第三話 日常の終わり
その日、僕はいつも通りに登校をした。
寝坊もしなかったので、時間に余裕はある。
今日は遅刻せずに済みそうだ。
教室の扉を開けるとまだ半分も生徒は来ていなかった。
既に登校していた人は、こちらを見て驚いた顔をしている。
「おはよう、根黒君!!今日は早いんだね!」
「あぁ、春香。……おはよう。」
「寝坊しなかったんだね、偉い偉い!!」
そう言ってニコニコと笑顔を浮かべている。
赤瀬がまだ登校していないのが救いだった。
「昨日はゲームはしなかったの?」
「いや、してたけど、早めに切り上げたんだ。」
「うんうん、それが良いよ!」
そう、僕がいつも寝坊してしまう理由。
それはゲームだ。
昔からゲームが好きで、一人暮らしを始めてからは、ついつい夜遅くまでしてしまい、その結果寝坊してしまう、というのが最近の通例であった。
ちなみに僕が最も好きなゲームはDQと言って、ゾンビが蔓延るファンタジー世界で、ドルイドの主人公がゾンビを浄化していく、というものだ。
続編がいくつも出ている人気タイトルで、僕は昔から好きだった。
そうして話していると、他の生徒も登校してきた。
赤瀬は春香と話している僕を見て、機嫌が悪そうな顔をしていた。
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HRが終わって担任教師が教室を出ていった。
一限の準備をして、ぼーっとしていると、次第に周りがざわつき始めているのに気がついた。
どうやら時間になっても教師が来ないようだ。
委員長が教師を呼びに行こうとした。しかし。
「あれ………ん?」
「おい、どうしたんだ委員長?」
「いや、何か扉が開かないんだけど。壊れてるのかな。」
結果、男子数人がかりでも扉は開かなかった。
大声で叫んでも誰も教室に来なかった。
不可思議な現象に、次第に皆が怯え出す。
泣きそうになっている女子もいた。
外と連絡が取れないか、携帯を扱っている人もいたが、何故か圏外になっているらしい。
僕も確認しようとした。その時。
「うわっ、何だよこれ!?」
その声は誰のものだったか。
気付いた時には辺り一面が光に覆われていた。
思わず手で目を隠し、顔を伏せる。
光が弱まって周りを見渡す。
そこはついさっきまで居たはずの教室ではなく、西洋風の豪華な部屋だった。
「何が………どうなってんだ?」
その声は誰のものだったか。
僕は状況が掴めずに呆然としていた。