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死霊の異世界カーニヴァル  作者: 豚骨ラーメン太郎
第二章  クリストル王国
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第一話  王女の話

あまりの急展開に言葉が出なかった。


さっきまで教室にいたはずなのだ。


それは間違いない。


ここは一体どこなのだろうか。


そんな事を考えていると、不意にガチャっという音がした。


皆がそちらを向くと、部屋の扉を開いて三人の人が表れた。


一人は女性だ。


豪華なドレスを着ている、金髪の美少女だ。


その長い髪には緩やかなウェーブがかかっており、優しげな雰囲気と相まって、幻想的な美しさを醸している。


その女性の両隣には、彼女を守るようにして二人の男性がいる。


共に西洋の甲冑を着て、騎士のような出で立ちだ。


あからさまにこちらを睨んではいないが、なにやら警戒しているように見える。


僕達が何も言えずに佇んでいると、女性が一歩前に出てこう言った。


「突然の事に驚いておられることでしょう。私達はあなた方に危害を加えるつもりはありません。まずは自己紹介をさせて頂いても宜しいですか?」


言葉を返せずに狼狽えていたが、少し時間を置いて秋人が何とか返答した。


「あ、あぁ………えっと、はい。お願いします。」


「ありがとうございます。それでは………私はマリアンヌ・クリストルと申します。ここ、クリストル王国の王女です。この二人は私の護衛をしている、近衛騎士です。ここまでは宜しいですか?」


「………えっと……はぁ…………王女……様?………ですか。」


「はい、そうです。あなた方はおそらく現状がわからずにお困りでしょうから、私から説明させて頂きます。」


そして彼女は一息置いて、再度話し始めた。


「まず、この世界は、あなた方が暮らしてこられた世界とは異なるものなのです。我がクリストル王国の秘伝の魔術によって、あなた方をこちらの世界へと召喚させて頂きました。というのもーーーーー」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここで王女から聞いた話を纏めてみよう。


・僕達はクリストル王国の魔術とやらによって、異世界へと召喚された。


・ここ数年、世界に蔓延る魔物という生物が激増、凶暴化している。


・原因は不明。


・元々、クリストル王国は他国よりも平和な地であり、強力な魔物等はほとんどいなかった為、騎士や冒険者と言われる戦士達の質が他国に劣っている。


・その為、ここ数年の魔物による被害が著しい。


・召喚の魔術は、その昔、魔王と呼ばれる存在が魔物を率いて人間に戦争を仕掛けた際、神により与えられたもの。


・召喚された者は、この世界の人間よりも大きな素質を持っている為、強くなる事が約束されている。


・元の世界に帰る方法は今のところわかっていない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



つまり、自分達では魔物に対処できないから、素質を持った異世界人を拉致って、どうにかしてもらおう………と、そういう事だ。


話を聞いた後は大変だった。


赤瀬を筆頭に、王女に対して怒り狂う者。


女子はほとんどが泣いていた。


王女はただひたすらに謝っており、二人の騎士は赤瀬達を睨み付けて剣に手をかける始末。


頼みの秋人は何とか皆を抑えようとしているが、焼け石に水というもの。


ーーーやってられないよね、全く。


盛大に溜め息をこぼし、僕は王女に近付いた。


騎士が僕の動きに気付いて睨み付けてくる。


それを無視して王女へ話しかけた。


「あの……王女様。少し宜しいですか?」


怒っていた男子達は唖然としてこちらを見る。


泣いていた女子達も涙目のまま顔を上げた。


騎士達は僕に敵意が無い事を悟り、少しだけ警戒を解いた。


王女は突然の事に驚いていたが、何とか応えてくれた。


「え、あ………あなたは……?」


「僕の名は富士崎根黒です。富士崎が名字で、根黒が名前になります。いくつか質問があるのですが。」


「は、はい。ネクロ様ですね。………質問ですか。何なりとどうぞ。」


「ありがとうございます。まず、僕達はこの国でどのような扱いを受ける事になるのでしょうか。」


「暫くは、この王城で暮らして頂く事になります。この世界の事や、魔物の事、そして戦いの技術などを学んで頂き、力を付けたら魔物の討伐をしていただく………というように考えております。」


「なるほど………生活する上での衣食住などはどうなるのですか?」


「全てこちらの方でご支援させて頂きます。それ以外にも、あなた方のご要望には最大限お応え致します。」


「それでは、急で申し訳ありませんが、暫く時間を頂けませんか?情報を整理する時間が欲しいのですが。」


「勿論です。一人一部屋、用意させて頂いておりますので、ごゆっくりお休み下さい。専属の使用人もご用意しておりますので、ご用件があれば、何なりとお伝え下さいますよう。」


「ありがとうございます。」


そんなこんなでそれぞれ個室へと移動した。


僕が話を進めた事に納得のいかない人もいたようだが、だからと言って何かできる訳でもない為、渋々ではあるが全員が移動した。

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