷物を抱えてるようにも見えんが。」


「魔道具で収納してるのさ。」


「………おいおい、収納の魔道具持ちかよ。とんでもねぇな。」


「珍しいのか?」


「普通は大商人や大貴族でもねぇと持たねぇよ。どこで手に入れたんだ?」


「それは秘密だ。」


「そうかい………面倒事が嫌いなら、それはなるべく教えねぇ方が良いぜ。ギルドの人間には守秘義務があるが、他の奴らに知られたら間違いなく面倒な事になる。」


「忠告ありがたく受け取ろう。話は終わりか?」


「あぁ、一応勧誘しておきたかっただけだからな。それにしても……………」


何かを考えている様子のウィーグ。


「どうしたんだ?」


「いや………お前らは指定傭兵団じゃないんだよな?」


何だその指定暴○団みたいな物騒なものは。


「指定傭兵団って何だ?」


「知らないのか。………正式には『冒険者ギルド公認指定傭兵団』って言ってな。冒険者にはならないが、ギルド的には良好な仲を保ちたい傭兵達に対してギルドが認定する、資格みてぇなもんだ。傭兵にとっちゃ一種のステータスみたいなもんだな。」


「そんなものがあるのか?」


「おう。まぁ、指定傭兵団になれるのは、本当に力を持った奴らだけなんだがな。具体的には、Aランクの冒険者並みの力を持つような傭兵に与えられるんだ。」


一般的にギルドではBランクになれば上級冒険者として扱われる。


Aランクともなれば、大陸でもそう多くはいないだろう。


それを考えると、指定傭兵団に認定されるのがどれほど難しいかが良くわかる。


「その指定傭兵団になると何かメリットがあるのか?」


「いくつかあるな。まずーーー」


話が長かったので纏めよう。




指定傭兵団のメリット


・素材を売る際、通常は冒険者登録をしていなければ売値が安くなるのだが、指定傭兵団は冒険者と同じ売値で素材を売る事ができる。


・魔物の解体料が無料になる。


・冒険者と同じように、街に入る時に税を払わなくて良くなる。


・ギルドから依頼を出す事はあるが、そこに強制力は発生しない。


・如何なる身分の人間であろうとも、指定傭兵団の者に命令を下す事はできない。(違反した場合はギルドを敵に回す事になる。)




と、このようなメリットがあるようだ。


随分と好条件なように感じるが、それだけ指定傭兵団になる者達の力というのは、ギルドにとって必要なものらしい。


ちなみに、大陸中に根を張っているギルドを敵に回すような輩は、例え王族でも普通はいないらしい。


「…………指定傭兵団については理解したが、それがどうしたと言うんだ?」


「実はな、お前らをその指定傭兵団に推薦しようかと思っているんだ。」


「………どうして?」


「お前達に力があるからさ。俺はこれでも元Aランクの冒険者だったんぜ?その俺が勝てねぇ(・・・・)と思わせるお前らを、ただの野良傭兵にさせとくのは勿体ねぇからな。」


「ふーん………推薦ってのは?」


「指定傭兵団になる為には、大陸の四ヵ国に各一人ずつ存在しているギルドマスター幹部の承認が必要なんだ。」


「ギルドマスター幹部?」


「おう、幹部は四ヵ国の中枢………ミュートラル公国で言えば公都だな、そこにいるんだ。」


「なるほど。そのギルドマスター幹部とやらに、俺達を指定傭兵団に承認するよう推薦するって事か。」


「そういう事だな。悪い話じゃねぇと思うぜ?」


「ふむ………どう思う?」


後ろの三人に聞いてみた。


「特にデメリットもないようですし、私は賛成です。」


「僕も特に反論はありません。ご主人様に従います。」


「自分も良いと思うっすよ。ギルド公認とか、ちょっと格好良いっすよね!」


ウィーグに向き直る。


「という訳だ。その推薦、ありがたく受け取ろう。だが、俺達の力を確認しなくても良いのか?」


「その必要はねぇさ。お前らの誰かが下でぶっ倒したあの男、あれでもCランクなんだぜ。」


サリスが倒した男か。


「あれでCランク………?」


Cランクと言えば一流の一歩手前だ。


そんなに強い奴には見えなかったが……。


俺達の怪訝な様子を見たウィーグが苦笑いを浮かべる。


「まぁ、獅子は蟻一匹踏み潰したくれぇじゃ気付きはしねぇか。」


なるほど。


「上手い表現だな、納得したよ。」


肩を竦めてそう言った。


「さて、話は終わりだ。推薦状を書いておくから、明日にでも取りに来てくれ。」


「あぁ、わかった。」


「とりあえずは素材の売却だな。倉庫に案内させるぜ。」


ウィーグはギルド職員を呼んで、俺達を倉庫に案内させた。


倉庫に着くと、数人の男達が魔物を解体していた。


その内の一人が俺達に気付く。


「あん?何だお前ら?」


職員が説明をした。


「収納の魔道具………そいつはすげぇな。まぁ安心しろ、誰にも言わねぇからよ。」


「助かるよ。………それで魔物の解体を頼みたいんだが、ここに出せば良いのか?」


「こっちに頼むぜ。」


案内されて広い所で魔物を全て出した。


下級、中級の魔物が積み上がる。


「お、おう………こりゃ大量だな。」


「悪いな。こちらで必要な素材はないから、全部売却で頼むよ。」


「了解したぜ!久々に腕が鳴るってもんだ!!」


気合いを入れている解体人に別れを告げ、俺達はギルドを後にした。


その後は適当に街を見回って、夕方頃に再度ギルドへ行くと解体が終わっていたので、金を受け取って宿へ向かった。


宿は分身レイが見つけていてくれたようで、レイに案内されて迷わずに辿り着いた。


受付で金を払って案内された部屋へ行く。


一人一部屋取ろうとしたのだが、セレスとサリスが断固反対した為、四人部屋を取った。


寝る事ができないのだから宿を取らなくても良いのだが、そこは折角の異世界だからと俺の主張を通した。


明日からどうするかという話をしながら、初めての宿屋での夜を過ごした。

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